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始まり
prologue
しおりを挟む昔から今もなお、人を愛したもう神が彼らの行く末を憂いで、幾度目かの転生を試みた。
神の御姿では、永く地上には居られない。
だから、人の姿にその身を奴して。
けれど、神が人に成り代わっても、普通の人のようにはいかない。
人には、善行も有れば、悪行も有る。
光も影も持つのが人の成り立ち。
けれども神は、人と成りても神たる所以にて、その身に宿すは光のみ。
神が地上に居る為には、対成す、命の伴侶が必要なり。
漆黒を宿し乙女。
神が自ら付けた『印』を宿した漆黒の乙女。
彼女と番って、2人ははじめて人として地上にその身を置けるのだ。
さぁ、時が来た。
乙女と、数度目かの契りを結ぶ神の名を、彼を知る者はこう呼んだ。
『薬師』と。
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