(ほぼ)1分で読める怖い話

エアコン

　数年前の猛暑の日。私は完全に夏バテしていて何かする気力がなかった。
　電気料金が値上げしているご時世なので、ギリギリまでエアコンをつけるのは我慢していた。だが、既にもう部屋の温度は32度になっていた。
　さすがに体調が悪くなると思い、私はエアコンをつけることにした。
　実はエアコンをつけるのは冬の時に暖房をつけた以来だった。もしかしたら不調があるかもなと考えていると、エアコンから不可解な音が聞こえてきた。

「ｳｳ、、ｳｳｳ」

　当時私はオカルト系のことに興味があり、その音を聞いた瞬間、『女の呻き声だ』と思った。しかし、直ぐに冷静になり、そんなことあるわけないと切り替えることにした。
　どうせしばらくすれば音も止むだろうと思い、私はアニメ鑑賞に勤しんだ。
　イヤホンをしているため、エアコンの音は全く気にならなかった。アニメを3話見終わり、飲み物を取ろうと部屋から出た時、なにか背後から視線を感じるような気がした。
　後ろを振り向くも何もない。敏感になりすぎていると考えてその事は気にしないことにした。
　飲み物を取り部屋に戻るとあの音は聞こえなくなっていた。これで一安心、そう思っていた。

　その日の夜。私は夜の11時くらいに眠気が来て、ベットに横になった。段々ウトウトしてきた頃、なにかの物音が聞こえた。
「ｳｳ、、ｳｳｳ」
　さっき聞いた音だ。てっきり私は収まったものだと思っていた。
　私の部屋はベットで寝る時に頭の真上にエアコンがあるので、私は目を凝らしてエアコンを見た。
　すると、エアコンの送風口から光るものが見えた。気になった私は起き上がり、エアコンにさらに近づきひかるものの正体を確かめようとした。

　送風口を見た瞬間、こちらを覗く目がこちらを睨みつけていた。
　私はびっくりしすぎて部屋を飛び出し、母に助けを求めた。

　結局母は特に気にしなくていい、とだけ告げまた自室へ戻って行った。


　あの一件以来、目を見ることはなくなったが、今もエアコンを見るのがとてもこわくなる経験になった。