私の番は薬師という名の如来様でした

黄色いひよこ

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きさらぎ駅

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女は、はたと目を覚ました。

連日連夜の残業続きで、体力は限界に来ていた。

だから、帰りの電車の中でうつらうつらと寝てしまったのは、不可抗力だった。

ガヤガヤ、ざわざわ。

微睡んでいた意識が浮上する。

目を覚ましたのは良いが、何か夢を見ていた気がする。

だが、何も思い出せない。

電車のアナウンスが、女の下車する駅の名を繰り返して、彼女は慌てて降りる準備をし始めた。


うん、この時間ならスーパーもギリギリで駆け込める。

深夜12時まで開いているスーパーを思い浮かべて、女は開いたドアから他の乗客に紛れホームに降り立つ。

ふと、視線を感じたような気がした。

キョロキョロと辺りを見回して見るが、誰が見ているのか分からない。

諦めたのか、女は肩をすくめて正面をむく。

そして、歩き出した。


彼女を眺め、口角に微笑みを刻んだ人物に、彼女は気付かずに慌ただしく電車を降りて行った。





彼女に、
幸おおからん事を願う────。


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