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社交の場

雛の旦那様

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目を白黒させている男の子に、サクラが微笑み掛けます。


「ねぇ、貴方のお名前、教えてくださいませんか? 私はストレイン侯爵が娘、サクラ=レナ=ストレインと申します。以後お見知り置き下さいませ」


と言って、見事なカーテーシ-を取った。

すると男の子も、胸に手を当て会釈をすると、


「丁寧なご挨拶いたみいります。私、扇家当主の末の弟、扇  朔夜と申します。此方こそ宜しくお願い致します。侯爵令嬢、サクラ=レナ=ストレイン嬢」


そう言って恭しくサクラの手を取り、その甲に唇を落としたのでした。



子供達の挨拶が終わり、大人同士の挨拶が済んだ頃、処理班が男爵をかたずけ終えたのを見届けて、その場を辞そうとした睦月をソートが引き止めました。

なかなか外では会えない同業者、特に戦闘要員のかなめである『銀の粛正者むつき』との意見交換等、そうそう無い出来事なのです。

父親が睦月を引き止めに掛かるのも無理も無いとも言えるのです。

ソートの好奇心も大概ですが、愛娘のサクラの袖引きも相まっての引き止めに微苦笑を浮かべたのは、急に蚊帳の外的な状況に陥っていた朔夜くんでした。

兄とソート、義姉あねの紅子とスノー、そして、兄をジーッと見詰めるサクラ。

もう、図式が出来上がっていますものね。


── あーっ、もう、サクラの馬鹿っ、ついでに雛も馬鹿だっ、、 ──


くふっ、ぐふふふ、あ、失礼。

今の朔夜のモノローグでお分かりの方もいらっしゃると存じます(え?その前から知ってたって)。


── 昔の俺に瓜二つの兄貴に惑わされて気付かないって、雛らしいって言っちゃあらしいもんなぁ……。おっちょこちょいなのは、昔と変わらない ──


サクラちゃんは昔、朔夜が愛した女性の生まれ変わり。

朔夜はサクラ以上に前世の自分を覚えていて、サクラがそうだと出会った時には気付いていたのです。

サクラは、気付きもしませんでしたけれども。

まぁ、そう言う事で朔夜は少し苛々していました。



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