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神獣朱雀『エレオノラ』
女の子には色々準備が有るのです
しおりを挟む「わたくし、一度お屋敷に戻りたいのですが、宜しいでしょうか? 」
そう言ったのはナディアだった。
薬師は首を傾げつつ、
「それは帝都にあるのですか? 」
と、問い掛ける。
「はい、帝都のお屋敷と領地に領主館が有ります。わたくしは帝都のお屋敷に住んでおります。出来れば旅に出る前に荷物を用意したいのです」
「あぁ、旅に必要なモノが有れば此方で用意しますし、路銀もかなりの額頂きましたし、私は空間移動が使えますから馬車で旅と言うのは、多分ありませんけど? 逸れを踏まえて何か入り用な物が有るのですか? 」
と、言う薬師の言葉にナディアは思わず無言になる。
それでも、女の子は何かと物入りなのだと察してやって欲しい。
色々と、色々と有るのだ。
化粧品、ブラシ、下着類、香油、etc、エトセトラ。
なので思わず泣きそうにうるうるするナディア。
思わずその様子を生暖かい目で見ていた面々が口を挟む。
「薬師様、女性には色々と思う所が有るのですよ。わたくしも、こんな身体でも皆様に寝間姿は恥ずかしいので、部屋着に着替えてる位ですのよ。察して下さいまし」
と、朱雀に言われれば、
「そうですよ、薬師様。エレオノラの言う通りです」
と、悉陀にうんうんと頷かれる始末で……。
他の者も口を開こうとすれば、「解った! 解ったから、皆まで言うな! 」と、薬師が遮った。
「察しが悪くてごめん。うん、取り敢えず、帝都の屋敷とやらに空間移動してあげますから、ご両親と弟さん、呼んでいらっしゃい。と、その前に、その腰のポーチ改造しても大丈夫ですかね? 」
薬師が眉尻を下げて、ナディアのポーチを指差し聞いた。
「ううう……、ありがとうございますぅ……。うぅ、ポーチの方は全く問題無いです。でも、一体どうなさるおつもりですか? 」
そうナディアが問うと薬師は、薄く笑んでナディアに言った。
「ストレージを造るんですよ。沢山入ると便利でしょう。それ、貸してください」
そう言ってナディアからポーチを貰い、中身を出す事の了承を得て、ポーチの中に手を突っ込んで何かもぞもぞと動かした。
「ちょっと小さめですが、五メートル四方の大きさは有りますので、この部屋位ならスッポリ入りますよ。何なら入れてみます? 」
などと、おおよそ冗談とも思えない程の真顔で、薬師は言ってのける。
ナディアが目を見開き両手をぶんぶんと振る姿を見て、薬師が、
「ふふっ、冗談ですよ。本当に入れたりなんてしませんよ」
と、言ってくつくつと笑った。
「薬師様が言うと冗談に聞こえね~ 」
と、なるべく薬師には聞こえないように、小声で言った誰かさんだったが、流石の地獄耳の薬師に聞かれたようで、頭に拳骨を落とされていた。
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フォルトゥナの御使いのタイトルを変更しました。
新しい題名は、『女神に殺されて死神にされました。でも助けた令嬢がドストライクで困ってます』です。
主人公の死神さんの心情がそのまま題名になってます。
薬師様がカッコいいと、思って頂ける方ならこの死神さんもカッコいいと思って頂ける筈と思っております。
癖の強いキャラも相変わらず居ます(死神さん、喰われなきゃ良いんですけどね……)。
この物語と一緒に見て頂けると滅茶苦茶喜びますので宜しくお願いします!
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