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婚約して6年が達ちました
再会
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ぼぅっと朔と呼ばれた青年をサクラは見つめていると、彼がスタスタとサクラに近づいて来る。
そうだ、何故気付かなかったのだろうか。
昔の面影が今の彼に少し残っている。
想像以上に麗しく育っている。
彼の少年期が見れなかったのが、今更なからに悔やまれた。
「サクラ……」
腰に響く甘い声で、サクラは名前をよばれた。
半端無い男の色香がサクラの頬に触れる彼の指から伝わる。
心がじくんと波打って、ドキドキと煩く鳴り出す。
キュンなんて可愛いものじゃない。
俗に言う『子宮に響くイケボ』と、言う奴だ。
洗練された立ち振る舞いに、しなやかな流動を見せる手足。
高くもなく低過ぎもしない声音は、耳元で囁かれるときっと腰が砕けると思える程の破壊力で。
頬に触れられた指先を流し目で見て、その手から徐々に彼の顔を覗き見る。
そうすると見事に目があって、ふわりと優しい瞳で微笑まれた。
「さ、朔夜?」
「ん、そうだよ。漸く会えたね。本当、会いたかったんだ」
朔夜は、サクラを見つめたままそう言うと、ふにゃりと蕩けるような笑みを見せた。
そして、覆い被さるように彼女をぎゅっと腕の中に隠し込むように抱きしめた。
見かけよりかなり逞しい体つきに、サクラはハッと息を呑む。
顔が真っ赤に火照って来るが、彼を受け入れ堪能してしまう自分がいる事に、彼女は少し驚いた。
そして、おずおずとだが両手を朔夜の背中にまわしてしまうサクラも、寂しくて会いたくて仕方がなかったのだと、抱きしめ返して気が付いた。
「サクラっ…… 」
サクラの頭を抱きしめながら撫でる朔夜が、感極まったのか呟くようにサクラの名を囁く。
サクラも、逸れを聞いてか朔夜の名前を何度も何度も呟いた。
微笑ましい再会の光景。
それに水を差すような間の抜けた声が、朔夜のうしろから聞こえてきた。
「お~い、ゆず~、ゆずく~ん、もしも~し人形達が限界なんっすけど。ほれっ、妄執が具現化するよんっ、柚木っ!」
「うっせえっ!! 少しは逢瀬、満喫させろやっ!」
結構頑張って後からの声を無視していた朔夜だったが、余りの煩さにとうとう怒髪天を衝いてしまったのだった。
そうだ、何故気付かなかったのだろうか。
昔の面影が今の彼に少し残っている。
想像以上に麗しく育っている。
彼の少年期が見れなかったのが、今更なからに悔やまれた。
「サクラ……」
腰に響く甘い声で、サクラは名前をよばれた。
半端無い男の色香がサクラの頬に触れる彼の指から伝わる。
心がじくんと波打って、ドキドキと煩く鳴り出す。
キュンなんて可愛いものじゃない。
俗に言う『子宮に響くイケボ』と、言う奴だ。
洗練された立ち振る舞いに、しなやかな流動を見せる手足。
高くもなく低過ぎもしない声音は、耳元で囁かれるときっと腰が砕けると思える程の破壊力で。
頬に触れられた指先を流し目で見て、その手から徐々に彼の顔を覗き見る。
そうすると見事に目があって、ふわりと優しい瞳で微笑まれた。
「さ、朔夜?」
「ん、そうだよ。漸く会えたね。本当、会いたかったんだ」
朔夜は、サクラを見つめたままそう言うと、ふにゃりと蕩けるような笑みを見せた。
そして、覆い被さるように彼女をぎゅっと腕の中に隠し込むように抱きしめた。
見かけよりかなり逞しい体つきに、サクラはハッと息を呑む。
顔が真っ赤に火照って来るが、彼を受け入れ堪能してしまう自分がいる事に、彼女は少し驚いた。
そして、おずおずとだが両手を朔夜の背中にまわしてしまうサクラも、寂しくて会いたくて仕方がなかったのだと、抱きしめ返して気が付いた。
「サクラっ…… 」
サクラの頭を抱きしめながら撫でる朔夜が、感極まったのか呟くようにサクラの名を囁く。
サクラも、逸れを聞いてか朔夜の名前を何度も何度も呟いた。
微笑ましい再会の光景。
それに水を差すような間の抜けた声が、朔夜のうしろから聞こえてきた。
「お~い、ゆず~、ゆずく~ん、もしも~し人形達が限界なんっすけど。ほれっ、妄執が具現化するよんっ、柚木っ!」
「うっせえっ!! 少しは逢瀬、満喫させろやっ!」
結構頑張って後からの声を無視していた朔夜だったが、余りの煩さにとうとう怒髪天を衝いてしまったのだった。
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