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第四章:想う心と○○な味の……
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冬休みも終わったら、あっと言う間に後期試験が始まる。
レポートの提出期限も迫っていたので、あれから俺は結構真面目に学生していた。
気が付いたら透さんの事を考えてしまうから、今は勉強に集中できる環境がちょうど良いくらいだった。
試験が終わるまではバイトも減らしていたけど、金曜日は意識して入らせてもらっていた。もしかしたら……、透さんに会えるんじゃないかって……心の何処かで思っていたから。
でも……って言うか、やっぱり透さんがカフェに現れる事はなくて。
会えたとしても、どんな顔していいのか話しかけていいものか分からなかったから、透さんが来なかった事に、少しホッとする自分もいたりしている。
逢いたいけど、会いたくない。
会うのが怖いけど、逢いたい……。
自分でもよく分からない気持ちを抱えたまま、日々は平常通り何もなかったように過ぎていく。
前と少し変わった事と言えば……、女の子に誘われても断るようになった。
今まで遊び過ぎていた俺が、突然誘いに乗らなくなったからか、いつの頃からか『直には本命の彼女ができた』って噂まで流れていた。
啓太に、『誰だよ?!』って、何度もしつこく訊かれたけど、彼女なんていないって言ってるのに、なかなか信用してくれない。
「ま、まさか……ゆり先輩じゃないよね?」
「違うよっ! 絶対ないから!」
「ホントに? 信じていい?」
「……?」
なんか……、啓太の言い方に違和感……。
「啓太……、お前……ゆり先輩と何かあった?」
「えっ? いや? べ、別にないけど……、あ、えーと……うん、ゆり先輩と直って、なんか仲良かったじゃん? だからさ……ちょっと心配で……」
なんか、心なしか顔を赤らめている啓太に、疑惑がどんどん大きくなる。
「啓太、ゆり先輩とヤッた?」
「……!!」
みるみる耳まで真っ赤になる嘘がつけない啓太に、俺は溜め息を吐いた。
こいつ……うちの姉貴を好きだった事と言い、ゆり先輩と言い……、もしかして押しの強い女が好きなのかな。
「んで? 付き合ってるんだ?」
「んー、あー、もう、バレちゃったらしょうがないよねー。えへへへへ」
何がえへへだ! 俺には、あんまり独り占めすんなとか、言ってたくせに。
「いつからだよ」
「ん、えーと、サークルの新年会の日……かな……」
なっ、なんと! 驚愕の事実……!
「あのさ、啓太」
「……ん?」
「……いや、その……」
絶対コイツ、ゆり先輩に振り回されてんだろうなーって、思うけど……満面の笑みで、いかにも幸せって書いてありそうな啓太の顔を見てたら……。
「……今、幸せですか?」
……なんて訊いてしまっていた。
「まぁな~」とか言いながら、鼻の下伸ばして顔中が緩んでるから、もう俺、何も言わずに影ながら応援する事に……する。
あと一つ、前と変わった事と言えば……。
「なーーーおっ! なーお!」
突然……と、言うか、まあ、いつもの事だから予想はしてた……けど、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきて(またか……)と、苦笑しながら、ちょっと大げさな溜め息を吐いた。
「……みっき……」
もう毎度の事で慣れたけど、ちゃっかり大学の門の所で待ち構えて、デカイ声で名前を呼ぶのはやめてくれ。
宣言通りみっきーは、こうして大学やバイト先まで迎えに来たりして、その度に愛の告白をしてくれる。
レポートの提出期限も迫っていたので、あれから俺は結構真面目に学生していた。
気が付いたら透さんの事を考えてしまうから、今は勉強に集中できる環境がちょうど良いくらいだった。
試験が終わるまではバイトも減らしていたけど、金曜日は意識して入らせてもらっていた。もしかしたら……、透さんに会えるんじゃないかって……心の何処かで思っていたから。
でも……って言うか、やっぱり透さんがカフェに現れる事はなくて。
会えたとしても、どんな顔していいのか話しかけていいものか分からなかったから、透さんが来なかった事に、少しホッとする自分もいたりしている。
逢いたいけど、会いたくない。
会うのが怖いけど、逢いたい……。
自分でもよく分からない気持ちを抱えたまま、日々は平常通り何もなかったように過ぎていく。
前と少し変わった事と言えば……、女の子に誘われても断るようになった。
今まで遊び過ぎていた俺が、突然誘いに乗らなくなったからか、いつの頃からか『直には本命の彼女ができた』って噂まで流れていた。
啓太に、『誰だよ?!』って、何度もしつこく訊かれたけど、彼女なんていないって言ってるのに、なかなか信用してくれない。
「ま、まさか……ゆり先輩じゃないよね?」
「違うよっ! 絶対ないから!」
「ホントに? 信じていい?」
「……?」
なんか……、啓太の言い方に違和感……。
「啓太……、お前……ゆり先輩と何かあった?」
「えっ? いや? べ、別にないけど……、あ、えーと……うん、ゆり先輩と直って、なんか仲良かったじゃん? だからさ……ちょっと心配で……」
なんか、心なしか顔を赤らめている啓太に、疑惑がどんどん大きくなる。
「啓太、ゆり先輩とヤッた?」
「……!!」
みるみる耳まで真っ赤になる嘘がつけない啓太に、俺は溜め息を吐いた。
こいつ……うちの姉貴を好きだった事と言い、ゆり先輩と言い……、もしかして押しの強い女が好きなのかな。
「んで? 付き合ってるんだ?」
「んー、あー、もう、バレちゃったらしょうがないよねー。えへへへへ」
何がえへへだ! 俺には、あんまり独り占めすんなとか、言ってたくせに。
「いつからだよ」
「ん、えーと、サークルの新年会の日……かな……」
なっ、なんと! 驚愕の事実……!
「あのさ、啓太」
「……ん?」
「……いや、その……」
絶対コイツ、ゆり先輩に振り回されてんだろうなーって、思うけど……満面の笑みで、いかにも幸せって書いてありそうな啓太の顔を見てたら……。
「……今、幸せですか?」
……なんて訊いてしまっていた。
「まぁな~」とか言いながら、鼻の下伸ばして顔中が緩んでるから、もう俺、何も言わずに影ながら応援する事に……する。
あと一つ、前と変わった事と言えば……。
「なーーーおっ! なーお!」
突然……と、言うか、まあ、いつもの事だから予想はしてた……けど、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきて(またか……)と、苦笑しながら、ちょっと大げさな溜め息を吐いた。
「……みっき……」
もう毎度の事で慣れたけど、ちゃっかり大学の門の所で待ち構えて、デカイ声で名前を呼ぶのはやめてくれ。
宣言通りみっきーは、こうして大学やバイト先まで迎えに来たりして、その度に愛の告白をしてくれる。
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