(ほぼ)1分で読める怖い話

サッカーボール

　僕は訳あって家庭が貧乏で満足な暮らしが出来なかった。

　小学生の時も貧乏なせいで虐められることもあった。
　だけど数人の友達がいたおかげで何とかなった。


　中学二年生の誕生日のこと。
　お父さんがサッカーボールを買ってきてくれた。
　
　少し塗装が剥がれていたので多分中古。
　だけど無茶苦茶嬉しかった。

　それからは暇な時にはサッカーをずっとしていた。

　
　とある日、僕は夜の公園でボールを蹴っていた。

　壁にボールを蹴っていると、なんか変な音がした。

　『ｸﾞﾁｬ、ｸﾞﾁｬ』

　ボールを蹴る度にこの音が鳴る。

　空気が足りないのかと思い、ボールを手に取った。

　手に取った感触がボールでは無い、人間味を感じる感触がした。

　灯りに照らすと、ボールが、ボールじゃなかった。

　『ﾆﾁｬｧ（ ◜ω◝ ）』

　本当にこういう顔をした生首だった。

　僕はすぐにボールをぶん投げて家に帰った。


　お父さんにこのことを話すと、何かを知っているような表情をして、「ごめんな」とだけ言った。