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冬-偽装交際-
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夕食の時間には少し早いが小腹も減っていたため、チョコレートは明日にして今日はチーズフォンデュだけすることにした。
二人でキッチンに立ち、細長く切った食パンに野菜スティック、味変用にオーロラソースと味噌を用意する。有平も大学の頃から一人暮らしをしていたため、ある程度の料理スキルは身についていた。
横を見上げると、にこっと有平が微笑んだので、朔も釣られてふにゃんと笑う。
「おお~朔も野菜切るの上手! 二人で用意するのってなんか楽しいね。ほい、あーん」
オーロラソースがついた食パンの端切れで口元をちょんと突かれる。
「えっ?」
「ん? 味見、どうぞ?」
監視の目はないし、いちゃつく必要はないのだが、それが当たり前になってしまって、今さら断るのも恥ずかしい。それに有平は特に気にしていない様子なので、恐らく雛鳥に餌をやるくらいの感覚なのだろう。
気を遣われ過ぎるのも嫌だが、意識されないのも悔しい。なんとも難儀な恋心である。
朔は頬に流れる髪を耳にかけながら、有平の手からパンを食べた。
「少しソースの味が濃いけど、チーズと合わせるならバッチリだと思います」
「オッケー! じゃあ食べよう!」
用意した食材をローテーブルに運び、ソファーを背もたれにして並んで座る。
アルコールランプの実験をするような器具を卓上に設置して、固形燃料に着火する。その上に置いた小鍋へチーズを投下するも、チーズはサイコロ状のままで、時折、ボコッとポップコーンのように塊が弾ける。
「あれ? 早く溶けるように小さく切ったのに、全然溶けませんね」
「やらかしたかも……。溶けないタイプのチーズ買ってたみたい……」
朔は、うな垂れた有平の顔を覗き込む。
「そんな捨て猫みたいな顔しないでくださいよ。前に来た時も有平さんの家すごく綺麗で、家具とか観葉植物とかもオシャレだし、知らない人のお部屋みたいだなぁって実は少しだけ緊張してたんです。だけど今のでやっといつもの有平さんだって、ちょっと安心しました」
「そんなこと考えてたの? だからクリスマスの夜もすごい掃除して帰ってくれたんだ」
「ま、まあ、そんなところですかね……」
それは、多少なりとも発情したであろう自分の痕跡を消したかっただけなのだが、いいように解釈してもらえて結果オーライだ。
「ごめん、朔の前では格好悪いところばかり見せて。こういうところなのかなぁ。パートナー役である僕がアルファらしくないから、犯人も諦めてくれないのかもしれない……」
「それは違います! 本当の恋人と偽物の恋人では、醸し出す雰囲気がやっぱりどこか違うんだと思います。俺がこういうことに慣れていないせいです……。犯人が俺達の交際を疑っているのは、有平さんのせいじゃありません。協力してもらっている俺が謝るならまだしも、有平さんが自分を責める必要は、これっぽちもないんですよ!」
「そうかな……。僕がドジしたりミスしたりしても、朔はいつも優しいね」
「それは有平さんが優しいからそう感じるんじゃないですか? 誰だって優しさには優しさで返したいですよ」
「うわぁ~嬉しいこと言ってくれるなぁ」
「仕事はできるし気遣いもできる素敵な人なんだから、俺が尊敬している先輩のこと、これ以上責めないでください。そうだ! いつも褒めてもらっているので、今日は俺が有平さんを労わるデーにします!」
朔はそう宣言すると、熱されてプヨプヨになったチーズをフォンデュフォークで刺して有平の口元に運ぶ。
有平は視線をオロオロと彷徨わせて、叱られる前の子どもみたいな顔でこちらを見るので、先ほどのお返しに「あーんしてください」と、優しく囁く。
栗色の長いまつ毛が伏せられて、有平は朔の手からチーズを食べた。
それはなんだか神聖な儀式みたいで、犯人からの電話で荒んだ心が浄化されていくような気がした。
「溶けてなくても美味しいでしょう?」
「うん、美味しい」
