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涼宮さん

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廃墟探索

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 以前友人とツーリング肝試しとかいうふざけた遊びをしていた時の話。

 当時は九州に住んでいて大学のサークルで知り合った四人とツーリングを週一のペースでしていた。
 リーダーみたいな人をA先輩とするが、そのA先輩はホラー愛好家と自称するほど肝試しやおっかない映画を見たりしていて他の人とは一風変わった性格をしていた。
 
 「あの廃墟行こうぜ!」
 目をキラキラと輝かせながらA先輩が言う。
 そうして春休みの半ば辺りの土曜の夜にサークルメンバー四人と僕の合計五人で深夜のホラーツーリングをすることになった。
 廃墟に到着すると規制線が貼られていた。
 「これ大丈夫なの?」
 と心配する声も聞こえたが、A先輩は構わず突き進んだ。
 その廃墟は街からは少し離れたところに位置しており、山道を走っていると突如広い敷地の廃墟があるみたいな感じだった。
 「綺麗だな…」
 「ああ、人が住んでるみたいだな」
 中に入るとこの家に住んでいた人の様子がだいたい分かった。
 恐らくこの家に住んでいたのは金持ちだろう。無知な僕でも分かるようなブランド品が沢山あった。
 「盗むなよー、ただでさえも不法侵入なんだから」
 A先輩がそう言った。

 僕達は1階を探索し終えて、2階に上がろうとした。
 「動画撮ろうぜ」
 誰かがそう言ったので僕はスマホのカメラを起動させ、最後尾から2階に上がる様子を撮影した。
 続々と2階に上がるサークルメンバー。先頭はA先輩だ。
 「うわぁぁぁ」
 先頭を行くA先輩の叫び声が聞こえた。
 僕達は大急ぎで廃墟から逃げる。

 「ちょなんすか!?やめてくださいよ!」
 A先輩は半笑いで、
 「動画、確認しようぜ」と言った。
 常軌を逸したA先輩の様子に動揺しつつも、僕は先程撮った動画を確認してみることにした。
 最初は前を歩く先輩の背中しか写っていない。
 だが、2階を下から覗き込むような画角になった時、A先輩の前に何か黒い影が見えた。
 「これだよ、さっき見たの」
 A先輩が泣きながら言う。
 「うわぁぁぁ」
 A先輩の叫び声が聞こえた瞬間、画面いっぱいに映る赤いモヤみたいなのが流れて動画は終わった。

 すっかり冷めきった雰囲気。僕達は解散することにした。

 その後もサークルの活動は行われたが、A先輩が来ることはなかった。

 あの動画はまだ残っている。
 機会があればみんなにも見せたいと思う。
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