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五十話 隙間から

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 隙間から何かがこちらを見ていた話は皆さんもよく聞くだろう。
 そこで今まで聞いてきた隙間にまつわる一風変わったお話をチョイスして書いていこうと思う。

 
 中学生の時の担任の先生は面白おかしい人だった。
 教室は観葉植物だらけで、他のどの教室よりも緑に溢れていた。いや、溢れすぎていたくらいに。
 他にも保護者会で弾き語りをしたり、学年集会でハーモニカを演奏したりとユーモア溢れる、生徒からも慕われている良い先生。
 もちろん怒るところはぴしりと怒ってくれる。
 とにかく最高の先生だった。

 ある学活の授業をしていた時、先生が怖い話をしてくれた。
 その怖い話というのが隙間にまつわる話なのだ。

 
 先生がまだ高校生の時の話。
 先生は決して頭の良い方ではなく、学校が終わったらだいたい友達と寄り道をしてだべっていたという。
 
 その日は友達が用事があり一人で帰ることになった。
 先生はコンビニに寄っていつも買っていたという、かにぱん(先生の年代が分かってしまうが…)を手に取った。
 
 すると、普段とは何かが違う感覚がしたという。
 かにぱんが変だった訳ではなく、誰かに見られている感覚がしたという。
 さり気ない感じで先生は周りを見渡したが、こちらを見ている人など居なかった。

 先生は気になりはしたが、とりあえずレジまで向かおうとした。
 
 「ガタッ」

 天井の方から音がしたという。
 先生が天井の方を見ると、タイルの一部分が外れていたという。
 そして、隙間から不気味な男が笑みを浮かべながらこちらを見ていたという。
 
 驚いて声も出なかった先生はかにぱん適当な場所においてそのコンビニを後にした。
 それからはそのコンビニは利用しなくなったという。


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やっと、やっと折り返しまで来ましたー!!!
百話まで頑張りたいと思います!
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