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第三章:身体と愛と涙味の……
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「みっきーって、一人暮らしなの?」
マジ寝してて何分位経ったのか分からないけど、「着いたよ」と起こされてタクシーを降りると、目の前には豪華なマンション。
どうぞ、と中に通された最上階のみっきーの部屋は、到底一人暮らしとは思えない程の広さだった。
玄関のたたきとか、あれ…、大理石なんじゃないのかな。
白と黒を基調にしたリビングダイニングも、めちゃめちゃ広くって、大きな吐き出し窓が壁一面に広がっていて、外はマンションとは思えない程の大きなバルコニーって言うか、テラス?
そんでもって、メゾネットタイプっていうの? リビングダイニングから螺旋階段で下の階に行けるようになってる。
「そうだよ、一人暮らし。あ、まぁでも、この物件は元々は親の持ち物なんだけどね。余ってても、もったいないからさ、俺が使ってるの」
「へ、へぇぇ、みっきーって、もしかして、お坊ちゃまとか?」
「まぁー、そうかもね。はは」
興味津々であちこちキョロキョロしている間に、みっきーは咥え煙草でコーヒーの豆を計って、手動のミルでゴリゴリ挽き始めた。
ろ紙に挽き粉を入れて、ポットのお湯をゆっくりと入れていく。
部屋に煙草の匂いとコーヒーの香りが漂って、なんかまるで何処かのコーヒー専門店に居るような気分になってくる。
「良い香りだね」
「この香りが堪らなく好きでね」
コーヒーを入れながら、煙草の煙を細く吐き出す姿は、なんだかコーヒーショップのマスターみたいだ。
オープンキッチンに面した白いカウンターに、入れたてのコーヒー。
なんか、めちゃめちゃお洒落なんですけど!
コーヒーの香りに誘われて、少し高めのカウンターチェアーに座ろうとした瞬間……、
「……っ……」
なんとなく、後ろが……。
「何? もしかして、痛い?」
「え、あ、いや、痛いって程じゃないけど……す、座ってしまえば大丈夫みたい」
座ってしまえば、そんなに痛みは感じない。
「ふーむ、切れてはないとは思うんだけど……もしかして腫れてるかもしれないな」
腫れてる……確かに腫れていても可笑しくないかも。
「ま、あんだけヤレば……ね。ハハ」
「ハハって、誰のせいだと?!」
まぁまぁ、とか言いながら、唇を尖らしている俺を宥めるように、チュっとリップ音を立ててキスをしてくる。 ホントにこの人は……。
「それ飲んだら、やっぱりちょっとシャワー浴びておいでよ。痛いとこは ぬるま湯で流してさ。出たら薬塗ってあげるから」
「く、くすり?」
「大丈夫だよ、変な薬じゃないから。痛みと腫れに効く軟膏だから」
――そんなの家にあるなんて、随分と用意がいいんだな。
「使わないといけない事が、よくあるとか?」
昨夜の絶倫っぷりを思い起こすと、納得するけど。
「ぶっ! そんな事……まぁ、あるかもな。いいからコーヒー飲んだらシャワーしておいで。その間に何か食べるものでも作っておくから」
やっぱりあるんですか……。ちっとも悪びれない様子で、にっ、と口角を上げるみっきーに呆れながら、いい香りのするコーヒーを口に含む。
「美味しい……」
ああ、なんか本当にホッとする。
「だろ?」
みっきーは、にっこり微笑んで、煙草の紫煙を細く吐き出した。
「みっきーって、一人暮らしなの?」
マジ寝してて何分位経ったのか分からないけど、「着いたよ」と起こされてタクシーを降りると、目の前には豪華なマンション。
どうぞ、と中に通された最上階のみっきーの部屋は、到底一人暮らしとは思えない程の広さだった。
玄関のたたきとか、あれ…、大理石なんじゃないのかな。
白と黒を基調にしたリビングダイニングも、めちゃめちゃ広くって、大きな吐き出し窓が壁一面に広がっていて、外はマンションとは思えない程の大きなバルコニーって言うか、テラス?
そんでもって、メゾネットタイプっていうの? リビングダイニングから螺旋階段で下の階に行けるようになってる。
「そうだよ、一人暮らし。あ、まぁでも、この物件は元々は親の持ち物なんだけどね。余ってても、もったいないからさ、俺が使ってるの」
「へ、へぇぇ、みっきーって、もしかして、お坊ちゃまとか?」
「まぁー、そうかもね。はは」
興味津々であちこちキョロキョロしている間に、みっきーは咥え煙草でコーヒーの豆を計って、手動のミルでゴリゴリ挽き始めた。
ろ紙に挽き粉を入れて、ポットのお湯をゆっくりと入れていく。
部屋に煙草の匂いとコーヒーの香りが漂って、なんかまるで何処かのコーヒー専門店に居るような気分になってくる。
「良い香りだね」
「この香りが堪らなく好きでね」
コーヒーを入れながら、煙草の煙を細く吐き出す姿は、なんだかコーヒーショップのマスターみたいだ。
オープンキッチンに面した白いカウンターに、入れたてのコーヒー。
なんか、めちゃめちゃお洒落なんですけど!
コーヒーの香りに誘われて、少し高めのカウンターチェアーに座ろうとした瞬間……、
「……っ……」
なんとなく、後ろが……。
「何? もしかして、痛い?」
「え、あ、いや、痛いって程じゃないけど……す、座ってしまえば大丈夫みたい」
座ってしまえば、そんなに痛みは感じない。
「ふーむ、切れてはないとは思うんだけど……もしかして腫れてるかもしれないな」
腫れてる……確かに腫れていても可笑しくないかも。
「ま、あんだけヤレば……ね。ハハ」
「ハハって、誰のせいだと?!」
まぁまぁ、とか言いながら、唇を尖らしている俺を宥めるように、チュっとリップ音を立ててキスをしてくる。 ホントにこの人は……。
「それ飲んだら、やっぱりちょっとシャワー浴びておいでよ。痛いとこは ぬるま湯で流してさ。出たら薬塗ってあげるから」
「く、くすり?」
「大丈夫だよ、変な薬じゃないから。痛みと腫れに効く軟膏だから」
――そんなの家にあるなんて、随分と用意がいいんだな。
「使わないといけない事が、よくあるとか?」
昨夜の絶倫っぷりを思い起こすと、納得するけど。
「ぶっ! そんな事……まぁ、あるかもな。いいからコーヒー飲んだらシャワーしておいで。その間に何か食べるものでも作っておくから」
やっぱりあるんですか……。ちっとも悪びれない様子で、にっ、と口角を上げるみっきーに呆れながら、いい香りのするコーヒーを口に含む。
「美味しい……」
ああ、なんか本当にホッとする。
「だろ?」
みっきーは、にっこり微笑んで、煙草の紫煙を細く吐き出した。
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