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Extra3:幸せのいろどり ―透side―
(epilogue1)
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「――直くん、そろそろ起きないと間に合わないよ」
朝日が差し込んだ寝室のベッドで、気持ちよさそうに寝息をたてている直くんに近づいて声をかけると、「うーーーん……」と、気怠そうな声が返ってくる。だけど、全く起きる気配がない。
あれから数年が経ち、最初に出逢った日を入れると、今年で6度目のクリスマスイブの朝を迎えた。
大学を卒業してから、直くんのご両親に許可をもらって、今は俺のマンションで一緒に暮らしている。
そして、出逢った時18歳だった直くんも今はもう、23歳。
アパレルメーカーに就職して入社2年目の直くんは、年末のこの時期はかなり忙しい。
昨夜は、その忙しい中、直くんが営業で担当している取引先との忘年会で、帰ってきたのが2時を回っていた。
取引先バイヤーや、各店舗のショップマスターは女性が多くて、俺は内心ヤキモキするのを抑えて、帰りを待っていた。
ドアの鍵をガチャガチャと開ける音に気付いて、玄関まで出迎えた俺に、
『あ…、あっれーぇ、とおるさん……まだ、おきてた……の――っ?』
と、直くんは酒臭い息を吐きながら、両手を広げて抱きついてきた。
『直くん、かなり呑んでるね?』
元々、アルコールはあまり強い方ではないのだろう。いつも飲み会から帰って来ると、この調子だった。
『――えー? そんな、のんで、なーいよ?』
『はいはい。ほら、靴脱いで』
俺に抱きついたままの直くんを、寝室に連れて行ってパジャマに着替えさせてベッドに寝かせると、直くんはすぐに規則正しい寝息を立て始めた。
昨夜は、そんなだったから、本当ならゆっくり寝かせてあげたいんだけど。
「直くん、起きて。遅刻するよ? 今日は結婚式でしょう?」
そう言って、直くんが寝ているベッドに腰掛けて、寝顔を覗きこむ。
「――直くん、そろそろ起きないと間に合わないよ」
朝日が差し込んだ寝室のベッドで、気持ちよさそうに寝息をたてている直くんに近づいて声をかけると、「うーーーん……」と、気怠そうな声が返ってくる。だけど、全く起きる気配がない。
あれから数年が経ち、最初に出逢った日を入れると、今年で6度目のクリスマスイブの朝を迎えた。
大学を卒業してから、直くんのご両親に許可をもらって、今は俺のマンションで一緒に暮らしている。
そして、出逢った時18歳だった直くんも今はもう、23歳。
アパレルメーカーに就職して入社2年目の直くんは、年末のこの時期はかなり忙しい。
昨夜は、その忙しい中、直くんが営業で担当している取引先との忘年会で、帰ってきたのが2時を回っていた。
取引先バイヤーや、各店舗のショップマスターは女性が多くて、俺は内心ヤキモキするのを抑えて、帰りを待っていた。
ドアの鍵をガチャガチャと開ける音に気付いて、玄関まで出迎えた俺に、
『あ…、あっれーぇ、とおるさん……まだ、おきてた……の――っ?』
と、直くんは酒臭い息を吐きながら、両手を広げて抱きついてきた。
『直くん、かなり呑んでるね?』
元々、アルコールはあまり強い方ではないのだろう。いつも飲み会から帰って来ると、この調子だった。
『――えー? そんな、のんで、なーいよ?』
『はいはい。ほら、靴脱いで』
俺に抱きついたままの直くんを、寝室に連れて行ってパジャマに着替えさせてベッドに寝かせると、直くんはすぐに規則正しい寝息を立て始めた。
昨夜は、そんなだったから、本当ならゆっくり寝かせてあげたいんだけど。
「直くん、起きて。遅刻するよ? 今日は結婚式でしょう?」
そう言って、直くんが寝ているベッドに腰掛けて、寝顔を覗きこむ。
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