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箱庭世界『ヴィシュヌ』
事実と釈明①
しおりを挟むナディアに、日光、月光、ルナティに、皇帝夫妻、皇太子と、ナディアの家族、騎士団は、この国、『ソラシア帝国』の王城へと戻って来ていた。
皇太子は、騎士団長に連れられ軟禁部屋へと消えていく。
流石に貴人の逮捕に、地下牢と言う訳にも行かない。
罪を犯した貴族の囲われ場所に沙汰が下される迄は、留め置かれる。
騎士団は、休息を取り、ナディアの母と弟は別室に通された。
それ以外の者は、皆、円卓のある会議室へと通されて。
勿論薬師は、不在である。
そんな中、言葉を発したのは日光であった。
「さて、自己紹介をしていませんでしたね。其処から始めましょうか。私は『日光菩薩』、隣の彼は『月光菩薩』と言います。この世界より上位世界の神様をさせて頂いています。今は此処に居ない神様が『薬師如来』様。私達の上位神で、其処の『神獣ルナティ』を作った神より一つ上のクラスの神が、私達の主様です」
と、ルナティには解り切った事を言い、周りの人々には驚愕する事を言い放った。
「で、話し合う前に、其方から順に自己紹介お願いします」
そう日光が言うと、ルナティから順番に自己紹介を始めた。
ルナティが、次々と箱庭世界の人物達を紹介して回り、日光月光も、モブも含めてこの世界の人物達を把握した。
ルナティから聞いた概要はこうだ。
ある日急に自分の姿が変わった。
何故かは解らなかったが、変わったのは姿だけだったので能力を駆使して、他に異変がないか探った所、異世界転生者が多数現れ瘴気を纏いあちらこちらで悪さをしている事が解った。
この侭では歴史が変わってしまう。
その証拠に、『聖女』が瘴気に飲まれ『勇者』が誕生しない。
それだけでも由々しき事態であると言うのに、もっと調べて行く内に、この世界を守護する残り三体の守護獣の内、『玄武』が封じ込められてしまっている事を知った。
「まぁ、『白虎』と来れば後、三獣も居るかなぁと思っては居ましたが、こうも典型的だったとは…… 」
日光が、呆れ声でルナティの話の腰を折る。
勿論、それぞれ名前も付いて居るのだろう、日光は、話の腰を折った事を謝罪し続きを促した。
其処で、ルナティは四国の代表と聖獣を召集し、事態の詳しい状況の収集を試み、自分達では世界の修正を行えないと判断して、自分達を、世界を創った神様に相談する事にした。
「その方のお名前を貴方はご存知ですか?ルナティ」
「はい。知っては居ますが、私ではおいそれと御名前を口には出来ません。日光様、自分達は貴方様より下位の獣です。神とは付いてはおりますが…… 」
「はぁーっ、私も遠慮したいです。まぁ、彼を一方的に怒鳴りつけられるのも、呼び捨て出きるのも、神々の中では、薬師様以外には、2神しか居ませんからねぇ…… 日光月光では言う事など聞きませんから、彼は…… 」
そう言って、日光は溜め息を吐いた。
隣で月光も吐いて居た。
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