出逢えた幸せ

ずーちゃ

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第三章:身体と愛と涙味の……

(29)*

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 みっきーが塗った薬が効いたのか、さっき指を挿れられた瞬間は少し痛かったけど、今はそうでもない。

 透さんは、中に挿れた指をぐるりと一度だけ回転させると、すぐに外へ引き抜いた。

 また身体を反転させられて、シンクの縁に手を付かされて、透さんが後ろから俺のジーンズと下着を一気にずり下ろす。

「……透さん……ッ」

 一連の動きがまるで機械のようで、それが自分のせいだと思うと辛い。

 後ろでカチャカチャとベルトを外す金属音と、ファスナーを下げる音が聞こえてくる。

 腰をぐっと掴んで引き寄せられて、俺はシンクの縁をぎゅっと握った。

 透さんの熱い切っ先が、後ろの入り口に押し付けられる。

 殆ど解さず、いきなり肌に感じた熱に、次にくる衝撃を予想して身体が大きく震えてしまう。

「……あ、ッ……あ!」

 肉を割り開き、先端が潜り込んだ瞬間、鋭い痛みに背中を反らして小さな悲鳴を上げた。

 俺の腰をしっかりと掴んで固定して、透さんはゆっくりと腰を進めていく。俺は透さんの猛りを受け入れようと、その動きに合わせて息を吐いた。

 透さんが纏っている冷たい空気とは反対に、内壁を押し広げるように入ってくるそれは、中を溶かしてしまいそうなくらい熱い。

 全てを俺の中に収めて、透さんは背後から俺の腰を抱きしめる。そして……小さく零した吐息が聞こえてきた。

 体をぴったりと合わせていれば、透さんの心臓の音が肌を通して伝わってくる。

 俺の心臓の音も、透さんに伝わっているんだろうか。

 中が馴染むのを待つように、じっとしていた透さんが、ゆるゆると律動を始めた。

 ゆっくりとした動きで引き抜かれる度に、俺の中の熱を持った襞が、透さん自身を引き留めるように絡みつくのを感じる。

「ん、あぁぁ……ッ」

 そして律動は、徐々に速くなっていく。

 時々、感じる部分を擦られると快感に背中が撓る。

 何度も最奥まで突き上げられて揺さぶられるうちに、俺の腕は体を支えきれなくなって、シンクに体重をかけて、上半身を預けた。
 
 気持ちよさに喘ぎ声が止まらなくなっていく。

 背後から聞こえてくる透さんの吐息も熱くて、もしかしたらもう冷たい空気は消えてるんじゃないかって思ったから……だから……

「あ……、あッ、後ろ……、ヤッ……だ、前からが、イイッ」

「どうして?」

「顔、みえ……な……ッから……ッ」

 く時は、顔を見ながらイきたかった。……だだそれだけなのに。

「……何か……勘違いしていない? 直くん」

 ……冷めた声が返ってくる。

「え? ……あ……ッ」

 話しながらも、動きが更に激しくなって……、背後から聞こえた透さんの哀しい言葉が、俺の胸を奥まで貫いた。

「……俺は……、あの人じゃ、ない……」

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