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十三話 テーブルの裏

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 これはとある大学生が一人暮らしを初めた時の話。


 このアパートには家具が備え付けてあり、金欠大学生にはとても魅力的でほぼ一つ返事で入居を決めた。アパートの魅力はこれだけでは無い。俺が通っている大学の近くにあることと、家賃が相場の半分くらいなのだ。そこまで家賃が安いと色々と心配になるが、不動産屋によると事故物件とか欠陥住宅ということは一切ないらしい。実際にアパートへ行くと、少し年季が入った建物で二階建てだった。部屋数はそこまで多くなかった。部屋も決して綺麗とは言えないが、生活するには充分だった。
 
 アパートに引っ越してから季節は変わり、夏の面影は何処へやら、すっかり肌寒くなる季節になった。部屋にいるとかなり寒くなり、実家の古いヒーターを使っても鳥肌が立つほど寒い。古い建物だから仕方がないと自分に言い聞かせた。
 ある日の夜、俺は尿意を感じて夜中に目覚めてしまった。トイレに向かおうと寝室から出ると、身体中にとてつもない寒気が襲った。今までに感じたことの無いくらいの寒気。すると体が上手く動かなくなってしまった。足元が覚束無い上に部屋が真っ暗で何も見えていない俺は、部屋にある備え付けの小さいテーブルを蹴っ飛ばしてしまった。
 俺はひっくり返ったテーブルを直そうと持ち上げた。するとそのテーブルはサイズに見合わない重さを感じた。だが、寝ぼけていたため次の瞬間には忘れていた。

 俺はこの出来事があってから様々な奇怪に見舞われるようになった。例えば部屋の中でテレビを見ていると、足を掴まれるような感覚に襲われたり、一番気味が悪かったのは寝ようとした時に首元を何者かに舐められた感触がすることもあった。
 
 ある時のことだった。俺は以前蹴っ飛ばしたテーブルでレポートを作成していた。作成作業も終わりに近づき、立ち上がろうとすると、足にカサカサと紙のようなものが当たる感触がした。俺は直ぐにテーブルの下を確認した。
 俺はテーブルの裏の光景を見て全身が固まった。そこには大量のお札がはられており、テーブルが見えないくらいビッシリはられていた。
 俺が動けずにいると、その時インターホンが鳴った。俺は玄関に飛び出した。すると、そこに居たのは不動産屋だった。さっき起きたことを全て話すと、不動産屋は気まずそうな顔をして話してくれた。
「私が調べたところ、あの部屋で首吊り起きてます…」
 話によるとあの部屋では女性が首吊り自殺をしており、その時に使った土台があのテーブルだったという。

 その後俺は直ぐにあのアパートを引き払った。
 二度とあんな思いはごめんだ。








さ~て、近状報告のコーナーです!
自転車で事故りました!
怪我はないです!
また次回!
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