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蜜月
蜜月⑧
しおりを挟むそんなこんなな状況でも、しっかり三日間愛を育んだ二人は、見事に子を成した。
勿論、その間は誰にも会わず食物はリビングに設置状態でおこもり、殆どを魔法と神力でかたずけて誰にも会わない生活を続けた。
結果、ナディアは男の子を身ごもった。
勿論、人間の子供では無い。
初めから神で、魂の無い器状態だった。
そう、この子供こそ薬師の新たな器となれる身体だった。
寝室から出て来た二人を、脇侍と関係者である三獣神が出迎えた。
うん、もうとてもスッキリとした薬師の笑顔と、疲労の色が伺えるナディアの顔を脇侍二人認めて、薬師に苦笑してみせる。
「随分、無茶して愛でましたね、薬師様。ナディア嬢が大変お疲れのご様子ですよ…… 」
「そりゃ、子供を作る為に抱き潰した事数回。うん、記憶に無い位ですからね」
と、にっこりと笑む薬師。
呆れる脇侍達。
その構図に見慣れすぎた三獣神の呆れ顔と続く様子に、日光は、
「で、子供は出来たのですか? 」
と、聞いてきた。
「勿論、抜かりないですよ。器は確保しました。この子は急成長しますよ。ナディアのお腹の中で…… 」
うん、実は凄く心配な事が、一つあったりする。
ナディアど薬師の子供なのだから、ナディアとは血の繋がりが出来る。
薬師は、その事をどう考えて居るのだろうか?
日本神話のように、気にしないのだろうか?
仏教の神も。
きっとそうなのだろう。
神は兄弟姉妹、親子そんな事には目もくれなかったなと、作者は今ごろ思い出したぞ。
もう既に母性に目覚めつつ有るナディアがゆっくりお腹を撫でる。
柔らかく微笑む姿は、愛でるに値する。
ほんわかと、その気分に酔うモノ達の中には、小鳥となった愛染もいた。
『あぁ、もう、何かもうどうでもいいやって気がする。哪吒の事が気にはなるけど、もう何もする気が起きないや』などと、愛染がこんな事を思ったと言う事は、此処だけの話としておこう。
人の考え何ぞ、よっぽどの事が無い限り、読んだりはしない人々だからね、愛染の心の声も聞かれる事は無かった。
「あぁ、そうだ薬師様。コレを…… 」
そう言って日光が捧げ持ったのは、ひとつの木の枝であった。
少しの葉とひとふりの小枝が有るのみの枝を、薬師は手にした。
コレが何なのかと言うと、まぁ、誰もが予想するように世界樹の元になる一枝であると、言えよう。
この枝が、薬師の身体を養分として世界と言う大地に根を張れば、この箱庭世界は世界樹の根により纏められて管理され崩壊を免れると言う算段だった。
この方法が有効なのかと言うと、前例が多々あると言えるので、ある程度間違い無いだろうと思う。
「よし、材料は揃った。後は役者が揃うのみ…… 」
薬師は、にんまりと笑みをこぼすと、ずいっと枝を掲げた。
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