出逢えた幸せ

ずーちゃ

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Extra3:幸せのいろどり ―透side―

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 雰囲気に流されやすく、こんな風に言われると、嫌と言えないと確信していた。

「透さんは、男でもいいの?」

 俺のずるい言葉に対して、素直な疑問を口にする直くんが可愛くて、思わずくすっと笑みを漏らしてしまう。

 だから余計に見たくなった。直くんが、快楽に落ちて乱れる姿を。

「俺も女の子の方が好きだったはずなんだけどね……。でも、直くんだから、いいと思ったんだ」

 ずるい言葉で誘う。

「直くんは、男の俺にこんな事されるの、嫌?」

 もう一度、追い討ちを掛けるように問いかける。

 その瞳に俺だけを映させて、思考さえも奪い取りたくなる。

 でも、心のどこかで、『――ここで止めるべきだ』と、もう一人の俺が言う。

『冗談だよ』と笑えば、そこで終われると……。

 だけどその時、直くんの唇が動いた。

「……嫌じゃない……」

 それは同意の言葉だと、都合良く受け止めてしまう。

 走り出してしまった欲望は止める事なんて出来なくて、理性なんてとっくに崩れていて。

 その唇へ――キスをする……。

 直くんの気が変わらないうちに、快楽を引き摺りだすように、激しく。

「……ンッ——ふ……」

 唇から漏れる直くんの甘い吐息が俺の鼓膜を揺さぶって、自分の身体が熱くなっていくのを感じた。

 直くんは、キスをしながら俺の首に腕を回して引き寄せて、もっと深いキスを仕掛けてきた。 

 ――慣れている……。

 先日見かけた、女の子達と楽しそうにしていた姿を思い出してしまう。

 ここで止めた方がいいと思う気持ちとは裏腹に、何か黒いものが胸の奥で渦巻くのを感じていた。

 それが何なのかは……はっきりとは分からないけれど、ただ……

 抱き合って密着した彼の下半身が硬く主張しているのを感じて、そして俺自身も熱くなっているのを認めなければいけない状態になっていて。

 もうお互い、行き着くところまで行くしかないという事だけは、分かっていた。

「もう、勃ってるね」

「う……っ、あァッ……」

 ズボンの上から硬く主張している部分を撫でると、羞恥からか顔を真っ赤にしている。

「キスだけで、感じちゃった?」

 自分も同じような状態なのに、冷静さを装って、わざと直くんの羞恥を煽るような言葉を選ぶ。

 顔を紅くし、困惑して、逃げようとする直くんは、とても女の子と遊びで寝るようなタイプには見えない。

 この先の直くんが、どんな反応をするのか見てみたい。それはもうきっと、男の素直な欲情でしかなかった。

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