34 / 92
相合い傘
しおりを挟む
※この話が『僕が死ぬだけの百物語』の中の話に似ていますが、決してパクろうとした訳でなく、たまたま似たような話になっただけです…。
不快に思われる方がおりましたら、御手数ですがお教えください。削除等の対処を行います。
─────────────────────
俺は同じクラスの佐原に恋をしている。幼なじみで、小学校の時までは一緒に学校に行くほどの中だったのだが、中学生になり、俺の思春期がはじまり照れくさくなって今では関わりはほとんどない。
しかし、同じクラスということもあり、関わりが全くない訳では無い。
「方屋、お母さん元気にしてる?」
「ああ、それなりに元気だよ。」
「それなりにってなんだよ!」
恥ずかしくてまともに顔を見ることが出来ない俺に、佐原は話しかけてくれる。佐原の笑顔はとても輝いていて、見れば昔の楽しかった思い出が蘇る。
ある日の事だった。その日は昼頃から突然天気が不安定になり、帰る頃にはザーザー降りの大雨だった。最悪なことに俺は傘を持ってくるのを忘れてしまった。ここから家まで20分前後はかかると思い出し、憂鬱な気持ちになっていると、目の前には佐原がいた。
「傘、もしかして忘れた?」
少し照れくさそうに佐原は言ってきた。
「いいよ。大丈夫だから。」
俺は相合傘になって周りの目線が気になってしまうと思い、つい佐原の誘いを断ってしまった。佐原は少し残念そうに歩いていった。
罪悪感が胸に残るまま、俺も帰ろうとした時だった。
「ギシャ!」
学校の前の交差点で佐原が車に轢かれたのだ。俺は引かれる瞬間を目撃してしまい、そこから一歩も動くことが出来なくなった。
周りの人達が騒ぎ出し、ようやく事の重大さを知った。
結局、佐原は亡くなってしまった。病院に搬送される時に、顔の原型がないような状況だったという。
あの時俺が一緒帰っていたらこんなことにはならなかったと、どんどん自分を追いやるようになった。
すると、佐原が亡くなってから学校内で、ある噂を聞くようになった。それは、雨の日になると傘を持った少女が現れ、「一緒に帰ろ」と言ってくる。その少女の誘いに乗って、相合傘をしてしまうと学校の前の交差点で必ず車に引かれる。というものだった。俺は誰かが佐原の死のことをふざけて噂にしたのだと思い、腹が立ってきた。
しかし、しばらく経った頃の雨の日。俺は委員会活動で学校に残っていた。ふと、外に目を向けると見覚えのある傘が見えた。するとその傘の中に、1人の男子が入った。まさかとは思ったが、たまたま佐原の傘に似ているだけだろうと思ったのだが、気になったためもう少し見てみることにした。
丁度交差点に差し掛かった時、猛スピードの車が見えた。何もすることが出来ないまま、二人は車にぶつかった。
だか、不思議なことに救急隊が来た時に見つかったのは男子1人だけだったというのだ。そして男子は亡くなってしまった。
この件から相合傘の噂の信憑性が増して、みんなが話すようになった。
とある、雨の日のこと。俺は傘を忘れてしまった。というか、わざと忘れたのかもしれない。理由はもちろん、佐原に会うためだ。
「一緒に、帰ろ。」
目の前にはあの輝いている笑顔の佐原がいた。しかし、顔には少し傷を負っていた。
「佐原、あの時は俺が断ったから。ごめん。ごめん。」
「謝んなくていいよ。良かった。やっと一緒に帰れるね。」
俺はもう何も考えなかった。この際、死んでもいいやと言う感じだった。
遂に交差点まで来た。すると、
「私はここでお別れ。形屋、大好きだよ。」
佐原の声が聞こえた瞬間、俺は交差点の向こう側で傘も何も持たずに立っていた。
その後、佐原の噂は聞かなくなった。
きっと、佐原は俺とずっと帰りたかったんだな。
不快に思われる方がおりましたら、御手数ですがお教えください。削除等の対処を行います。
─────────────────────
俺は同じクラスの佐原に恋をしている。幼なじみで、小学校の時までは一緒に学校に行くほどの中だったのだが、中学生になり、俺の思春期がはじまり照れくさくなって今では関わりはほとんどない。
しかし、同じクラスということもあり、関わりが全くない訳では無い。
「方屋、お母さん元気にしてる?」
「ああ、それなりに元気だよ。」
「それなりにってなんだよ!」
恥ずかしくてまともに顔を見ることが出来ない俺に、佐原は話しかけてくれる。佐原の笑顔はとても輝いていて、見れば昔の楽しかった思い出が蘇る。
ある日の事だった。その日は昼頃から突然天気が不安定になり、帰る頃にはザーザー降りの大雨だった。最悪なことに俺は傘を持ってくるのを忘れてしまった。ここから家まで20分前後はかかると思い出し、憂鬱な気持ちになっていると、目の前には佐原がいた。
「傘、もしかして忘れた?」
少し照れくさそうに佐原は言ってきた。
「いいよ。大丈夫だから。」
俺は相合傘になって周りの目線が気になってしまうと思い、つい佐原の誘いを断ってしまった。佐原は少し残念そうに歩いていった。
罪悪感が胸に残るまま、俺も帰ろうとした時だった。
「ギシャ!」
学校の前の交差点で佐原が車に轢かれたのだ。俺は引かれる瞬間を目撃してしまい、そこから一歩も動くことが出来なくなった。
周りの人達が騒ぎ出し、ようやく事の重大さを知った。
結局、佐原は亡くなってしまった。病院に搬送される時に、顔の原型がないような状況だったという。
あの時俺が一緒帰っていたらこんなことにはならなかったと、どんどん自分を追いやるようになった。
すると、佐原が亡くなってから学校内で、ある噂を聞くようになった。それは、雨の日になると傘を持った少女が現れ、「一緒に帰ろ」と言ってくる。その少女の誘いに乗って、相合傘をしてしまうと学校の前の交差点で必ず車に引かれる。というものだった。俺は誰かが佐原の死のことをふざけて噂にしたのだと思い、腹が立ってきた。
しかし、しばらく経った頃の雨の日。俺は委員会活動で学校に残っていた。ふと、外に目を向けると見覚えのある傘が見えた。するとその傘の中に、1人の男子が入った。まさかとは思ったが、たまたま佐原の傘に似ているだけだろうと思ったのだが、気になったためもう少し見てみることにした。
丁度交差点に差し掛かった時、猛スピードの車が見えた。何もすることが出来ないまま、二人は車にぶつかった。
だか、不思議なことに救急隊が来た時に見つかったのは男子1人だけだったというのだ。そして男子は亡くなってしまった。
この件から相合傘の噂の信憑性が増して、みんなが話すようになった。
とある、雨の日のこと。俺は傘を忘れてしまった。というか、わざと忘れたのかもしれない。理由はもちろん、佐原に会うためだ。
「一緒に、帰ろ。」
目の前にはあの輝いている笑顔の佐原がいた。しかし、顔には少し傷を負っていた。
「佐原、あの時は俺が断ったから。ごめん。ごめん。」
「謝んなくていいよ。良かった。やっと一緒に帰れるね。」
俺はもう何も考えなかった。この際、死んでもいいやと言う感じだった。
遂に交差点まで来た。すると、
「私はここでお別れ。形屋、大好きだよ。」
佐原の声が聞こえた瞬間、俺は交差点の向こう側で傘も何も持たずに立っていた。
その後、佐原の噂は聞かなくなった。
きっと、佐原は俺とずっと帰りたかったんだな。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる