上 下
9 / 51

九話 雪山にて

しおりを挟む
これは私の友人が数十年前に体験した話。


私の友人はスキープレイヤーで、毎年冬になると共通の友人と雪山に出かける。

その年も友人とその他二人で雪山へと出かけた。
行く雪山はその年ごとに変えていて、新しい気分を味わえると友人は言っていた。

雪山は車で4時間かかるところにあった。
朝の8時に出発したのにも関わらず、着いた頃には昼を少しすぎた頃だった。

友人たちは昼食を取り、スキー場へ向かった。
そのスキー場は平日ということも関係しているのか人があまりおらず、とても滑りやすかったという。
しかし、当時そこまででは無いが吹雪いており、滑る際には少し注意が必要だった。

だが、友人たちは生半可な腕前では無い。
熟練されたスキーの技術は誰が見ても驚くだろう。

友人たちは一緒に滑っていった。


しばらく夢中になって滑っていると、コースの端の方に開けた場所があった。
その時になると吹雪は止んでいて、いい景色が見えると思い、友人は他の二人を呼び止めて開けた場所へ行った。

開けた場所へ行くと、そこは崖になっており、かなり危ない場所だった。
だが目の前には一面銀色の世界の美しい景色があった。
声も出さずに景色を眺めていると、友人は何かを発見した。

それはオレンジ色のジャンパーを着た人のように見えた。
友人たちは警察を呼び、オレンジ色のジャンパーを着た人の所へ向かった。

さっきの場所に着くと、そこには非常に冷たくなった男性の遺体があった。
まさか死体に出会うとは思わず、内心ドキドキしていたという。

救助はしばらくしないと来ないと連絡があり、友人たちは近くの山小屋に行った。
友人たちは、怖さを紛らわすために喋り続けた。
すると、外からノックをする音が聞こえた。

友人たちの一人が恐る恐るドアを開けると、そこには誰もいなかった。
このことで怖さはピークに達し、大の大人がおしくらまんじゅうをするかのようにくっつきあった。

しばらくすると救助が来て、オレンジ色のジャンパーを着た人は運ばれた。

すると、救助隊の人が騒ぎ出したのだ。
どうやら、もう1人遺体となって発見されたようだ。

友人たちは少しだけ遺体を見た。
その遺体は髪が長い男性で、目元が特徴的だった。

その後救助隊の人から、髪の長い男性の方が前になくなっていると聞いた。

それから友人たちはスキーを止め、宿泊施設へ行った。


その後、オレンジ色のジャンパーを着た人の遺族の方から連絡があった。
どうやら見つけてくれたお礼がしたいとの事だった。

友人たちは1度断りを入れたのだが、どうしてもということで線香を上げに行くことにした。

家に着くと母親と見られる年配の女性が挨拶をしてくれた。

あの男性は半年前にスキーをサークルのメンバーで行った時に行方が分からなくなってしまったという。

すると母親はとある写真を見せてくれた。
それは男性のサークルの集合写真だった。
すると、オレンジ色のジャンパーを着た男性の後ろに、見覚えのある人がいた。

それはあの髪が長い男性だった。

髪の長い男性はオレンジ色のジャンパーを着た人のことを見ているかのように見えたという。

友人たちは、オレンジ色のジャンパーを着た人は連れて行かれちゃったんだね、という話になった。


本当にこのような話があるとは驚きだ。








さてさて、九話ですねぇ。
関係があるのかわからないですが、夜になると度々物音が聞こえるようになりました…。
どうなるのか楽しみです!
次回もお楽しみに~
しおりを挟む

処理中です...