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第二章:迷う心とタバコ味の……
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「……いや、まださ、ちゃんと付き合ってるわけでなくて、でも付き合ってるような事はしてるって言うか……」
未だになんだか曖昧な関係。相手が男って言うのが、そもそもよく分からない関係の原因なんじゃって、気もするけど、そこは啓太には言えないし……。
「なんで、ハッキリと彼女に訊かないの? どうして元彼の写真なんで飾ってるの?って、訊けばスッキリすんじゃねえの?」
「それはそうなんだけど、なんだか言いにくくって……」
「ふぅん、そんなもんなのかな」
人んちのお節を、遠慮なくバクバク食いながら、啓太が俺の顔を真っ直ぐに見つめる。
「直は、その彼女の事を本当に好きなんだな」
「え?」
な……、何言ってんの、啓太。
「だってさ、彼女の事で悩んでる直なんて、初めて見たよ、俺」
「……」
な、なんか、何も言えない俺……。
「今までは、たとえ付き合ってる彼女の事でも、悩む事なんて一度もなかっただろ? つーか、彼女の事に関心が無かっただろ?」
そう言えば……今まで恋愛で悩んだ事って、ないかも……って言うか、何も考えてなかったような気がしてきたんだけど……。
「だから、今回は直も本気なんかなーって、思った。それに俺、その彼女に会ってみたい」
「え? なんで?」
「直に、そんな恋する顔をさせる女って、どんなイイ女なのかなーって、興味津々」
「……恋する顔……」
何、その恥ずかしい台詞……俺、今どんな顔してんの?
「だからさ、ちゃんと訊いてみろよ、写真の事」
啓太は俺の背中をバンバン叩きながら言った。
「そうだな……」
透さんが俺の事を、どう思ってるのか分からないし、俺の透さんへの気持ちが、啓太の言う恋なのかも、はっきりしていないけど。
今度、透さんのマンションに行って、まだあの写真を飾っていたら訊いてみよう。そうしたら、このモヤモヤしたものが何なのか、分かるかもしれない。
「啓太って、意外に頼りになるな……」
なんかちょっと、目からウロコって、こういうこと? って感じで、なんとなく目の前が開けたって言うか。
「はっ? 今頃気付くなんて遅いんだよ!」
ちょっと誉めたら、これだから啓太は……。
――でも、ありがとな。
照れるから、言葉には出さないで、心の中でそう言った。
……でも……、
透さんが彼女のことを今も好きなのか、それできっと、はっきり分かるし、で、俺もその答えによっては……。
そこまで考えると、また胸の奥が苦しくなる。
だからもう、考えるのはやめよう。次に透さんのマンションに行く日まで。そう自分に言い聞かせていた。
未だになんだか曖昧な関係。相手が男って言うのが、そもそもよく分からない関係の原因なんじゃって、気もするけど、そこは啓太には言えないし……。
「なんで、ハッキリと彼女に訊かないの? どうして元彼の写真なんで飾ってるの?って、訊けばスッキリすんじゃねえの?」
「それはそうなんだけど、なんだか言いにくくって……」
「ふぅん、そんなもんなのかな」
人んちのお節を、遠慮なくバクバク食いながら、啓太が俺の顔を真っ直ぐに見つめる。
「直は、その彼女の事を本当に好きなんだな」
「え?」
な……、何言ってんの、啓太。
「だってさ、彼女の事で悩んでる直なんて、初めて見たよ、俺」
「……」
な、なんか、何も言えない俺……。
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「え? なんで?」
「直に、そんな恋する顔をさせる女って、どんなイイ女なのかなーって、興味津々」
「……恋する顔……」
何、その恥ずかしい台詞……俺、今どんな顔してんの?
「だからさ、ちゃんと訊いてみろよ、写真の事」
啓太は俺の背中をバンバン叩きながら言った。
「そうだな……」
透さんが俺の事を、どう思ってるのか分からないし、俺の透さんへの気持ちが、啓太の言う恋なのかも、はっきりしていないけど。
今度、透さんのマンションに行って、まだあの写真を飾っていたら訊いてみよう。そうしたら、このモヤモヤしたものが何なのか、分かるかもしれない。
「啓太って、意外に頼りになるな……」
なんかちょっと、目からウロコって、こういうこと? って感じで、なんとなく目の前が開けたって言うか。
「はっ? 今頃気付くなんて遅いんだよ!」
ちょっと誉めたら、これだから啓太は……。
――でも、ありがとな。
照れるから、言葉には出さないで、心の中でそう言った。
……でも……、
透さんが彼女のことを今も好きなのか、それできっと、はっきり分かるし、で、俺もその答えによっては……。
そこまで考えると、また胸の奥が苦しくなる。
だからもう、考えるのはやめよう。次に透さんのマンションに行く日まで。そう自分に言い聞かせていた。
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