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別れた彼女

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 「ごめん。今日で別れよう」

 「なんで。私のどこが悪かったの?」

 「そう言うことじゃないんだけど...」

 「ならなんなの!?」

 「ごめん、言えない。」

 そう僕が言うと彼女は家を飛び出して行った。



 僕の名前は片上かたがみ 道冶とうや。21歳の大学生だ。

 突然だか、僕は今非常に困っていることがある。

 それは彼女の性格がメンヘラ気質なところと束縛してくるところだ。

 僕はかれこれ一年ほど彼女と付き合ってきたが、そろそろ限界を迎えそうである。

 
 一週間前に、僕がサークルの人と飲み会に参加する時のことだった。
 彼女の狂気的な一面がここで現れる。

 僕が入っているサークルは文化系のサークルで、男子5人、女子2人で、総勢7人くらいの規模だった。

 ただただ異性を意識せず、談笑に花を咲かせていると、スマホが振動した。

 『女いるのか?』
 『私のことはどうでもいいんだな』
 『早く帰ってきて』
 『もう消えたい』

 こんなメールが気づけば何通もきている。
 僕は彼女からのメールを無視してそのまま飲み会をしていた。

 すると、彼女はメールで『今から行くね』と送ってきた。
 流石にまずいと思った僕は、サークルのみんなに彼女のことを相談した。

 彼女は今までにも数々の問題を起こしており、その度に僕に相談してくる。

 サークルのみんなは、僕のことを心配してくれた。
 僕はみんなのアドバイスを聞いて、彼女と別れようかと考えていると、

「なんで返信してくれないの?」

 飲み会をしていた居酒屋に、彼女は突撃してきたのだ。

 サークルの人と飲み会に行くとだけ彼女には伝えていたのにも関わらず、何故か彼女は居酒屋にきた。

 「彼女ちゃん(仮名)。なんでここがわかったの?」

 「位置情報アプリでずっとみてたんだよ。そんなことどうでもいいから、道冶くん。私のこと嫌いになったの?」

 僕は鳥肌が全身に立つような感覚がした。

 つい最近から彼女と同棲を始めた。
 彼女は僕がスマホを話している間に、なんらかの手段を使ってロックを解除し、位置情報アプリを入れたことになる。

 「ごめん。もう帰るね」

 僕は代金をテーブルに置いて彼女と家に帰った。

 家に着くまでの間は終始無言だった。
 すごく気まずい雰囲気が息苦しかった。

 「なんで返信してくれなかったの?」

 「それはみんなと話してたからあとでいいかと...」

 「何、私のことは後回し?」

 「いや、そう言うわけじゃないよ」

 家の中に入った瞬間彼女が喋り出した。

 まただ。この流れを僕は何回も経験している。僕は何かがプツンと切れるような感覚がした。

 「ごめん。今日で別れよう」


 彼女は荷物を乱暴に詰め込んで、家を飛び出した。

 僕はしばらくの間放心した状態が続いた。
 しかし、何がすっきりとした感覚がした。

 「これでよかったんだ」

 僕はそう考えることにした。



 いつのまにか寝てしまっていたようだ。

 「ん?動けない...」

 起きると金縛りのような感覚に襲われた。
 僕は普段はメガネをかけており、裸眼だとほとんど見えないくらい目が悪い。

 しばらく経ってようやく状況がわかった。

 僕は拘束されていると。

 「え?なにこれ?」

 部屋の中は暗くて何も見えない。
 僕が寝る前、電気はつけていたはずなのに電気が消されている。そして、かによって拘束されている。

 この部屋に誰かがいるのは明白だ。

 僕は恐ろしい事実に気づいた。

 彼女はこの家の合鍵を所有していることに。
 
 「なんで別れちゃうの?」

 彼女の声だ。どこから話しかけているのかわからない。必死に視線を動かして彼女の居場所を探そうとした。
 しかし、いくら頑張っても目が悪いのに加えて、暗い空間ということもあり、何も見えなかった。

 「答えてよ」

 「い、いやぁ...」

 恐怖で言葉が出ず、声が震えてしまった。

 「私は道冶くんのこと、ずっと好きのになぁ」

 「そうか...」

 「最後に質問させて」

 「私のこと好き?」

 僕は頭をフル回転して必死に言葉を捻り出した。

 「君のことは...すきだったよ。僕の面倒も見てくれたりとか、プレゼントもくれたりとか。でも、あの...」

 言葉が詰まってしまった。

 「なんなの!!!」

 彼女の声が響く。
 僕は慌ててしまい、今までのことを思い出し、思っていることを話してしまった。

 「今はきらい...。僕のことを束縛したりして僕の自由を許してくれないじゃないか!」

 しまった。と思った頃には遅かった。


 「...死ね。」


 ズサっ、ズサっ、ズサっ。

 ズサっ、ズサっ、ズサっ。


 熱い。身体中が焼けているようだ。
 
 最後の最後まで、僕は彼女にされる人生だった。


『別れた彼女』 完
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