出逢えた幸せ

ずーちゃ

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Extra3:幸せのいろどり ―透side―

(43)*

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 先端から溢れる先走りを指に絡め、全体に伸ばすようにゆるゆると扱いていく。

「……は、ぁ……、やッ……、あ」

 堪えきれないような声が、直くんの唇から落ちてくる度に煽られる。

 もっと感じて欲しくて、先走りが止め処なく滲み出てくる先端に唇を寄せて、甘い蜜を味わうように舌でなめ取った。

「ちょッ、あッ……、あ」

 そのまま先端から咥内へ咥え込み、軽く吸い上げながら上下させると、倒したシートに身を委ねていた直くんが、上体を起こして俺の肩を力の入らない手で押して抵抗する。

「と、ぉるさん、ダメッ……やめっ、」

「直くんは、夜景を観ながら、ただ感じてて」

 俺に、こんなことをされている事も、俺の咥内の温度も、全部、身体で覚えておいて欲しい。

 直くんが俺から離れてしまって、もう逢うことも無くなってしまっても、記憶の片隅に憶えておいて欲しい。

「ぁーーッ! だ、だめ……ッ」

 もう限界に近い直くんの裏筋を舐めて、カリを刺激して、蜜口を舌先でなぞれば、直くんは背中を反らしながら快感の声をあげる。

 俺の唾液と直くんの先走りの混ざり合う水音が、車の中に厭らしく響いていた。

 喉に当たる程奥まで飲み込んで苦しいけれど、俺も直くんの全てを憶えておきたかった。

 逢う度にこうやって、お互いの温もりを教え合って、いつまでも忘れずにいたいなんて思っていた。

「は……ァッ、あッ、もっ……、出るッ、離し…っ! イクッ……ッ」

 焦った声と共に、直くんが俺の頭に手を伸ばして引き放そうとする。その瞬間、ドクドクと脈打ちながら、熱い飛沫が咥内に吐き出され広がっていく。

 その熱さ、匂い、味も、全てを忘れないように、最後の一滴まで搾り取るように吸い上げて、全部喉へと飲み干していった。


 ***


 直くんの服と髪の乱れを整えながら、名残惜しくて何度も軽く直くんの唇を啄ばむようにキスをした。

「そろそろ帰ろうか」と、俺が言うと、「え、もう?」なんて応えてくれる。

 そんなひとことが、俺にはどれ程嬉しいか、分かってて言ってるんだろうか。

「ん? 何? 口でするだけじゃ、物足りなかったかな?」

 俺は、軽い冗談を言うことでしか、そんな気持ちを隠す術を知らなかった。

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