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第四章:想う心と○○な味の……
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バタバタと脚をバタつかせて抵抗すれば、太ももの辺りを挟むように跨がれて動きを封じられた。腰を浮かせてはね退けようともがけば、鍛え上げられた体の下に閉じ込められて、身じろぐ事も許されない。
「や……っ! っ、ぅッ」
顎を掴まれ、強引に唇を重ねられた。
「――んーーっ」
俺は唇を硬く結び、思い切り頭を振り、割り入ろうとする舌に必死に抵抗する。
――こんな男に、好き勝手されてたまるか!
だけど男の手に更に強く顎を掴まれて、視線を合わされる。
ニヤリと口角を上げ、閉じた唇に舌が這わされた。
「それで嫌がってるつもり?」
言いながら、唇を食み、きつく吸い上げる。同時に男のスラックスの下で硬く主張しているモノを俺の股間に擦り付けて腰を揺らし始めた。
「っ、ぅうっ」
そうして、男の息遣いが徐々に荒くなってくる。耳元に吹きかけてくる湿った呼気が気持ち悪い。
「気持ちいいんだろう? キミのも俺と同じくらい硬くなってるじゃないか」
男は手を下へと伸ばして、俺の股間を強く掴む。
「気持ちよくなんかっ! っやめ……」
その時、脱がされたハーフコートのポケットの中で、携帯のバイブが鳴った。
多分みっきーからの電話だと思った。きっともう、近くまで来ているのかもしれない。
――なんとか通話できる状態にしたい。
「け、携帯鳴ってるっ! 急ぎかもしれないからっ! 放して!」
半ば叫ぶようにそう言って、上体を起こそうと男の体の下でいっそう激しくもがいた。
「うるさいな、どうせ助けを呼ぶつもりだろう? そんな事はさせない。折角のチャンスなのに」
そう言うと、再び覆いかぶさってきて、唇を塞がれた。
「んーーーっ!!」
とうとう男の舌が強引に唇を割り入り、奥へと逃げを打つ俺の舌に絡まってくる。
じゅるっと音を立てて舌を吸い上げられて、咥内へ流れ込む男の唾液に吐き気がした。
――気持ち悪い!
ざらついた舌と生ぬるい感触に、身の毛がよだつ。俺は、最後の手段とばかりに、思いっ切り男の舌を噛んでやった。
「……っ!」
咥内に鉄の味が広がり、男が唇を放したと同時に、平手で思い切り頬を打たれた。
「やってくれるね……、優しくしてあげようと思っていたのに……」
そう言うと、男は俺のベルトを外しにかかる。
「いや、だ!! やめろっ! やめろーー!」
俺は渾身の力を振り絞り、シートの上で身体を跳ねさせて出来る限りの抵抗をしたけれど、男は俺の上半身を片手で軽々と押さえつけ、ジーンズの前を寛がせていく。
――だれか! 誰か!
その時、外から突然車の窓を叩く音がした。
「警察でーす。ドア開けてもらえますかー」
聞こえてきた声に、俺も男も驚いて動きが止まる。
でも警察だと名乗っているけど、どう考えてもみっきーの声だと、俺にはすぐに分かった。こんな状況なのに、思わず喉の奥で、くっくっと笑ってしまう。
なのに男は、まったく気付いてない様子で慌てて俺から体を離すと、忌々しそうに「ちっ……、」と舌打ちをしている。
「早くドアを開けてくださーい。車がギシギシ揺れていて、誰が見ても怪しいですよー」
外から聞こえてくるのは、どう考えても警察とは思えない言葉。それと同時に、割れるんじゃないかと思うくらいに、窓ガラスを叩いてくる。
俺は、笑いを抑えるのに必死なのに、男は仕方ないといった顔をしてドアを開いた。
外からみっきーが、開きかけたドアに手をかけて、強引に全開にする。
「はいー、その子、未成年だからねー。アナタを逮捕しますよ、真澄さん」
それがみっきーだと漸く気が付いて、男はギョッとした顔をしている。
「マスター、何でここが分かったんだ」
「これ、直のでしょ? あそこの角に落ちてた」
そう言って差し出されたみっきーの手にあるのは、さっき落としてしまったチョコクッキーシューの紙袋だった。
「……みっき……」
「や……っ! っ、ぅッ」
顎を掴まれ、強引に唇を重ねられた。
「――んーーっ」
俺は唇を硬く結び、思い切り頭を振り、割り入ろうとする舌に必死に抵抗する。
――こんな男に、好き勝手されてたまるか!
