出逢えた幸せ

ずーちゃ

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Extra2:Moonlight scandal

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「ちょっ、直くん?!」

 ちょっと驚いた顔をしている透さんに深く深く口付けて、唇を少しだけ離して黒い瞳を覗きこむ。

「オレが、もっと、今よりもっと大人になったらーー、」

 透さんの耳朶を甘く食みながら、囁くように伝えた。

「もっとたくさんの幸せをあげるから、そしたらさ……」

 耳殻に舌を這わせば、透さんの身体がピクンと微かに震えた。

「その時は、オレがとーるさんを、抱いてあげるねー」

 もう自分で何言ってるのか分かんなくなってきたけど……。

 透さんの甘くて優しい眼差しに見つめられたら、俺、なんだか体が熱くなってきて、もう蕩けてしまいそうで。

 堪らなくなって、透さんに覆い被さって、またキスをする。

 柔らかい唇を割って舌を挿し入れれば、透さんの舌が絡んできて、やわやわと吸い上げてくる。

 身体が熱くて、なんか咥内も熱くなってきて、飲み込み切れずに口端から零れた唾液もすごく熱くて……。

「ん、っ、」

 段々、気持ちよくなってきて……気が付いたら、俺は透さんにソファーの上で組み敷かれていた。

 ――あれ? いつの間に? さっきまで、俺が上だった気がするんだけど……。

 って、ぼんやり考えてたら、透さんが覗き込むように、俺に視線を合わせてきた。

「前から思ってたんだけど……」

 情欲に濡れた瞳で上から俺を見下ろして、少し低い声で言葉を落とす。

「なーに?」

「直くんて、もしかして、お酒弱いんじゃない?」

「――そんなことないよ! ビールだって毎日のんでるしー」

「ふーん、毎日飲んでるんだ……」

「……あ……?」

 透さんと、二十歳になるまでは一人の時に呑んじゃ駄目って、約束してたんだけど、そんな事うっかり忘れてしまっていた。

「じゃあ、お仕置きだね」

 そう言いながら、透さんが俺のシャツの裾を捲り上げて、肌の上を直接撫でてくる。

「……ふぁ……おしおきー?」

「そうだよ」と言いながら、首筋を舌でねっとりと舐められて、肌が粟立っていく。

「オレもー、いつか透さんに、おしおき、してあげるね」

「はいはい、大人になったらね」

 ――――楽しみにしているね……。

 そう聞こえた気がする。

 憶えているのは、そこまでだった……。気が付けば、朝になっていたから。

 身体には、甘い余韻と……二日酔い。

 ――あー、頭痛ぇ……。

 上半身を起こそうとして、キーンと絞めつけられるような頭の痛みに眉を寄せてしまう。 

 俺は起きるのを諦めて、隣で寝息を立てている透さんに、そっと身体をすり寄せる。

「……ん……」

 小さな吐息のような声とともに、透さんの身体が微かに身じろいだ。
 
 胸に埋めていた顔を上げて顔を覗きこむと、透さんはまた規則的な寝息を立て始める。

 俺は 少し伸び上がって、その唇にそっとキスをして もう一度透さんの胸に鼻先を埋めた。 

 ――今日はゆっくり、休ませてあげよう。 

 いつも忙しい透さんが、しっかり休養できるように。

 目が覚めたら……一緒に遅い朝食を食べて……。

 そんな小さな幸せを、今日も育てていく。

 月の灯りの下で、ドキドキするような想い出も、忘れられないけど……。

 今日のように、穏やかに過ごす日常も、忘れられない想い出になる。

 逢うたびに好きになる愛しい人と、これからも小さな幸せを増やしていきたい。

 ……ずっと一緒に……。


 ――朝食に何を食べさせてあげようかな。

 冷蔵庫の中を思い出しながら、俺は目を閉じた。

 ――まぁいいや……。起きてから、透さんと一緒に考えよう。



Extra2:
Moonlight scandal end...… / + to be continued → →Extra3『幸せのいろどり』

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