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二十八話 ボールを取りに行っただけなのに

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 これは俺が小学生の時の話。

 当時の俺は家の近所の公園で、学校が終わったらすぐ野球をしていた。
 野球とは言ってもまずヒットが中々ないから周りにボールが行くことなどなかった。

 しかし、ある日のこと。
 1人のバカがノックで、ボールを家に飛ばしやがった。
 
 そのとある家っていうのが、噂によると精神病の人が住んでいて、度々子供をさらっているらしい。
 
 ボールを飛ばしたやつはいやいやあの家に取りに行ったよ。

 どうやら庭にあったらしい。
 俺らはアイツの姿が見えない。
 無断で敷地に入ったらしく、「意外と平気だわ」とか調子こいてた。

 したら急に何も喋んなくなったんだ。

 俺らが声を掛けても。

 その後みんなであの家に入ろうとしたが、入れる場所がどこにも見当たらず、アイツがどこから入ったのか全く分からなかった。

 困った俺らはひとまず自分の親に状況を連絡した。

 もちろんしこたま怒られた。

 
 その後、アイツは見つからなかった。
 行方不明ってことになっている。
 申し訳ない気持ちでいっぱいになったさ。

 そして、あの家に住んでたと見られるやつ何だが、実際には誰も住んでいないらしい。

 多分アイツはまだ見つかっていない。

 
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