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神獣白虎『ルナティ』

告白

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 見詰められて、薬師の心臓がドクンと脈打った。

 久しく無かった鼓動に、戸惑う。

  
 「ナディア…… 」


 囁くように名を呼ぶ薬師にナディアは、花が綻ぶような微笑みを見せた。

 互いが互いを意識するのは良い傾向だと言える。

 微笑みを湛えながらナディアは薬師に語り掛けた。


 「薬師様、私、番と言うものが何となくですが解って来たような気がします。獣人や竜人の番というものは人にその縛りは現れないと聞いていましたので、私達もそれに乗っ取っていると思っていました」

 「そうだったんだ。でも、オレの言う番はそれとは異なるものだ」

 「はい、それがここ最近良く解るようになりました」

 
 ニコリと笑うナディアにふっと表情を緩める薬師。


 「薬師様、私達は運命の相手。番なのですね」


 ナディアの言葉に、薬師は嬉しそうに微笑む。


 「そうだよ、ナディア。俺達は夫婦になる運命があるんだよ」

  
 ナディアが理解してくれて本当に嬉しいのだろう。

 薬師は夫婦と言う言葉で、自分達を表現して見せた。

 
 「薬師様、私、薬師様を「好きだよ」」


 ナディアの一世一代の告白を、途中で言葉を被せて邪魔をした薬師。


 「愛の告白は、男が先に言うものでしょう。」

 
 キョトンとしたナディアに薬師はにっこりと笑ってナディアに向き直り、彼女の頬にそっと指先を触れさせた。

 そしてそのまま妖艶な微笑みを見せてナディアにはっきりと言った。


 「ナディア、愛しています。今すぐにとは言いません。ナディアに覚悟が出来たら、私と番の儀を結んで貰えませんか? 」


 ナディアはその言葉に、首をコクコクと上下に振り仰いだ。

 まるで壊れた人形のようにコクコク頷くナディアに、薬師は


 「ナディア、ストップ、ストップ!! 首が折れるっ!? 」


 と、慌てふためいて、首が動かないようとっさに抱き締めた。

 よく見ると、首まで真っ赤に染まっていたナディア。

 脳内で、プチパニックに陥っていたのだろう。

 恥ずかしがり屋なナディアらしい反応だった。



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