悪役令嬢にされた白雪姫のひとり娘は人形使いに恋をする

社交の場

10歳になりました

時が流れるのも早く、サクラは10歳になりました。

子供の成長は著しく早いもの。

齢10よわいとおにして白雪姫の再来と呼ばれる美少女に成長しました。

相変わらずお転婆ですけれどね。



それはそうと、今日はサクラの社交会デビューの日です。

何ヶ月も前から準備が進められて、艶やかな黒髪には真珠で出来た紐を編み込んで、ハーフアップにし、純白のフル刺繍のドレスを纏って居る。

白雪姫。

まさしくそんな継承が似合う姫に変身していた。

本家本元の白雪姫が微笑む。


「本当に可愛いらしいわ。貴女は私の自慢の娘ですよ。さぁ、お父様もいらしたわ」

「お父様！ 今日はちゃんと人のお姿ですね」

「流石に今日は此方の姿を取るよ。お前の晴れ姿なのだからね」


この父親、普段は頑なに黒猫の姿を保っている。

家族の前ですら殆どが黒猫の姿での生活か、透明人間になっている。

だからスノーは普段から未亡人扱いであった。

何故黒猫の姿なのかという事を話せば長くなるし、お話しが違って仕舞うのであえて此処では話さないでおくことにする。

それで良いですよね。


さて、３人はお抱え運転手のいる黒塗りの車に乗り込む。

馬車では無い事がミソですかね。

蒸気機関車もありますし、飛行船もあります。

けれど、貴族社会。

このアンバランス差が、サクラの前世と違う所です。

急速に機械化が行われている時代ではありますけれどね。


車と言えどサクラの前世の車程早くは走れません。

道路もメインロードは整備されてはいますが、地方へ出ると未だ砂利道です。

此方側の人間は魔法、魔道を扱えませんが(そもそも魔力を持っていない)あちら側の生き物は魔法、魔道を扱えるので、其れだけでも人間は保護対象になるのです。

あ、色々と説明しているうちにサクラ親子が、今回の夜会の会場に到着した様ですね。

話を彼らに戻す事にしましょう。