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四十六話 教養

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 俺は昔から人を殺したいという願望があった。
 だが、こんなことを他人に話してもただの痛いヤツだとか中二病だと揶揄されるだろうと思い、俺はずっと心の中に秘めていた。
 
 家庭環境はごくごく普通だった。母さんも父さんも優しかったし、弟もよく可愛がったもんだ。
 俺自身も特に生活に問題はなかったと思う。成績は平均より少し上くらいを維持し続け、大学もそこそこ名の知れたところに行けた。
 
 ある時、俺はスマホで何となくグロいものが沢山見れるサイトを調べた。
 サイトを開くと、そこには今まで見たことの無い未知の世界が広がっていた。
 スクロールするとギャングの抗争や戦争の様子、交通事故の様子があった。
 俺は自分では気づけなかった人の真の怖さを知った。

 不思議と俺はどんなにグロいものでも不快感を感じることがなかった。

 そして大学に入学した時くらいに、俺に人を殺したいという願望が突如として現れた。
 きっかけもなく突然に。

 自分の中でも遅めの中二病でもやってきたのかと軽く考えていたのだが、日を追う事に願望は強くなっていった。
 
 帰りが遅くなったある日。俺は夜道を歩く野良猫を見つけた。
 俺は周りに誰もいないことを確認してから猫を乱暴にバックの中に入れた。
 そこから無我夢中に公園の茂みの中で猫に暴力を加えた。感情は何も無かった。
 
 そこからというもの、俺はどんどん気持ちが強くなっていた。
 
 大学も落単。
 ストレスのピークに至った時。俺はとあるアイドルグループのライブがあることを知った。
 会場はかなり大きいところ。
 俺はネットで調べた情報でひたすら人を殺す武器を作った。
 
 そして当日。
 ライブは最高潮。

 手元には大量の武器が…なかった。

 入口の手荷物検査で引っかかることを直前になって気づいたのだ。
 
 このことがあって俺の願望はなくなった。



 「という被検体の情報を今開発している人工知能にインストールしたいのだが、どうだろう、大丈夫だろうか?」
「なんでそんな人間の情報を人工知能にインストールするんだ?」
「人工知能には到底理解できない、人の真の怖さとおバカな所も学習して欲しいからさ。」
「それは名案だな。」

 数年後、○○研究所から最高品質と称される人工知能が発表された。



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まもなく折り返しですね…。
AIが小説を書く時代が来るんだろうなぁ。
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