出逢えた幸せ

ずーちゃ

文字の大きさ
上 下
108 / 351
第四章:想う心と○○な味の……

(6)*

しおりを挟む
 店内で流れている音楽が、低く聴こえている。

 古木風に仕上げたアンティークなウッドフロアを歩く靴の音すら、この部屋まで届いている。

 さっき俺が椅子から落ちた音や声も、店の方に聞こえてるんじゃないかと思う。なのにみっきーは全然止める気配がなくて、服の下へ侵入してきた手に胸の突起を弄られた。

 密着した腰が、ジーンズ越しにみっきーのモノが硬く主張している事を教えてくる。

「……ンっ……ん、……っ」

 俺は、今にも零れ落ちそうな涙と、嫌でも漏れてしまう甘い声を隠したくて、片方だけ解放された腕を自分の顔に押し付けた。

 与えられる刺激は気持ちよくて、中心に熱が集まるのを止める事ができなくて、半ば……もう、このまま流されてもいいか……なんて考えが頭を過ぎる。

「直、もう透の事は忘れなよ」

 耳を擽るような、いつもよりも一段と低い声に、ゾクリと身体が反応するけど……、なんとなく聞き流した言葉に、ふと、引っかかりを覚えた。

 あれ?……今、「透」って呼び捨てにしなかった?

 確かに……透って呼び捨てた。

 偶々なのか? それとも、俺がいつまでもグズグズと考えているからイラついた?

「……俺にしときなよ」

 みっきーは続けてそう囁くと、俺の耳に唇を押し付けて、苦しい程に抱き締められた。

「……みっきッ……?」

 顔を隠した腕を上げて、みっきーを覗き見ると、少し困った顔をして微笑んでる。

「……何か、あったの?」

 今日のみっきーは、どこか変だと思った。車に乗ってる時からずっと。

「もしも、もしもだよ? 俺と会えなくなったら、直は寂しい?」

 お互いの鼻先が触れ合うくらいの距離で見つめられて、みっきーは少し甘えたような声でそう言った。

「……? そりゃ、寂しいと思うけど? どっか行くの? みっきー」

 さっきまであんなに抵抗しても放してくれなかったのに、みっきーは俺を抱き起こすと、傍の椅子に座らせてくれた。

「少しの間会えなくなるのじゃなくて、もう二度と会えなくなったとしたら、直はどうする?」

「え?」

 どうするって言われても……あまりにも唐突過ぎて、意味が解らない。みっきーが何を言いたいのか。

 二度と会えなくなるって、どういうことなんだろう。

しおりを挟む
B L ♂ U N I O N

感想などお待ちしております。
★メール★clap★res
感想 380

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ハルとアキ

花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』 双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。 しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!? 「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。 だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。 〝俺〟を愛してーー どうか気づいて。お願い、気づかないで」 ---------------------------------------- 【目次】 ・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉 ・各キャラクターの今後について ・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉 ・リクエスト編 ・番外編 ・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉 ・番外編 ---------------------------------------- *表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) * ※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。 ※心理描写を大切に書いてます。 ※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

Promised Happiness

春夏
BL
【完結しました】 没入型ゲームの世界で知り合った理久(ティエラ)と海未(マール)。2人の想いの行方は…。 Rは13章から。※つけます。 このところ短期完結の話でしたが、この話はわりと長めになりました。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

ヤンキーDKの献身

ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。 ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。 性描写があるものには、タイトルに★をつけています。 行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。

思い出して欲しい二人

春色悠
BL
 喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。  そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。  一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。  そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

処理中です...