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第1章 今日から君も魔法使い(見習い)
四、隣のあの娘
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登校初日から寝坊で遅刻。そんな遅刻王の伝説の幕開けのような不名誉な事態にはならないよう手を尽くしてきたのだが、それは功を奏したのか、果たして裏目に出たのか。シュウは昼過ぎにペナルティの為に呼び出されることになった。勿論、遅刻によるペナルティではない。学園内の教員に騒動を巻き起こしたことによるものである。公務執行妨害と言うと流石に大袈裟か。
そんなこんなでシュウは既に今日一日分の体力と気力を消耗したといっても過言では無かった。
…だが、そんな最悪の滑り出しも、シュウには些細なことに感じられる出来事が起こるのである!
―――隣の席の子が可愛い!!
隣の少女の名前は神城カンナ。座る姿はまさしく牡丹の様であり、歩かなくても百合の花のような清楚さが溢れてくる。異国の血が流れているのか、髪は赤みがかったブロンドであり顔立ちにも特徴はあるものの、上品に調和が取れていた。
シュウが隣に座った際、好奇と驚きの表情を浮かべていたが、それでも可憐な雰囲気を持った彼女は、悪目立ちしていたシュウを決して拒絶するようなことはなかった。
「おはよう。宜しくね!」
シュウは自分からジャブを打つ。カンナからは好奇の視線が突き刺さっていたので、挨拶によって自分は何も怪しい事のない、安全な人間であることをアピールする。
すると、カンナは丁寧に会釈すると、「おはよう御座います。こちらこそ宜しくお願いします」と、透明感のある声で挨拶を返すのであった。
―――めっちゃ可愛いんですけどぉ
ただ挨拶を返されただけなのに、この抑えようのないときめきは何なのか。胸のゴングはシュウのKO負けを知らせている。シュウは顔が緩むのを堪えるので精一杯だった。
更に、入学式の移動中の事である。カンナからシュウに話し掛けて来たのである。
「シュウ君、あなたはもう魔法が使えるのかしら?」
そんな質問だった。
カンナは新世界日本での関東出身の少女である。魔法はなく、脅威となる災害級生物もいない世界で育った人間だ。最近杖を握ったばかりの女の子なのである。
「朝、3階までは空を飛んできたの?」
「いや、壁を登ってきたんだよ」
何と、遅刻回避の苦肉の策が、カンナの興味をシュウに向けさせることが出来たのである。朝礼の後、散々説教を受けていたあのシュウに対し、カンナという少女は距離を置くという選択肢もあった筈なのに、その好奇心のあまりに自分から声を掛けてしまったようなのである。
「魔法じゃ空を飛べないの?」
「…えーと、人間はね、空を飛ぶようには出来ていないんだよ」あどけない少女のような無邪気な視線が眩しくて、シュウは伏し目がちになる。
「ふーん、じゃあ、魔法で空を飛ぶことはできるのね」
「うぐっ」
シュウは空を飛べる魔法が使えない。シュウが述べたのは一般論ではなく、あくまで持論だった。一瞬で看破され、ちょっと気恥ずかしくなる。
「俺は今日、夢の中で空を飛んでいたけどね」
「ふふ、それが今日遅刻しそうになった理由なのね」
痛いところを的確に突いてくる。シュウもユーモアを狙ってやってはいるのだが、聡明なカンナは漏れ無く突いてくる。
「シュウ君はどんな魔法が使えるの?」
「うーん、寝坊しても遅刻しない魔法とか…?」
「何よそれ。私は寝坊なんかしないわ。当然、遅刻もね。魔法に頼る程のことでもないでしょう」
「言うね。何も言い返せないわ」
カンナは隙のあまり無い女の子だ。優等生タイプである。けど愛想は良く、正論を言うにしても嫌味っぽさは感じられない。
「…私、この町に来て沢山の魔法を見たけど、不思議に感じることばかりなの。さっきの先生の影魔法もそう!」
朝礼前に先生が姿を現す際に使用した魔法のことだ。
「それって悔しいと思わない?教科書を読んでなんとなくその仕組みが分かっていても、それを自分で再現できるイメージが全く湧かないの。頭がそれは有り得ないって否定しているような?」
「へえ?俺は生まれた時から魔法が生活の一部だったからさ、小さい頃に見様見真似で杖振って、いつの間にか魔法が使えていたようなものなんだよね。出来るものは出来るし出来ないものは一生掛かっても出来ない。それは当然だから、そんな不思議に思うような感覚には覚えが無いかな」
「そういうことよねえ…」
カンナはそう言うと、徐に胸元のホルダーから杖を引き抜く。
「おいおい、急に杖を抜くなよ」
魔法使いにとって杖は凶器にもなる。不用意に見せびらかすものでは無い。実際、一瞬だが、周りの生徒がカンナに注目したのをシュウは感じた。
