出逢えた幸せ

ずーちゃ

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第一章:聖夜と生クリーム味の……

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「生クリーム、ついてた」

 そう言って、透さんは俺の口の横についた生クリームを指で拭い取り、そして……その指を舌でペロッと舐めた。

 その仕草がなんか色っぽくて、めちゃくちゃドキドキしてしまう。

「あ、ごめん。つい……」

 固まってしまった俺を見て、透さんは少し慌てた様子で照れ笑いを浮かべた。

「直くんが、生クリームついてるのも気が付かずに美味しそうに食べてるから、可愛くって……、ついね」

「うぁあ、すみません。俺ってガキですよね……」

 なんか恥ずかしくて俯いてしまう。 

 顔が熱い。 

 きっと真っ赤だろうなと思うと、恥ずかし過ぎて顔を上げることができない。

 恥ずかしさを誤魔化す為に、俺はケーキをおもいっきり頬張った。

「ぐふっ……」

 一口で食べれる大きさを遥かに超えた分量を、無理やり口に押し込んだものだから、唇にも、その周りの顎や鼻の上にまで、生クリームがべっとり付いてしまった。

 慌てて食卓のテーブルの上に置いてあるティッシュペーパーを取りに行こうとすると、不意に透さんに、右腕を掴まれて引っ張られた。

「え?」

 ソファーの上に戻された弾みで、僅かに身体が跳ねた。

 ――なっ……?

 驚いて顔を上げると、透さんの顔が近付いてくる。

「可愛いな……ホントに……」

 ――え? ……え……?

 透さんの舌が俺の唇に触れてきて、ペロッと生クリームを舐め取った。

 ――うそーーーー?!

 今起こってる事が理解できなくて、固まったままの俺の顔に付いてる生クリームを 透さんは更に舌で舐め取っていく。

 視界一杯にひろがる彼の顔は、妖しく艶めいた色気を放っていて……。

 ドックンドックン……

 心臓が有り得ない大きな音で動いてるのを感じる。透さんの耳にも届いてるんじゃないかってくらい……。

 最後に鼻の上を触れるように舐めて、透さんの顔が離れた。

 俺は口の中いっぱいに頬張ったままのケーキを飲み込む事も出来ず、ただ、ただ、固まって、自分の顔が更に熱く火照り、耳まで真っ赤になっていくのを感じていた。

「ごちそうさま」

 そんな俺に、透さんは“ こんな事何でもない“”って感じの、悪戯っぽい笑顔を向けてくる。

 ――か……、からかわれたのか? でも冗談にしては、やり過ぎなような気が……。

「透さん、ふざけ過ぎ……」

 口の中のケーキをモグモグと食べながら訴えたけど、先ほどの行為の余韻で力が入らず、小さくて掠れた情けない声しか出なかった。

「ごめんごめん、でも美味しかった。甘くて」

「……」

 な……なんて反応したらいいんだ?

 こんな事、普通男にするだろうか? 

 透さん、何考えてるんだろう……。

 これがもし、他の男にされたとしたら、どうする? 例えば……幼馴染の啓太とかだったら……。

「……」

 ぜってーやだ! 気持ち悪い~~って、断固拒否するだろうな。やめろ! って言ってボコボコにするな、きっと。

 でも、何故だか透さんだと、嫌だとか気持ち悪いとか思わなかったりする自分もいて……。

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