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第二章:迷う心とタバコ味の……
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透さんの家に向う車の中、会話の間に少しでも沈黙があると、微妙に気まずい。 だから、何か話題をと、くだらない話を無理やり出して、喋り続けていた。
信号が赤に変わって、車がゆっくりと停車する。
前を向いたまま喋り続ける俺の手に、透さんの手が伸びてきて、ふわりと重ねられた。
予想していなかったから驚いて、思わず身体がぴくっと小さく跳ねた。
「今夜、泊まるよね?」
透さんが身体を少し助手席に傾けてきて、俺の耳の近くでそう囁く。
鼓膜に直接響くような透さんの甘い声に、断る言葉なんて見つかる筈もなくて、
「はい」と、頷いてしまう。
すると、透さんの指が、俺の手の甲を擽るように動いて、やがて指の間に絡めるように滑り込んでくる。
5本の指が、まるで愛撫するかのように動くから、なんだかゾクゾクしちゃって、それだけで腰の奥が熱く疼いた。
そんな状態になってるなんて、絶対知られたくなくて、俺は内心めちゃくちゃ焦ってた。
だけど、信号が青に変わると、透さんの手はあっさり離れてハンドルを握り、車が静かに動き出した。
なんか……俺、一人でワタワタしてて、カッコ悪くて……――顔が熱い。
マンションの駐車場に車を停めてエレベーターに乗り、透さんが階数ボタンと開閉ボタンを押す。
透さんの隣で、その様子をぼんやり見ていると、ドアがまだ閉まりきらないうちに、いきなり腕が伸びてきて引き寄せられた。
「ちょっ……」
身体がよろけて、透さんの肩に顔を埋める形で、すっぽりとその腕の中に包まれた。
人差し指と親指で顎を掬い上げられ、唇を塞がれた途端、透さんの舌が侵入してきて、あっと言う間に躊躇している俺の舌を絡め取る。
「……ん――っ……ふ……ッ」
――エレベーターの中なのに……誰かが乗ってきたらどうするの……。
あ、そうか。止まったら離れたらいいんだけど……つか、これ、エレベーターって、防犯用のカメラとか、どっかにあるんじゃないの?
こんな所で駄目だってばって、言おうとする前に、あっさりと唇を解放された。
「あ……あのっ……」
唇は離れたけど、まだ透さんの腕に抱きしめられていて、抗議しようとする俺を、透さんは悪戯っぽい目で見つめて笑う。
「可愛いな……、顔が真っ赤だよ」
「だ、だって、カメラとかに写ってたら、どうするのー」
「気にしない、気にしない、キスしてるだけだもん」
――えええ……? 『だもん』ってー! ……しかも、突然エレベーターでキスとかーー!
めっちゃ狼狽えてる俺とは反対に、透さんは、何でもなかったようにクールな表情で口角だけ上げて微笑んでいた。
エレベーターを12階で降りて、部屋に向かう通路を歩いている間も、肩を抱き寄せられていて、こんな所で近所の人に見られたらどうするんだって、ドキドキしてるのに。
そして、それとは別に、胸が高鳴ってしまっているのは……透さんのせいだと思う。
透さんが車の中からフェロモンだだ漏れで、手に触れてきたり、突然キスしてきたり、肩を抱いてきたり……。
この後、透さんの家の中で二人きりになったら……って、想像してしまっているからで……。
――想像して……そして期待してる。
俺は、すでに下半身に熱が集中してきているのを、はっきりと自覚していた。
信号が赤に変わって、車がゆっくりと停車する。
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すると、透さんの指が、俺の手の甲を擽るように動いて、やがて指の間に絡めるように滑り込んでくる。
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そんな状態になってるなんて、絶対知られたくなくて、俺は内心めちゃくちゃ焦ってた。
だけど、信号が青に変わると、透さんの手はあっさり離れてハンドルを握り、車が静かに動き出した。
なんか……俺、一人でワタワタしてて、カッコ悪くて……――顔が熱い。
マンションの駐車場に車を停めてエレベーターに乗り、透さんが階数ボタンと開閉ボタンを押す。
透さんの隣で、その様子をぼんやり見ていると、ドアがまだ閉まりきらないうちに、いきなり腕が伸びてきて引き寄せられた。
「ちょっ……」
身体がよろけて、透さんの肩に顔を埋める形で、すっぽりとその腕の中に包まれた。
人差し指と親指で顎を掬い上げられ、唇を塞がれた途端、透さんの舌が侵入してきて、あっと言う間に躊躇している俺の舌を絡め取る。
「……ん――っ……ふ……ッ」
――エレベーターの中なのに……誰かが乗ってきたらどうするの……。
あ、そうか。止まったら離れたらいいんだけど……つか、これ、エレベーターって、防犯用のカメラとか、どっかにあるんじゃないの?
こんな所で駄目だってばって、言おうとする前に、あっさりと唇を解放された。
「あ……あのっ……」
唇は離れたけど、まだ透さんの腕に抱きしめられていて、抗議しようとする俺を、透さんは悪戯っぽい目で見つめて笑う。
「可愛いな……、顔が真っ赤だよ」
「だ、だって、カメラとかに写ってたら、どうするのー」
「気にしない、気にしない、キスしてるだけだもん」
――えええ……? 『だもん』ってー! ……しかも、突然エレベーターでキスとかーー!
めっちゃ狼狽えてる俺とは反対に、透さんは、何でもなかったようにクールな表情で口角だけ上げて微笑んでいた。
エレベーターを12階で降りて、部屋に向かう通路を歩いている間も、肩を抱き寄せられていて、こんな所で近所の人に見られたらどうするんだって、ドキドキしてるのに。
そして、それとは別に、胸が高鳴ってしまっているのは……透さんのせいだと思う。
透さんが車の中からフェロモンだだ漏れで、手に触れてきたり、突然キスしてきたり、肩を抱いてきたり……。
この後、透さんの家の中で二人きりになったら……って、想像してしまっているからで……。
――想像して……そして期待してる。
俺は、すでに下半身に熱が集中してきているのを、はっきりと自覚していた。
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