「えっ!ああ、ごめんね。でもね、ここに来てからこの杖を何回も振って練習しても、全然魔法が使えなくて。私には才能がないんじゃないかって、ちょっと思ってみたり…」
「ふーん」
シュウはまじまじとカンナの杖を見つめる。
「…一点物の杖か。見てもいいかい」
「良いけど…」
シュウはカンナから杖を受け取る。
それは規格品ではない、特注の一点物の杖だった。木製の杖身に繊細かつ優美な彫刻がなされている。材料となった木までは分からないが、その彫刻の意匠はシュウも見たことが無い類のものだった。
「結構な年代物かな。けど、良い杖だね。どこで買ったの?」
「貰い物よ。亡くなった祖母の形見なの。私の為に取っておいてくれたんだって」
聞けばカンナの父方の祖母は昔、魔法使いだったそうだ。新世界のカンナの祖父の家に嫁いでからは魔法使いを引退したとの事。因みに、カンナの父は玄守学園の卒業生なのだが、進学、就職は新世界となっている。魔法使いの道は選ばなかった。だから、カンナは魔法使いの血統でありながら、魔法を知らずに育ったのである。
魔法を学んでも、全ての卒業生が魔法使いになり、魔法社会で活躍する訳ではない。やはり、魔法使いの家柄であっても、個人で向き不向きはある。学園に在籍する期間内に魔法社会で自身の活躍の場を見出せない人は、無理に魔法使いとして生きていく必要は無いのだ。だから、ある意味では学園側も生徒の募集は積極的に行う。少子高齢化社会の煽りもあろう。裾野が拡がらなければ、将来有望な魔法使いは減ってしまうのだ。勿論、魔法の秘匿性もあるため、むやみやたらに募集している訳ではないと思うが。
そう、この恐ろしく真面目な少女は焦っているのだ。まだ何も始まっていないのに。自身の魔法使いとしての適性について、そして魔法使いとしての将来について。新世界の普通の少女が魔法使いを志したのだ。それなりの覚悟もあったのだろう。祖母の形見や父の後押しがあってもだ。だから、シュウに思わず胸の内を吐露してしまったのかもしれない。
「…成る程ね。カンナはお祖母ちゃんに期待されてたんだな」
シュウは悪戯っぽく笑ってみせる。意趣返しも兼ねて。
「えっ、どういうこと?」
シュウは丁寧に杖をカンナに返す。受け取るカンナの表情は曇っていた。
「カミシロ一族の魔法使いとしての存亡は、カンナ次第ということさ。大変だねぇ」
「ちょ、ちょっと、何言ってんのよ。変なプレッシャーを掛けないでくれる?」
「ま、俺はそういうのから退いた身なんで、陰ながら応援するくらいしか力になれませんけどね」
シュウは自身の境遇を思い返し、苦笑いを浮かべた。
そんなこんなでシュウは既に今日一日分の体力と気力を消耗したといっても過言では無かった。
…だが、そんな最悪の滑り出しも、シュウには些細なことに感じられる出来事が起こるのである!
―――隣の席の子が可愛い!!
隣の少女の名前は神城カンナ。座る姿はまさしく牡丹の様であり、歩かなくても百合の花のような清楚さが溢れてくる。異国の血が流れているのか、髪は赤みがかったブロンドであり顔立ちにも特徴はあるものの、上品に調和が取れていた。
シュウが隣に座った際、好奇と驚きの表情を浮かべていたが、それでも可憐な雰囲気を持った彼女は、悪目立ちしていたシュウを決して拒絶するようなことはなかった。
「おはよう。宜しくね!」
シュウは自分からジャブを打つ。カンナからは好奇の視線が突き刺さっていたので、挨拶によって自分は何も怪しい事のない、安全な人間であることをアピールする。
すると、カンナは丁寧に会釈すると、「おはよう御座います。こちらこそ宜しくお願いします」と、透明感のある声で挨拶を返すのであった。
―――めっちゃ可愛いんですけどぉ
ただ挨拶を返されただけなのに、この抑えようのないときめきは何なのか。胸のゴングはシュウのKO負けを知らせている。シュウは顔が緩むのを堪えるので精一杯だった。
更に、入学式の移動中の事である。カンナからシュウに話し掛けて来たのである。
「シュウ君、あなたはもう魔法が使えるのかしら?」
そんな質問だった。
カンナは新世界日本での関東出身の少女である。魔法はなく、脅威となる災害級生物もいない世界で育った人間だ。最近杖を握ったばかりの女の子なのである。
「朝、3階までは空を飛んできたの?」
「いや、壁を登ってきたんだよ」
何と、遅刻回避の苦肉の策が、カンナの興味をシュウに向けさせることが出来たのである。朝礼の後、散々説教を受けていたあのシュウに対し、カンナという少女は距離を置くという選択肢もあった筈なのに、その好奇心のあまりに自分から声を掛けてしまったようなのである。
「魔法じゃ空を飛べないの?」
