私の番は薬師という名の如来様でした

黄色いひよこ

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きさらぎ駅

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ズガッ、スガズガズガッ!!

そんな音で形容出来たと思う。

見た目女の化け物に、10本の剣が突き刺さり、最後の1本が、素早く首を切り落とす。

断末魔の悲鳴さえ上げられなかった、化け物。

ゴトンと首が落ちて転がった。

コロコロと、化け物の首が転がって男の足元にやって来る。

くはっっと化け物が眦を釣り上げ、目を剥いた瞬間、男に抱きかかえられている女の、持ち上げた右手の掌から、剣が飛び出して化け物の顔にグサリと突き刺さった。

今度こそ、断末魔の悲鳴を上げた化け物に、女は吐き捨てるように言った。


「あたしの目を盗んで、櫂に噛みつこうなんて、100年早いわよ。とっとと昇天なさい」

「ふふっ、流石、凪ちゃん。かっこいい」


と、まぁ。

そんな緊張感の無い会話が、日光と庇われている女の元まで、聞こえたのだった。


「ふぅ、終わった……わよね? 」

「ん。終わったよ……。それより、身体、大丈夫か? 」


心配そうに聞く男が、女を抱えたまま振り返り日光、月光の元に歩いて来た。

その目は優しげな眼差しで抱えた女を見ている。

女も彼を見上げていて、慈しむ表情に2人が、今の際まで化け物相手に戦っていたなんて、到底、見えなかった。


お互いを見やっていた2人が、一緒に日光月光に顔を向けて驚いた表情を見せた。


そして、庇われていた女も驚いていた。
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