だけど男の手に更に強く顎を掴まれて、視線を合わされる。
ニヤリと口角を上げ、閉じた唇に舌が這わされた。
「それで嫌がってるつもり?」
言いながら、唇を食み、きつく吸い上げる。同時に男のスラックスの下で硬く主張しているモノを俺の股間に擦り付けて腰を揺らし始めた。
「っ、ぅうっ」
そうして、男の息遣いが徐々に荒くなってくる。耳元に吹きかけてくる湿った呼気が気持ち悪い。
「気持ちいいんだろう? キミのも俺と同じくらい硬くなってるじゃないか」
男は手を下へと伸ばして、俺の股間を強く掴む。
「気持ちよくなんかっ! っやめ……」
その時、脱がされたハーフコートのポケットの中で、携帯のバイブが鳴った。
多分みっきーからの電話だと思った。きっともう、近くまで来ているのかもしれない。
――なんとか通話できる状態にしたい。
「け、携帯鳴ってるっ! 急ぎかもしれないからっ! 放して!」
半ば叫ぶようにそう言って、上体を起こそうと男の体の下でいっそう激しくもがいた。
「うるさいな、どうせ助けを呼ぶつもりだろう? そんな事はさせない。折角のチャンスなのに」
そう言うと、再び覆いかぶさってきて、唇を塞がれた。
「んーーーっ!!」
とうとう男の舌が強引に唇を割り入り、奥へと逃げを打つ俺の舌に絡まってくる。
じゅるっと音を立てて舌を吸い上げられて、咥内へ流れ込む男の唾液に吐き気がした。
――気持ち悪い!
ざらついた舌と生ぬるい感触に、身の毛がよだつ。俺は、最後の手段とばかりに、思いっ切り男の舌を噛んでやった。
「……っ!」
咥内に鉄の味が広がり、男が唇を放したと同時に、平手で思い切り頬を打たれた。
「やってくれるね……、優しくしてあげようと思っていたのに……」
そう言うと、男は俺のベルトを外しにかかる。
「いや、だ!! やめろっ! やめろーー!」
俺は渾身の力を振り絞り、シートの上で身体を跳ねさせて出来る限りの抵抗をしたけれど、男は俺の上半身を片手で軽々と押さえつけ、ジーンズの前を寛がせていく。
――だれか! 誰か!
その時、外から突然車の窓を叩く音がした。
「警察でーす。ドア開けてもらえますかー」
聞こえてきた声に、俺も男も驚いて動きが止まる。
でも警察だと名乗っているけど、どう考えてもみっきーの声だと、俺にはすぐに分かった。こんな状況なのに、思わず喉の奥で、くっくっと笑ってしまう。
なのに男は、まったく気付いてない様子で慌てて俺から体を離すと、忌々しそうに「ちっ……、」と舌打ちをしている。
「早くドアを開けてくださーい。車がギシギシ揺れていて、誰が見ても怪しいですよー」
外から聞こえてくるのは、どう考えても警察とは思えない言葉。それと同時に、割れるんじゃないかと思うくらいに、窓ガラスを叩いてくる。
俺は、笑いを抑えるのに必死なのに、男は仕方ないといった顔をしてドアを開いた。
外からみっきーが、開きかけたドアに手をかけて、強引に全開にする。
「はいー、その子、未成年だからねー。アナタを逮捕しますよ、真澄さん」
それがみっきーだと漸く気が付いて、男はギョッとした顔をしている。
「マスター、何でここが分かったんだ」
「これ、直のでしょ? あそこの角に落ちてた」
そう言って差し出されたみっきーの手にあるのは、さっき落としてしまったチョコクッキーシューの紙袋だった。
「……みっき……」
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