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第四章:想う心と○○な味の……
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「みっきーと一緒にいると楽しいし……会えなくなるのは寂しいよ」
「……俺の事、好きでしょ?」
――好き……それは、好きなのは確かなんだけど……でも……。
「好き、だけど……でも……その好きは、えーと、友人としての好きで……」
「まだ昇格しないの?」
「え?」
「恋人に昇格、もうしても良いと思うんだけど」
みっきーは、あの日からずっと……
気が付いたら透さんの事で自分でもよく分からない気持ちを抱え込んで、沈みがちだった俺の傍にずっといてくれて……。透さんのことは敢えて口に出さずに、飯の心配してくれてたり、いつもさり気なく元気付けてくれているのを俺は知ってる。
会うたびに冗談なのか本気なのか……多分本気だと分かってるけど、みっきーなりに毎回愛の告白をしてくれて……。
だけど、今日みたいに身体に触れてくるような事はなくて……。
俺の事を大事にしてくれていたのも、凄く嬉しくて。
「俺は、直に会えなくなるのは、死ぬほど辛いんだけど……直は?」
「俺は……」
寂しいと思う。だけど辛いとは違う。
「まだ透さんの事が気になるの?」
その答えが、まだ出ていない。
もう、気にならない……なんて思えなくて。だからこそ今も悩んでる。
その問いに答える事ができなくて、みっきーの真っ直ぐな視線から目を逸らしてしまった。
「……もう忘れなって。あれから連絡こないんでしょう?」
そう……連絡はこない。透さんのアドレスも番号も消してしまったから俺からは出来ないし。だから本当は、透さんから連絡がくるのを、いつも心の何処かで待っていた。
「直の事を本気で好きなら、こんなに連絡がこないなんて事、ないと思うんだけど?」
「……それはっ……」
――そうだけど……でも……あんな別れ方をしたんだから、透さんだって多少気まずくて、なかなか連絡できない事だってあるだろうし……。
って、俺は、どうしても都合の良い方に考えてしまうんだけど。
「もう2月になるんだよ?」
みっきーが、溜め息を吐きながら言った。
「透はもう、忘れてるよ直の事」
「え?」
あれ? また呼び捨てにした? と、チラッと思ったけど、それよりも……。
――透さんがもう、俺の事なんか忘れてる……。
そんな事……今まで考えた事なかった。
「きっともう、直の事は忘れて彼女とかつくってるよ。あんなに男前だもん」
――ああ、……そうだな……。
みっきーに言われて気が付くなんて、俺は間抜けだ。
透さんも俺の事をまだ考えてくれてるなんて、可能性は低いじゃないか。
透さんは何も悪くなかったのに、俺はみっきーと……。
しかもその事を、透さんは知ってしまっていて。
――『俺、もう、連絡しないっ、もう透さんには会わないっ』
俺の方から、もう会わないって言ったんだっけ……。
「直……」
みっきーの俺を呼ぶ声が、遠くなっていくようだった。
もう、会うこともできない……それがどういう事なのか、やっと分かったような気がして……。
「……俺の事、好きでしょ?」
――好き……それは、好きなのは確かなんだけど……でも……。
「好き、だけど……でも……その好きは、えーと、友人としての好きで……」
「まだ昇格しないの?」
「え?」
「恋人に昇格、もうしても良いと思うんだけど」
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会うたびに冗談なのか本気なのか……多分本気だと分かってるけど、みっきーなりに毎回愛の告白をしてくれて……。
だけど、今日みたいに身体に触れてくるような事はなくて……。
俺の事を大事にしてくれていたのも、凄く嬉しくて。
「俺は、直に会えなくなるのは、死ぬほど辛いんだけど……直は?」
「俺は……」
寂しいと思う。だけど辛いとは違う。
「まだ透さんの事が気になるの?」
その答えが、まだ出ていない。
もう、気にならない……なんて思えなくて。だからこそ今も悩んでる。
その問いに答える事ができなくて、みっきーの真っ直ぐな視線から目を逸らしてしまった。
「……もう忘れなって。あれから連絡こないんでしょう?」
そう……連絡はこない。透さんのアドレスも番号も消してしまったから俺からは出来ないし。だから本当は、透さんから連絡がくるのを、いつも心の何処かで待っていた。
「直の事を本気で好きなら、こんなに連絡がこないなんて事、ないと思うんだけど?」
「……それはっ……」
――そうだけど……でも……あんな別れ方をしたんだから、透さんだって多少気まずくて、なかなか連絡できない事だってあるだろうし……。
って、俺は、どうしても都合の良い方に考えてしまうんだけど。
「もう2月になるんだよ?」
みっきーが、溜め息を吐きながら言った。
「透はもう、忘れてるよ直の事」
「え?」
あれ? また呼び捨てにした? と、チラッと思ったけど、それよりも……。
――透さんがもう、俺の事なんか忘れてる……。
そんな事……今まで考えた事なかった。
「きっともう、直の事は忘れて彼女とかつくってるよ。あんなに男前だもん」
――ああ、……そうだな……。
みっきーに言われて気が付くなんて、俺は間抜けだ。
透さんも俺の事をまだ考えてくれてるなんて、可能性は低いじゃないか。
透さんは何も悪くなかったのに、俺はみっきーと……。
しかもその事を、透さんは知ってしまっていて。
――『俺、もう、連絡しないっ、もう透さんには会わないっ』
俺の方から、もう会わないって言ったんだっけ……。
「直……」
みっきーの俺を呼ぶ声が、遠くなっていくようだった。
もう、会うこともできない……それがどういう事なのか、やっと分かったような気がして……。
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