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動き出す

アイセンレイトの中に居る者

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「追い落とす? 女禍の欠片をも見付出し、破壊すると言う事か? 」


そう言うアイセンレイトに、ラスティエルの中の女禍がブルッと震える。

それは怯えなのか、はたまた武者震いの類なのか。

女禍はラスティエルの中で、肩を両手で抱え震えている様に見えた。

今の彼女は何の力も無い弱った魂でしか無かったのだから。

ラスティエルにはそういう風にしか見えなかったのだ。


「そうですね。そう言う事に成りますでしょうか? けれど、其処までする必要が有るのかどうか…… 」

「過剰防衛だとでも? 」

「はい、わたくしは彼女を見てそう感じましたわ」

「ラスは、女禍が何をしたか、知っているか? 」

「いいえ、この方がいかなる事をなさったのか、わたくしには考えようも御座いません。ただ、わたくしが今言える事は、この方は今、その身を小さくして何かに怯えるか弱き命なだけで御座います。アイセンレイト様……  」


憂いを帯びた瞳をアイセンレイトに向けるラスティエルは、儚くも美しい少女だった。

そんな彼女に、アイセンレイトは何も言えず(囲いたくなる位の美少女っ振りな訳で)
、アイセンレイトは「あ~っ、もうつ、」と頭を抱えて喚く。

そんな兄を妹が残念そうに見やる。

そして、ッッコミも忘れない。


「あっは~、ヤマアラシのジレンマだよね~。うふふふふ…… 」


と、アイセンレイトに聞こえるようにからかうのだ。




「はいっ!お取り込み中すいませ~ん、すっんごく気になってた事が有るんだけど」


と、場違いな声をあげたのは、総てをぶち壊すクラッシャーフィリー。

「聞いて良い? 」などと、緊張感全く無しの声を上げて(ついでに手も上げて)周りに問い掛ける始末。

そして、誰も許可を出して居ないのに、我が道を行くで彼女は話し出した。


「お兄ちゃんともあろう人が、伏羲だっけ? なんでそんな人身体の中に囲ってるの? 」


うん、確かにフィリーの言う事は最もだ。

何故伏羲はアイセンレイトの中で匿われて居るのか。

フィリーでは無いが、気にはなる。


「あぁ、コレか…… 」

『此処へ来るのに、少々無茶をしてしまってのう…… 』


そう言って、アイセンレイトの中からふわりと抜け出たのは太公望だった。

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