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ハネムーントレイン

77.的を絞る

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 ジョルジュはヴンサンと自身の執事であるランを連れて戻って来た。
 ヴンサンは副車掌と交替したばかりのようで、寝巻にガウンを羽織っているだけであった。
 執事服の女性がラン。
 黒い髪は一つに束ねられ、装飾品などは身に着けていない。キリっと吊り上がった目は主人であるジョルジュに似ている。既にダイヤモンドが偽物になっていた事は既に知らされているようで、顔色は初対面でも分かるほど暗かった。
「ジョルジュさんにお話されていると思いますが、念のため僕達にもパーティーの後から早朝までの行動を教えてもらえませんか?」
「年始のパーティーに続き、またしても容疑者に……」
 大きな背中を丸めたヴンサンは、眠気も相まって悲壮感たっぷりな声で呟いた。
 真紘は「ち、違います!」と何度も首を振って否定する。
「これはあくまで形式上と言いますか、開錠方法をご存じのお三方の犯行ではないと証明するための事情聴取と言いますか……」
「リナが……妻が、隣にいないとネガティブになるのが私の悪い癖なのです……」
「決起会の時も奥さんと超仲良さそうだったもんな。会えなくなって寂しいんだ。でっかいテディベアみたいな顔して~」
 重盛はヴンサンを肘でうりうりと突いた。
 ヴンサンは恥ずかしそうに頬を掻く。
「運転は基本的に二人体制、交代で行っています。私はパーティーの後の二十三時から朝の六時まで勤務していました。その後は先頭車両の休憩室にいたので、他の号車には入っていませんし、ラウンジに来たのも昨夜のパーティーぶりです」
「私はジョルジュ様と翌日の打ち合わせをした後、同じ部屋で就寝し――」
「えっ、この世界では主人と執事が同じ部屋で寝起きするもんなの……?」
 うーん、と間延びした声を発したジョルジュは、両手で口を覆った重盛を見て笑った。
「それは主人の意向によりますね。僕達はビジネスパートナーであり、それ以上でも以下でもありません。執事用に部屋を確保しても良かったのですが、今回は客室を一つでも多く確保したかったので、同室にしました。コンシェルジュがいる分、執事やメイドを連れてくるお客様は少ないのですが、事前に連れて来ると分かっていれば、部屋を簡易的に区切ることもできる。と言っても生活音は聞こえる程度の壁です。私は眠りが元から浅いので、ランが夜中にこっそり部屋を抜け出しても気付きますよ」
「なるほどー。仮にランさんがすっごい静かに抜け出しても、廊下で待機してるコンシェルジュに目撃されるから、どっちにしろケースがあるラウンジまでたどり着けないってことね」
 主人との仲を疑われたランは、ほんの少しだけ居心地の悪そうな顔をしていた。
 先ほどよりもやつれて見えるヴンサンは眠気を紛らわすためか、腕を組んで二の腕をつまんでいる。
 真紘も腕を組んで唸った。
「うーん、人の出入りが激しい日中のラウンジで大胆に犯行に及んだとは思えないし、やはりパーティー直後の二十三時から明け方までの犯行が濃厚ということでしょうか」
「ですが真紘様、深夜帯担当のコンシェルジュが交替で廊下の突き当りに待機していましたが、一件も不審人物の報告はありません。それどころか、深夜帯の客室から出てきた人物は一人もいないというのです」
 ジョルジュの発言に車掌室にもそんな報告はない、とヴンサンも同意する。
「従業員達も大半は寝ていたようで、活動していたのは夜勤のコンシェルジュと食事の下準備をしていた料理担当の者の数名です。持ち場を離れれば逆に悪目立ちします。特にコンシェルジュは、夜間とはいえ、いつお客様に呼ばれるか分からない。犯行に及んだ際に持ち場を離れていたら一発で犯人だとバレてしまいます。それにケースの開錠方法を知っているのは我々三名のみなので、やはりラウンジに辿り着けたとしても……」
