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十六話 サービスエリア

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 これは友人たちで旅に出ていた人の話。


 「いやー、流石に休むか」
長時間運転していた将也まさやがそう言い出した。丁度三キロ先にサービスエリアがあることを示す看板が見えた。
「あのサービスエリア寄ろうぜ」
勿論反対するものなどいなかった。

 時刻は深夜一時。サービスエリアに着くと、陸の孤島のような感じで木々に囲まれていた。電柱もポツポツあるくらいで、かなり暗い雰囲気だった。
「とりあえず中行こうよ」
と、二人の女性陣が先行してサービスエリアの中へ進む。
 「ギャーっ!!」
二人の叫び声が聞こえてそちらの方を見ると、サービスエリアに入る自動ドアにものすごく大きい虫のようなものが張り付いていた。
「こんなの初めて見た」

 とりあえず僕達は外にある自動販売機で飲み物を買うことにした。すると誰かがぽつりと呟いた。
「ここ変だよ」
実は僕も薄々勘づいていた。ここは明らかにおかしい点があるのだ。
 サービスエリアを示す看板があると、最初に語ったが、あの看板は他の看板よりもサビが付いていて、少し違和感を感じていた。そして、一番のおかしい点は、僕たちのすぐそばにいる。
「おい、これやばいぞ」
僕達が自動販売機の近くにいると、じわじわと髪の長い女が近づいてきていた。一人がこの雰囲気に耐えられずに叫んで逃げ出してしまった。続いて皆が逃げ出した。

 車に逃げ込んできた僕たちは、今起きたことを話し合った。
「早く行こう!」
将也が車のエンジンをかけようとした。しかしエンジンは起動してくれない。

 「キャー!」
後部座席の女性陣が悲鳴をあげた。後ろを見ると窓には恐ろしい形相の女らしきものが張り付いていた。
 ようやくエンジンがかかり、猛スピードで逃げ出した。すると女は気づくと消えていた。

 後日、あのサービスエリアを調べてみると実在していなかったことがわかった。一体あれはなんだったのか。



 これはまだ誰にも言っていないが、将也に会うといつも将也の背中には“あの女”が憑いている。









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はいー。
エナドリが辞められません!
幽霊さん~、出ておいで~。
次回もお楽しみに!
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