98 / 351
第三章:身体と愛と涙味の……
(30)*
しおりを挟む
それって……。
俺は、透さんに抱かれながら、みっきーに抱かれているつもりでいると勘違いしているって事?
俺が今、顔を見たいのは、透さんじゃなくて、みっきーだろって言っているのか?
「っ……、ちっ……ちが、うッ」
身体を捩って振り返ろうとすれば、それを阻止するように透さんが顔を俺の項に埋めるから、顔を見る事もできない。
「と、おるッさ……ぁ、ぁッ、」
透さんは、俺の左足の膝裏を掬い上げ、もっと深いところを突き上げる。
シンクに凭れさせている体が突かれる度にワークトップにずり上がった。
「何が、……違うっ?」
深いところを突き上げられる衝撃で崩れそうになるバランスを、胸に回された透さんの腕に支えられる。
「あ、の人は、そ、んなんじゃぁッ、ないッ」
そのまま支えている手に胸の尖りを摘みあげられた。
ピリッと電気が走るような刺激が身体を駆け抜けて、必死に訴える言葉は途切れてしまう。
「あ、……ぁあッ」
「好きな人じゃ……っ、ない、って、こと?」
透さんの問いに、俺は何度も無言で頷いた。
律動に合わせて、密着した透さんの太股と俺の双珠が擦れる刺激と、前立腺を抉られる快感に、腰の奥がじんじんと熱を持ち蕩けていく。
触られてもいない半身は脈打って、水位が限界まで上がってくる。
「あ、も……っ、イクっ、イ、ッく、ん……!」
透さんの動きが速くなって、高まっていく快感が頂点に届くとともに、瞼の裏に閃光が走る。
「——くッ……」
キッチンのキャビネットにパタパタと音を立てながら白濁が飛び散っていく。それと同時に俺の身体の奥深くに、透さんの熱が広がるのを感じた。
荒い息を吐きながら、弛んだ身体をシンクに預けていた俺の背中に、透さんが体重をかけてくる。
背中に感じる透さんの重みと、スーツの下の汗ばんだ肌。熱を孕んだ荒い息遣い。
そして、耳元に冷たい空気を纏った声が落とされた。
「……そう……、相手は、誰でも……、いいって……事だね……」
「……なッ?……ン、っ……」
透さんの言ってる事が解らなくて、身を捩って透さんから身体を離すと、まだ中に挿っていた透さん自身が、ズルリと出ていく感覚に吐息が漏れる。
内股を熱い液体が伝い落ちた。
「気持ちが良ければ、それでいいんだよね?」
「……!」
「別に悪い事じゃないよ」
スラックスのファスナーとベルトを外しただけだった服を整えながら、透さんの呟くような言葉が耳に届いて……その時、俺の中で何かが壊れたような気がしたんだ。
――そうだ。別に悪い事じゃない……。
だって今までも女の子とそう言う関係を続けていたじゃないか。
透さんの事も……、
みっきーの事も……、
今までと同じ……。
――それに……、
それに……、透さんだって! 俺と同じじゃないか。
俺は、透さんに抱かれながら、みっきーに抱かれているつもりでいると勘違いしているって事?
俺が今、顔を見たいのは、透さんじゃなくて、みっきーだろって言っているのか?
「っ……、ちっ……ちが、うッ」
身体を捩って振り返ろうとすれば、それを阻止するように透さんが顔を俺の項に埋めるから、顔を見る事もできない。
「と、おるッさ……ぁ、ぁッ、」
透さんは、俺の左足の膝裏を掬い上げ、もっと深いところを突き上げる。
シンクに凭れさせている体が突かれる度にワークトップにずり上がった。
「何が、……違うっ?」
深いところを突き上げられる衝撃で崩れそうになるバランスを、胸に回された透さんの腕に支えられる。
「あ、の人は、そ、んなんじゃぁッ、ないッ」
そのまま支えている手に胸の尖りを摘みあげられた。
ピリッと電気が走るような刺激が身体を駆け抜けて、必死に訴える言葉は途切れてしまう。
「あ、……ぁあッ」
「好きな人じゃ……っ、ない、って、こと?」
透さんの問いに、俺は何度も無言で頷いた。
律動に合わせて、密着した透さんの太股と俺の双珠が擦れる刺激と、前立腺を抉られる快感に、腰の奥がじんじんと熱を持ち蕩けていく。
触られてもいない半身は脈打って、水位が限界まで上がってくる。
「あ、も……っ、イクっ、イ、ッく、ん……!」
透さんの動きが速くなって、高まっていく快感が頂点に届くとともに、瞼の裏に閃光が走る。
「——くッ……」
キッチンのキャビネットにパタパタと音を立てながら白濁が飛び散っていく。それと同時に俺の身体の奥深くに、透さんの熱が広がるのを感じた。
荒い息を吐きながら、弛んだ身体をシンクに預けていた俺の背中に、透さんが体重をかけてくる。
背中に感じる透さんの重みと、スーツの下の汗ばんだ肌。熱を孕んだ荒い息遣い。
そして、耳元に冷たい空気を纏った声が落とされた。
「……そう……、相手は、誰でも……、いいって……事だね……」
「……なッ?……ン、っ……」
透さんの言ってる事が解らなくて、身を捩って透さんから身体を離すと、まだ中に挿っていた透さん自身が、ズルリと出ていく感覚に吐息が漏れる。
内股を熱い液体が伝い落ちた。
「気持ちが良ければ、それでいいんだよね?」
「……!」
「別に悪い事じゃないよ」
スラックスのファスナーとベルトを外しただけだった服を整えながら、透さんの呟くような言葉が耳に届いて……その時、俺の中で何かが壊れたような気がしたんだ。
――そうだ。別に悪い事じゃない……。
だって今までも女の子とそう言う関係を続けていたじゃないか。
透さんの事も……、
みっきーの事も……、
今までと同じ……。
――それに……、
それに……、透さんだって! 俺と同じじゃないか。
5
お気に入りに追加
467
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

Promised Happiness
春夏
BL
【完結しました】
没入型ゲームの世界で知り合った理久(ティエラ)と海未(マール)。2人の想いの行方は…。
Rは13章から。※つけます。
このところ短期完結の話でしたが、この話はわりと長めになりました。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ヤンキーDKの献身
ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。
ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。
性描写があるものには、タイトルに★をつけています。
行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる