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第四章:想う心と○○な味の……
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会社帰りの時間帯の混み合う車内で、俺は窓の向こうに次々と流れていく夜の街灯りを目で追っていた。
無理に決まっているのに、その速度がもっと上がらないかと願ってしまう自分に心の中で苦笑する。
ギュウギュウに押し潰されそうになりながらドアのガラス窓にへばり付いているのに、心なしかニヤけた自分の顔が、夜の風景と一緒にガラスに映りこんでいる。
ただ『好き』と言う気持ちに気付いただけで、これから透さんに会って玉砕するだけかもしれないのに……。
何がそんなに嬉しくて浮き足立っているのかと、自分で自分に突っ込みを入れたくなる。
――まだ時間が早いかな……。
8時を回ったくらいだと、透さんはまだ会社にいるかもしれない。
でもいいんだ。マンションに行って、もしまだ帰ってなかったとしても、終電ギリギリまで外で待っていようと思っていた。
それくらいの事は全く苦にならない程、気持ちは弾んでいて、ただ会いたかった。
透さんのマンションのある最寄駅で、人の波に押し流されるようにしてホームに降り立つ。
人いきれで汗ばむほどの混み合う車内から抜け出れば、頬を掠める冷たい風が気持ちをピシっと引き締めてくれる。
透さんのマンションまでは、駅から歩いて20分くらい。
ひんやりとした空気を胸いっぱい吸い込んで深呼吸をして、俺は焦らずにゆっくりと、でも大きな歩幅で歩きだした。
出会ってから今まで、自分から透さんに逢いに行くのは初めてだって事にも今更気が付いた。
大した事ではないと思うけど、でも、自分の気持ちを伝えるのには、凄く大事な事に思える。
――俺から、透さんに……逢いに行く……。
その言葉を頭の中で呟くと、顔が熱くなってきて、心臓がバクバクと煩い音を立て始める。
……早く逢いたい。
こんなに相手に逢いたいと思ったのも、生まれて初めてだと、今更ながら気が付いた。
――本当に好きなんだな、俺……って、なんだか初めて恋をした中学生みたいじゃん。
あ、でも、もしかしたら…これって初恋になるんかな。
初めて、本気で好きになれる人に出逢えたって事かな。
男だとか女だとか関係なくて、人を好きになるって世界で一番凄い事なんじゃないの?
俺にこんな気持ちを、気付かせてくれたみっきーって、やっぱすげえ。
もう今の俺って、頭ん中開けてみたら、脳みそピンクになってるんじゃないかってくらい、なんだかウキウキしてる。
透さんが俺の事を、どう思っているのかまだ分からないのに、俺は地に足がついていないような状態で、気が付いた時にはもう、透さんのマンションに着いていた。
会社帰りの時間帯の混み合う車内で、俺は窓の向こうに次々と流れていく夜の街灯りを目で追っていた。
無理に決まっているのに、その速度がもっと上がらないかと願ってしまう自分に心の中で苦笑する。
ギュウギュウに押し潰されそうになりながらドアのガラス窓にへばり付いているのに、心なしかニヤけた自分の顔が、夜の風景と一緒にガラスに映りこんでいる。
ただ『好き』と言う気持ちに気付いただけで、これから透さんに会って玉砕するだけかもしれないのに……。
何がそんなに嬉しくて浮き足立っているのかと、自分で自分に突っ込みを入れたくなる。
――まだ時間が早いかな……。
8時を回ったくらいだと、透さんはまだ会社にいるかもしれない。
でもいいんだ。マンションに行って、もしまだ帰ってなかったとしても、終電ギリギリまで外で待っていようと思っていた。
それくらいの事は全く苦にならない程、気持ちは弾んでいて、ただ会いたかった。
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人いきれで汗ばむほどの混み合う車内から抜け出れば、頬を掠める冷たい風が気持ちをピシっと引き締めてくれる。
透さんのマンションまでは、駅から歩いて20分くらい。
ひんやりとした空気を胸いっぱい吸い込んで深呼吸をして、俺は焦らずにゆっくりと、でも大きな歩幅で歩きだした。
出会ってから今まで、自分から透さんに逢いに行くのは初めてだって事にも今更気が付いた。
大した事ではないと思うけど、でも、自分の気持ちを伝えるのには、凄く大事な事に思える。
――俺から、透さんに……逢いに行く……。
その言葉を頭の中で呟くと、顔が熱くなってきて、心臓がバクバクと煩い音を立て始める。
……早く逢いたい。
こんなに相手に逢いたいと思ったのも、生まれて初めてだと、今更ながら気が付いた。
――本当に好きなんだな、俺……って、なんだか初めて恋をした中学生みたいじゃん。
あ、でも、もしかしたら…これって初恋になるんかな。
初めて、本気で好きになれる人に出逢えたって事かな。
男だとか女だとか関係なくて、人を好きになるって世界で一番凄い事なんじゃないの?
俺にこんな気持ちを、気付かせてくれたみっきーって、やっぱすげえ。
もう今の俺って、頭ん中開けてみたら、脳みそピンクになってるんじゃないかってくらい、なんだかウキウキしてる。
透さんが俺の事を、どう思っているのかまだ分からないのに、俺は地に足がついていないような状態で、気が付いた時にはもう、透さんのマンションに着いていた。
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