出逢えた幸せ

ずーちゃ

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Extra3:幸せのいろどり ―透side―

(9)*

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 もう……後戻りは出来ない。まだ戸惑いの表情を見せる直くんの体を半ば強引に抱き上げた。

「ちょ……っ、透さん、下ろして下さい……は、恥ずかしい……」

 焦って訴えてくる唇をキスで塞ぎ、寝室に移動してベッドに座らせる。

 肌蹴たシャツを剥ぎ取れば、細いけれど綺麗に引き締まった身体が瑞々しい艶を放つ。

 その肌にそっと触れる。手のひらに吸い付くような感触に、思わず「綺麗だね」と、お互いの唇が掠めるほどの位置で言葉を零し、唇を重ね合わせた。

 何度も角度を変えながら、甘い咥内を味わいつくす。

 ベルトに手をかけてジーンズも一気に剥ぎ取ろうとすると、直くんは魅惑的な上目遣いで、重ねた唇の隙間から言葉を零した。

「透さんも脱いで」

 羞恥で頬を紅く染めたままなのに、誘うようなその視線が俺の欲情をさらに膨らませた。

「煽るね……」

 苦笑しながら少し身体を離して、シャツを脱ごうとした俺の手を、直くんの手がそっと払い退ける。

「俺が脱がせてあげる」

 そう言いながら、積極的に俺のシャツのボタンを外していく直くんを、内心驚きながら眺めていて気が付いた。

 微かに指先が震えている。

 ボタンを全て外し、直くんの手が開いたシャツの隙間から滑り込む。直接肌に触れてきたその手のひらに、熱を感じた。

 紅く染めた頬、火照った身体、慣れていそうなのに震える指先。

 本当は、男と身体を合わせる初めての行為に不安でいっぱいなのに、大人びたふりをして精一杯背伸びをしてるように思えた。

「……直くん……」

 なんだかそんな行動の、ひとつひとつが堪らなく可愛く思えてくる。

 直くんの耳元に唇を寄せ「煽り過ぎだ……」と囁いて、その細い身体を抱きしめると、僅かに身体の震えが伝わってきた。

 抱きしめながら、唇を重ね合わせる。

 それは、さっきの快楽だけを引き摺りだす為だけのキスではなくて……なんだろう、この気持ちは。

 舌を絡ませて、上顎を撫でて、歯列をなぞって、咥内を余すとこなく知り尽くしたい。

 口付けを交わすたびに、その身体に触れるたびに、その唇から漏れる声に、もっとと、欲する気持ちが加速していく。

 最初は、ほんの興味本位からだった筈なのに。相手が男だと言うことも勿論解っていて、いつの間にかどうしようもなく惹かれていって、もう頭では何も考えず、ただその全てを見たくなっていた。

「……ふッ……は……ッあ……ッ」

 唾液の絡まる水音と、直くんが漏らす甘い吐息に、くらくらと眩暈のような感覚がした。


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