 戻って来るのが少し遅いと思っていたが、ジョルジュは先んじて従業員達に話を聞いてきてくれたようだ。
 コンシェルジュの見張りの目がある以上、容疑者はかなり絞られるが、最終的にダイヤモンドが入ったケースを開錠できないという結論に至る。
 犯行可能な人物なんてこの列車にいるのだろうか。
 偽物のダイヤモンドが戻されたケースを眺めながら真紘は頭を悩ませた。
「ねえ、真紘ちゃん。このラウンジに来るにはコンシェルジュがいる廊下を通る必要があるけど、昨日のパーティーの片付け担当の人と、朝食担当の人はラウンジの隣にある調理場に用事があるわけだから廊下を通っても怪しまれないよね。ケースの開け方云々は一旦置いておいて、とにかくその人たちにも話を聞いてみようよ」
「うん、そうだね。このまま五人で話していても埒が明かない。ヴンサンさんはこれから休憩でしょう、自室でゆっくり休んでいてください」
「よろしいのですか?」
「ええ、長旅ですから、この列車の要である車掌さんを寝不足にさせるわけにもいきません。僕達便利屋にお任せください」
「そそ、便利屋は年中無休だから!」
「では、ご依頼ということで……」
「いいって、知り合い割引ってことでサービス」
 ヴンサンの大きな背中を重盛はトントンと叩いて移動を促す。
 ところがお待ちください、とランが立ちはだかった。
「早朝の調理担当の者達も今の時間帯は寝ているはずです。列車での勤務もまだ慣れておらず疲れているでしょうし、女性に着の身着のまま話を聞かせてというわけにもいきません。支度にも時間が……」
「ラン、緊急事態だ。疲れているところ起こすのも悪いと思っているが、列車のシンボルであるダイヤが盗まれたんだ。怪盗アンノーンの名まで騙っているんだ、悪戯にしては度が過ぎている。これはベレッタ家の名に泥を塗る行為なんだよ。とにかく深夜と早朝の担当者をここに呼んで来てくれ」
「はい、ジョルジュ様。出過ぎた真似を致しました、申し訳ございません。かしこまりました」
 ランは深く頭を下げると、ポニーテールを靡かせて、従業員達の休憩室がある後方の号車へと駆けて行った。

 のしのしと音がしそうな足取りでヴンサンも先頭車両へ戻った。
 さらにジョルジュもこの場を離れるという。
「そんな場合ではないのは重々承知なのですが、この後すぐにフローラ侯爵との商談がありまして、この場をお任せできないかと……」
「俺達は全然大丈夫だけど、宝石より大事な商談って……?」
「フローラ侯爵家は宝石商なんだよ」
「なんで真紘ちゃん知ってんの?」
「同乗する人達の情報くらい仕入れておくだろう? 王城で働いている時に色々教えてもらったんだ。それにノエル先生の授業でもさらっと言っていたよ」
「先生の授業とかリアースに来たばっかりの時じゃん! 良く覚えてんなぁ」
 目を丸くした重盛は口もぽっかりと開けて、感心したような声を上げた。
「あのねぇ、誰かさんが授業中に寝ちゃうから、僕が覚えなきゃって必死だったんだよ。フローラ侯爵がこの列車に乗っている理由も、盗まれたダイヤの加工をした企業であることに加え、東側の国との商談のためですよね。運送事業に関わるベレッタ家としては、安全に宝石や貴金属を運べると証明しなければならない。その最中でこの事件は……」
「この取引が不成立になったとしても金銭的な復讐にはならないと思いますが、両親はさらに落ち込むでしょう。宝石用のケースも旅の安全性を証明するためのものだったのです。それがまさかこんなことになるとは……。ランが先ほど皆さんを引き止めた理由もおそらくこれです。事件のことは他の従業員に伏せてアリバイを確認していたのですが、大々的に調査を始めれば、きっとフローラ家の耳にも入ります。今日はまだ一度もお見かけしていませんが、第三者を介してケースが空だと知られてしまうのは避けたいところです。解決してから誠心誠意、説明はするつもりですが……。ただでさえ今回、東の国との商談用に持ち込まれた宝石の取り扱いも厳しいというのに……」
