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戦場で助けてくれた
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「あの経験は他の人には言うつもりはなかったんだけどな...」
こう語るのは私の祖父だ。
私の祖父は○○○戦争の時に9歳で、戦争を経験した人なのだ。
祖父は○○に当時住んでいて、疎開しようとした時にとある経験をしたと言う。
生きるのに必死だった。
空襲警報が鳴り響く中、何度も怯えた。
私は体が弱く、軍に召集されなかったのが幸いだった。
○○大空襲。私は空襲の前に運良く母親と共に疎開できた。
しかし、私の弟は助からなかった。
弟も体が弱く、風邪を引いただけで重症になってしまうほどだ。
支給される食料、衣料品も少なくなってきた頃に運悪く弟は風邪を引いてしまった。
みるみるうちに弟はやつれていき、母と私は励ますことしかできなかった。
無念だった。自責の念が今でも続く。
疎開した後も辛いことには変わりなかった。
周りの地元の人たちから偏見の目を向けられ、母へ嫌がらせをする人もいた。
そんな中、母は私を育ててくれた。
蝉が鳴き始めた頃。
少しだけ涼しい朝に私は学校へ向かった。
学校の人たちはとても優しい人が多く、全く苦ではなかった。
学校が終わり、帰路に着いた。
少し私は寄り道をした。
この時、空き缶を集めて、近くの店に持っていくと微量ながら金がもらえる。
15分くらい探していただろうか。
草むらをかき分けやっと1つ見つけた時だった。
「ブーーーーーーン」
某国軍の機だ。
次の瞬間、物凄い物音と共に辺りから土埃が舞った。
私は死を覚悟した。私の人生はここで終えるのだと。
目の前から光がなくなった。
目を覚ますと、そこはさっきの草むらと、爆発したと見られる跡があった。
「あれ?生きてる?」
何が起きているのかわからない時、後ろから人の気配がした。
「お前が助けてくれたのか...」
そこには亡くなった弟がいた。
私が話しかけると弟は、静かに笑い、ゆっくりと縦に首を振った。
「ありがとう、ありがとう。見守ってくれていたんだな。」
私は涙がポロポロ流れてくるのを必死に抑えて、弟の元へ行った。
しかし、弟はすぐに姿を消した。
その後、私はなんとか無事だった家に帰り、母の無事も確認した。
母は仕事をしていたのだが、なんと私と同じく弟が出てきてニッコリと笑って消えていったのだと言う。
私たちは亡き弟に助けられたのだ。
その後、終戦を迎え少しずつ元の生活が戻ってきた。
私の祖父は、今でも弟が守ってくれているという。
これが祖父の戦場での経験だ。
※この話はフィクションです
こう語るのは私の祖父だ。
私の祖父は○○○戦争の時に9歳で、戦争を経験した人なのだ。
祖父は○○に当時住んでいて、疎開しようとした時にとある経験をしたと言う。
生きるのに必死だった。
空襲警報が鳴り響く中、何度も怯えた。
私は体が弱く、軍に召集されなかったのが幸いだった。
○○大空襲。私は空襲の前に運良く母親と共に疎開できた。
しかし、私の弟は助からなかった。
弟も体が弱く、風邪を引いただけで重症になってしまうほどだ。
支給される食料、衣料品も少なくなってきた頃に運悪く弟は風邪を引いてしまった。
みるみるうちに弟はやつれていき、母と私は励ますことしかできなかった。
無念だった。自責の念が今でも続く。
疎開した後も辛いことには変わりなかった。
周りの地元の人たちから偏見の目を向けられ、母へ嫌がらせをする人もいた。
そんな中、母は私を育ててくれた。
蝉が鳴き始めた頃。
少しだけ涼しい朝に私は学校へ向かった。
学校の人たちはとても優しい人が多く、全く苦ではなかった。
学校が終わり、帰路に着いた。
少し私は寄り道をした。
この時、空き缶を集めて、近くの店に持っていくと微量ながら金がもらえる。
15分くらい探していただろうか。
草むらをかき分けやっと1つ見つけた時だった。
「ブーーーーーーン」
某国軍の機だ。
次の瞬間、物凄い物音と共に辺りから土埃が舞った。
私は死を覚悟した。私の人生はここで終えるのだと。
目の前から光がなくなった。
目を覚ますと、そこはさっきの草むらと、爆発したと見られる跡があった。
「あれ?生きてる?」
何が起きているのかわからない時、後ろから人の気配がした。
「お前が助けてくれたのか...」
そこには亡くなった弟がいた。
私が話しかけると弟は、静かに笑い、ゆっくりと縦に首を振った。
「ありがとう、ありがとう。見守ってくれていたんだな。」
私は涙がポロポロ流れてくるのを必死に抑えて、弟の元へ行った。
しかし、弟はすぐに姿を消した。
その後、私はなんとか無事だった家に帰り、母の無事も確認した。
母は仕事をしていたのだが、なんと私と同じく弟が出てきてニッコリと笑って消えていったのだと言う。
私たちは亡き弟に助けられたのだ。
その後、終戦を迎え少しずつ元の生活が戻ってきた。
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これが祖父の戦場での経験だ。
※この話はフィクションです
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