「…えーと、人間はね、空を飛ぶようには出来ていないんだよ」あどけない少女のような無邪気な視線が眩しくて、シュウは伏し目がちになる。
「ふーん、じゃあ、魔法で空を飛ぶことはできるのね」
「うぐっ」
シュウは空を飛べる魔法が使えない。シュウが述べたのは一般論ではなく、あくまで持論だった。一瞬で看破され、ちょっと気恥ずかしくなる。
「俺は今日、夢の中で空を飛んでいたけどね」
「ふふ、それが今日遅刻しそうになった理由なのね」
痛いところを的確に突いてくる。シュウもユーモアを狙ってやってはいるのだが、聡明なカンナは漏れ無く突いてくる。
「シュウ君はどんな魔法が使えるの?」
「うーん、寝坊しても遅刻しない魔法とか…?」
「何よそれ。私は寝坊なんかしないわ。当然、遅刻もね。魔法に頼る程のことでもないでしょう」
「言うね。何も言い返せないわ」
カンナは隙のあまり無い女の子だ。優等生タイプである。けど愛想は良く、正論を言うにしても嫌味っぽさは感じられない。
「…私、この町に来て沢山の魔法を見たけど、不思議に感じることばかりなの。さっきの先生の影魔法もそう!」
朝礼前に先生が姿を現す際に使用した魔法のことだ。
「それって悔しいと思わない?教科書を読んでなんとなくその仕組みが分かっていても、それを自分で再現できるイメージが全く湧かないの。頭がそれは有り得ないって否定しているような?」
「へえ?俺は生まれた時から魔法が生活の一部だったからさ、小さい頃に見様見真似で杖振って、いつの間にか魔法が使えていたようなものなんだよね。出来るものは出来るし出来ないものは一生掛かっても出来ない。それは当然だから、そんな不思議に思うような感覚には覚えが無いかな」
「そういうことよねえ…」
カンナはそう言うと、徐に胸元のホルダーから杖を引き抜く。
「おいおい、急に杖を抜くなよ」
魔法使いにとって杖は凶器にもなる。不用意に見せびらかすものでは無い。実際、一瞬だが、周りの生徒がカンナに注目したのをシュウは感じた。
「えっ!ああ、ごめんね。でもね、ここに来てからこの杖を何回も振って練習しても、全然魔法が使えなくて。私には才能がないんじゃないかって、ちょっと思ってみたり…」
「ふーん」
シュウはまじまじとカンナの杖を見つめる。
「…一点物の杖か。見てもいいかい」
「良いけど…」
シュウはカンナから杖を受け取る。
それは規格品ではない、特注の一点物の杖だった。木製の杖身に繊細かつ優美な彫刻がなされている。材料となった木までは分からないが、その彫刻の意匠はシュウも見たことが無い類のものだった。
「結構な年代物かな。けど、良い杖だね。どこで買ったの?」
「貰い物よ。亡くなった祖母の形見なの。私の為に取っておいてくれたんだって」
聞けばカンナの父方の祖母は昔、魔法使いだったそうだ。新世界のカンナの祖父の家に嫁いでからは魔法使いを引退したとの事。因みに、カンナの父は玄守学園の卒業生なのだが、進学、就職は新世界となっている。魔法使いの道は選ばなかった。だから、カンナは魔法使いの血統でありながら、魔法を知らずに育ったのである。
魔法を学んでも、全ての卒業生が魔法使いになり、魔法社会で活躍する訳ではない。やはり、魔法使いの家柄であっても、個人で向き不向きはある。学園に在籍する期間内に魔法社会で自身の活躍の場を見出せない人は、無理に魔法使いとして生きていく必要は無いのだ。だから、ある意味では学園側も生徒の募集は積極的に行う。少子高齢化社会の煽りもあろう。裾野が拡がらなければ、将来有望な魔法使いは減ってしまうのだ。勿論、魔法の秘匿性もあるため、むやみやたらに募集している訳ではないと思うが。
そう、この恐ろしく真面目な少女は焦っているのだ。まだ何も始まっていないのに。自身の魔法使いとしての適性について、そして魔法使いとしての将来について。新世界の普通の少女が魔法使いを志したのだ。それなりの覚悟もあったのだろう。祖母の形見や父の後押しがあってもだ。だから、シュウに思わず胸の内を吐露してしまったのかもしれない。
「…成る程ね。カンナはお祖母ちゃんに期待されてたんだな」
シュウは悪戯っぽく笑ってみせる。意趣返しも兼ねて。
「えっ、どういうこと?」
シュウは丁寧に杖をカンナに返す。受け取るカンナの表情は曇っていた。
「カミシロ一族の魔法使いとしての存亡は、カンナ次第ということさ。大変だねぇ」
「ちょ、ちょっと、何言ってんのよ。変なプレッシャーを掛けないでくれる?」
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シュウは自身の境遇を思い返し、苦笑いを浮かべた。
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