「そっか……。じゃあ俺達もできるだけこっそり捜査しよう」
「そうだね」
「申し訳ございません、妹の件に続き、またこのようなお願いを……。ですがこれ以上、ベレッタの名を落すことはできないのです。犯行が乗客や世間に露見する前に、どうか犯人を捕まえてください!」
 深々と頭を下げるジョルジュに、真紘は慌てて手を振った。
 自分達は名ばかり貴族であるため、未だに貴族としてどのように振舞うべきか理解していない。そんなことで家名に傷が付くのだろうか、と思うことでも、きっと生まれながらの貴族にとって、傷心中の両親を想う子供として、何よりも守り通したいことであるのだと想像はできる。
 その想いに応えるため、真紘は大きく頷いた。
「頑張ります! 教室の隅で気配を消して過ごした実績はあるので、隠密行動には自信があります!」
「う、う~ん? 頑張りまぁす」
 どこにいても目立っていたけどな、という言葉は飲み込んで、お気楽なピースを頬に張り付けた重盛は、やる気に満ち溢れている真紘と腕を組んだ。


 ほどなくしてランがパーティーの片付けを担当していた三人と早朝の調理を担当していた二人を連れて来た。
 着いて早々に片付け担当の者達は、勤務を終える直前まで三人で行動していて宝石のケースに触った者すらいないと主張した。
 何より、三人は兎、猫、犬の獣人。魔力量が少なく、ほとんど魔法も使えないという。
 魔力を補うための魔石があったとしても、開錠するような繊細な魔力の流れを作ることは不可能に近い。
 真紘も、三人が協力したとしてもケースを開けられるようには思えなかった。
「我々はどうしてここに呼ばれたのでしょうか? 宝石のケースの掃除はしなくても良いと聞いていましたが、何か至らない点でもあったのでしょうか……?」
 兎の獣人はふるふると震えながら問う。
 ランは笑みを浮かべて首を振った。
「いいえ。ジョルジュ様の意向で、勤務体制に問題はないかヒアリングを行っているだけです」
「そうでしたか……。ラン様はもちろん、ジョルジュ様も気にかけてくださっていますし、車掌のヴンサンさんも気さくな方です。レミー様の賄い料理は絶品です。東の国にいた頃より良い暮らしができていて、我々は幸せです」
「それなら良かったです。もう仕事に戻っていただいて結構ですよ」
 三人がラウンジを出て行ったあとに、勝手に判断して申し訳ないとランは頭を上げたが、揉め事を起こし大きな騒ぎにしたくなかったため、真紘は問題ないと答えた。
「調理担当の私達がここに呼ばれた理由ですが、ただのヒアリングではありませんよね」
 不機嫌に眉を顰めた女性は、リビと名乗った。
 リビの抹茶色の髪は肩あたりではねていて、真っ黒なシャツは第一ボタンまできっちり閉じられている。
 垂れた眉と目尻は穏やかな印象を与えるが、声色は明らかにこちらを警戒していた。
 自ら発光しているかのような銀と緑の、一見儚い美人が二人。
 見た目に反してどこかピリッとした空気が流れていることに気が付いたのは重盛だけであった。
 そんなことはお構いなく、真紘はいつも通りの穏やかな笑みを浮かべてリビの質問に答える。
「なぜただのヒアリングではないと?」
「公爵様がいらっしゃるからです。業務に関することをお客様の前で話すのはおかしなことではありませんか」
「まあ、そう思いますよね。僕達は、ここにあったダイヤモンドのことでちょっとお話をお伺いしたくて」
「私かアカネさんが盗んだと仰るのですか?」
「……リビさんはこのダイヤモンドが偽物であると、ランさんから聞いていたのでしょうか?」
 真紘はランを見る。
 ランは誰にも話していない、と否定した。
 リビはふっと微笑を浮かべる。
「勤務時間外にも関わらず連れ出されたのです。ただのヒアリングではないことも最初から理解していましたが、このラウンジに来て確信しました。昨晩見たダイヤモンドと輝きが全く違います。これはその場しのぎの偽物で、宝石が盗まれたのだろうと。そして公爵様方はその犯人を捜している。違いますか?」
