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第四章:想う心と○○な味の……
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***
マンションには着いた……着いたんだけど……。
俺は今、透さんのマンションのエントランスで頭を抱えている。
「俺の馬鹿…… 」
このマンションのエントランスも、オートロックなんだよね。
まったく……最近のマンションときたら、何処もかしこも、オートロック。
……うん、オートロック、普通だよね。それはいいんだよ。
ただ……ただね、用事のある部屋の番号を押して呼び出さないといけないんだよね。
中に入るにしても、解除してもらわないと入れないし。
透さんが帰ってるかどうかも、まずここで部屋番号を押さない事には、わかんないんだよね。
でも……俺……、知らないんだ。
――透さんの部屋の番号をっ!
場所は分かってんだよ。でも部屋の番号がわかんねえんだよ。
携帯の番号なんかはさ、登録してたら普段見ないし、覚えてなくても仕方ないかもだけど……透さんの部屋番だよ? 部屋番!
なんで覚えてないんだよ、俺っ! ってか、部屋の番号なんて見てないしっ。
郵便受けにしたって、中に入らないと見れないし、駐車場に入るのも自動シャッターだから、透さんの車があるかないかもわからない。
――多分、あの部屋なんだよな……。
12階の角部屋を見上げたら、部屋の灯りは点いていない。
どうしようかと悩んでいたら、ラッキーな事に中から人が出てきた。
当然自動ドアが開く!
――やった!
俺は、何気ない素振りで、小さく会釈してスッと中に入った。
――よしっ! 侵入成功!
そのままエレベーターに乗り込んで、透さんの 部屋の階を押す。
ゆっくりと閉まる扉にヤキモキしながら、“閉”と書いてあるボタンを押し続けた。
エレベーターが動き出して、やっと、ほーっと息をつく。
そう言えば、このエレベーターの中で、透さんにキスを仕掛けられた事があったっけ……。
扉が閉まりきらないうちに、不意に抱き寄せられて、細くて長い指に顎を掬い上げられて、透さんは少し強引に唇を重ねてきた。
いつエレベーターが止まって誰かが入って来るかもしれないのに……躊躇する俺の舌を絡め取って、腰が抜けそうなくらい咥内を翻弄された。
指で唇をなぞると、その時の感触が甦ってくる。
抱きしめられた時の腕のぬくもりや、悪戯っぽく笑った口元や、扇情的なのにその表情はクールで。
――『可愛いな……顔が真っ赤だよ』
そういう時の透さんの甘い声に、いつも堪らなくドキドキしてた。
思い出してドキドキしていたら、エレベータが12階で止まって、扉が開く。
――透さん……早く会いたい。
マンションには着いた……着いたんだけど……。
俺は今、透さんのマンションのエントランスで頭を抱えている。
「俺の馬鹿…… 」
このマンションのエントランスも、オートロックなんだよね。
まったく……最近のマンションときたら、何処もかしこも、オートロック。
……うん、オートロック、普通だよね。それはいいんだよ。
ただ……ただね、用事のある部屋の番号を押して呼び出さないといけないんだよね。
中に入るにしても、解除してもらわないと入れないし。
透さんが帰ってるかどうかも、まずここで部屋番号を押さない事には、わかんないんだよね。
でも……俺……、知らないんだ。
――透さんの部屋の番号をっ!
場所は分かってんだよ。でも部屋の番号がわかんねえんだよ。
携帯の番号なんかはさ、登録してたら普段見ないし、覚えてなくても仕方ないかもだけど……透さんの部屋番だよ? 部屋番!
なんで覚えてないんだよ、俺っ! ってか、部屋の番号なんて見てないしっ。
郵便受けにしたって、中に入らないと見れないし、駐車場に入るのも自動シャッターだから、透さんの車があるかないかもわからない。
――多分、あの部屋なんだよな……。
12階の角部屋を見上げたら、部屋の灯りは点いていない。
どうしようかと悩んでいたら、ラッキーな事に中から人が出てきた。
当然自動ドアが開く!
――やった!
俺は、何気ない素振りで、小さく会釈してスッと中に入った。
――よしっ! 侵入成功!
そのままエレベーターに乗り込んで、透さんの 部屋の階を押す。
ゆっくりと閉まる扉にヤキモキしながら、“閉”と書いてあるボタンを押し続けた。
エレベーターが動き出して、やっと、ほーっと息をつく。
そう言えば、このエレベーターの中で、透さんにキスを仕掛けられた事があったっけ……。
扉が閉まりきらないうちに、不意に抱き寄せられて、細くて長い指に顎を掬い上げられて、透さんは少し強引に唇を重ねてきた。
いつエレベーターが止まって誰かが入って来るかもしれないのに……躊躇する俺の舌を絡め取って、腰が抜けそうなくらい咥内を翻弄された。
指で唇をなぞると、その時の感触が甦ってくる。
抱きしめられた時の腕のぬくもりや、悪戯っぽく笑った口元や、扇情的なのにその表情はクールで。
――『可愛いな……顔が真っ赤だよ』
そういう時の透さんの甘い声に、いつも堪らなくドキドキしてた。
思い出してドキドキしていたら、エレベータが12階で止まって、扉が開く。
――透さん……早く会いたい。
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