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婚約して6年が達ちました
断罪ですか?イベントでは無いですよね
しおりを挟む幼なじみ兼、親友に、本当に婚約者がいるのかと疑われて、朔夜と出会った時の事を思い出しながら、物語調に語っていたサクラは憤っていた。
実はあの日から朔夜とは、会っていない日々が続いている。
今ではもうあれは夢だったのかと疑って仕舞いそうになるが、お互いの誕生日とクリスマスにはプレゼントを欠かせない年月を辿っている為、かろうじて現実なんだと理解出来た。
納得は出来ないのだが。
この6年、彼が大変な立場にあることはサクラも理解していたので、我が儘は言えなかった。
朔夜と出会って1年後、睦月さんが亡くなったのだ。
サクラの父も、母も、朔夜でさえも、睦月が死んだ理由を教えてはくれなかった。
そしてこの6年の放置だ。
あぁ、でも、今途方にくれているのは朔夜にされている放置プレイのせいでは無い。
もっと深刻な話だった。
「以上の罪状を踏まえ、侯爵令嬢サクラ=レナ=ストレインは学園より追放とする」
はて、どう言う事か?
見に覚えなど丸っと無い。
その上、あんた誰?
と、サクラは思う。
何の為の断罪?
訳が解らない。
「その茶番ありありな断罪行為に意義あり」
どう言ってやろうかと考えていれば、そんな言葉がサクラの耳に飛び込んだ。
低い男の声。
そして横を通り抜ける背の高い後ろ姿。
学園の制服を着ている。
黒の長めのジャケットに銀の刺繍の縁取り、同色のスラックスと言う出で立ちは、普通科の三年生の制服だ。
此処は特殊科のエントランスだから、普通科の生徒が来る確率は低い筈なのだが。
親友の神野 由衣が騒ぎを聞きつけたのか、慌ただしくやってきてサクラの前に立ちふさがった。
本当はサクラを助けに来たのだが、既に先客が居るのに目を見張る。
それも普通科の生徒らしいと知れると、由衣はサクラに、
「サクラの知ってる人? 」
と、聞いた。
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