「正解です。あまり大事にはしたくないので、全く心当たりのなさそうな方や、犯行が不可能であろう方には、こうしてヒアリングという形でお話を伺っていました。犯人特定にご協力いただけないでしょうか。些細なことでもいいんです」
「お耳に入れたいことは、あります……」
 少し間を開けたあと、隣にいるパティシエのアカネをちらりと見たリビは、できれば二人で、と真紘に耳打ちした。
 ふわりと女性らしい甘いコロンが鼻孔を掠める。
 料理人にしては些か派手な香りに重盛は口元を引きつらせた。
「わかりました。では、僕はリビさんと。重盛はアカネさんとお話ししてもらえるかな?」
「ええっ! 一対一⁉ 昨日はフミちゃんを部屋に入れるのはちょっと~とか言ってたのに。てかレミーさんは? 料理長のレミーさんにも一応話し聞いた方が良くない? どこにいんの?」
 重盛が嫌だと駄々をこねるのは分っていたが、自分にも感じ取らるほどの香水を纏った人間と重盛を二人きりにする方がどうかしている。
 真紘は重盛を宥めるため、背中をポンポンと叩いた。
「ええっと、ああ、料理長は昨晩のパーティー担当で、今日は一日お休みです。今朝の朝食は私が一人で担当いたしました」と言って、リビは胸元から取り出したメモ用紙を真紘に手渡す。
「これはシフト表ですか?」
「パーティーから数日間は勤務時間が通常と異なるため、変則的なシフトになっています。忘れるといけないので、こうしてメモを」
「なるほど。レミーさんには昨日さらっとだけどご挨拶できたし、お休みならゆっくりしてもらった方がいいですね」
「お気遣いありがとうございます」
「休みの野木は働かせてんのにレミーさんはいいのかよ」
「重盛、お静かに」
 不服そうな重盛は、頬を膨らませた。
「百歩、千歩譲って了解するけど、別々に話聞くってどうすんの、俺達の部屋を交代で使うの?」
 あのう、とおずおず手を挙げたのは今まで黙って聞いていたアカネだった。
 長身の四人に囲まれたアカネは、頭上から視線を一斉に浴びることになり、ふわふわとした綿あめのような髪と、小さな肩を震わせて縮こまった。
「よ、よろしければ隣の号車にある作業スペースにお越しください。調理スペースは、メイン料理とデザート担当で別れていて、防音、防炎に特化した造りになっています……。だけど、その……」
「ん? どうかした?」
「ご、ごめんなさい! わた、わたし、人見知りなので、特に男の人と二人っきりは、ちょっと、む、無理、です……」
 アカネは、隣にいたランの執事服をぎゅっと握りしめて俯いた。
「あー……俺、デカくて怖いよね。じゃあランさんも一緒に来てくる?」
「はい、私でよろしければ。では、アカネさん、行きますよ」
 ふらつくアカネを抱えるように歩き出したランを見て、重盛は耳と尻尾をぺしゃりと折り畳む。
 その姿が切なく、真紘は重盛の大きな手を両手でおにぎりを握るようにきゅっきゅっと包み込んだ。
「こーんなにふわふわで可愛いのにねえ?」
「俺、不人気すぎない? だけど、百四十センチくらいの女の子からしたら俺なんて巨人だもんな、仕方ないか……。デザートのレシピとか教えてもらいたいんだけど無理かなぁ」
「落ち込むのか貪欲なのか、忙しいね」
「こりゃーあとで真紘ちゃんに甘やかしてもらわないとメンタルが回復しないなぁ~。今、ちゅっとしてくれてもいいんだけどなぁ~」
「また変な技を覚えて……。大丈夫、僕からは大人気だから。そんな落ち込まないで」
 真紘は重盛の腰に手を回してふふっと微笑む。
 嬉しさ半分、もどかしさ半分の重盛は、真紘を抱き締めながらメトロノームのように上半身を振った。
 そんな真紘と重盛の様子をじっと観察していたリビは、ここに来た時よりも表情が明るくなっていた。
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