「チーズだから溶けてなきゃ意味ないなんてことはないし、アルファに生まれたからアルファらしくなきゃ意味ないなんてこと、絶対にありません。有平さんが好きな自分を目指すために反省しているなら一緒に対策を考えたり応援したりしますけど、ただ責めるだけなら止めてください」
「朔はアルファらしくない抜けてる僕でもいいの……?」
「もちろんです。前に言いましたよね、俺が有平榛夏さんを肯定しますって。俺が尊敬して憧れているのは完璧なアルファじゃなくて、誰よりも優しくて、のんびり屋で、笑うと目尻に幸せなしわができるような人間らしいそのままの有平さんなんですよ。ねえ、ほら、元気が出るまでとことん褒め殺しますけど、続きも聞きたいですか?」
朔の問いかけに、有平は弱々しく首を振る。背もたれにしていたソファーに両腕を置いて顔を埋めているが、うなじや耳まで真っ赤だ。
朔は、有平が今どんな顔をしているのか知りたくてそっと覗き込む。
「朔を労わるはずが、慰められてしまった……」
目尻まで赤く染めた有平は、恥ずかしそうに弱々しく笑っていた。
「いいじゃないですか。昔から姉二人のお世話係りだったので、結構性に合っているんですよ。有平さんもしんどい時は、無理にお兄さんぶらないで甘えておけばいいんです。末っ子でもやる時はやります! はい、もっと食べてください。あーんっ」
気を良くした朔は、好きな食材をフォークに刺しては有平の口元に運ぶ。
世話焼きなのはお互い様のようだから、支え合っていけばいいのだ。
風呂も借りて、あとは寝るばかり。
外は暗くなったが、街は時が止まったかのように静かで、窓に近づいてみるとタンポポの綿毛くらいの大きな雪の塊が地上に向かってこんこんと降っていた。
朔はカーテンを閉めて、有平の戻りを待つ。
家主が風呂に入っている間も部屋のものは好きにしていいと言われているため、布で覆い隠されていた棚から何冊か本を選んでみた。
ハードSFからハリウッド映画にもなった王道ファンタジー。時代小説に伝統工芸職人のエッセイ、ひと昔前に大流行していた少年漫画。そこはまるで街の小さな本屋。幅広いジャンルの本がズラリと並んでいる。
華やかな容姿の有平からはアクティブで社交的な印象を受けるが、彼の内面を知れば知るほど、休日はひたすら自宅で穏やかに過ごしていそうだなと思うのだ。それを裏付けるような本棚に、朔の心が躍る。
その中でも一番目を引くのは、仕事に関する書籍の多さだ。建築や不動産系の参考書に防犯対策や法律、人付き合いの極意まで。表紙にはしわが寄っていて、付箋が飛び出ているものまである。
こんなに努力している人が、顔だけなわけがない。
朔は、見覚えのある二級建築士試験学科の問題集を手に取る。表紙のデザインは同じだが、朔が購入したものより四年早い西暦が記載されていた。
一歩も二歩も先を行く憧れの先輩の努力が詰まっている。
表紙を慈しむようにそっと撫でると廊下から物音が聞こえた。
「やばっ! うわぁ、仕事関係の本もそこに置いてたんだった……」
タオルで頭を拭きながらリビングへ戻って来た有平は、朔の手元を見て苦笑いを浮かべた。
「恥ずかしがることないのに」
「そうなんだけどさ。欲しいものがあったら古い年度版でよければあげるよって言えるほど、状態がどれも良くはなくて……」
「使用感がある方がいいです。ここのページ、有平さんも苦戦して悩んだところなのかなぁって、一緒に勉強している気分になれて、俺も負けてられないって思えます」
「おお~っと? まだ褒め殺しタイム続いてるの?」
「ふっふっふ、お楽しみはまだまだこれからですよ?」
問題集を本棚に戻すと、去年の初夏に有平と見た映画の原作本が目に止まった。それを本棚から抜き取ると、ページの間からひらりと何かが落ちた。
朔はしゃがんで小さな紙を拾い上げる。
「映画の半券?」
「ああ、朔と初めて一緒に見た映画だったから記念に半券も取っておいたんだ。栞代わりに使ってるよ。読み返すたびに、映像の面白さとか遊んだ時の記憶も蘇るから」
「有平さんがホラー映画の予告に怯えていたこととか?」
「あっは、あれぇ? 褒め殺しタイムじゃなかったの?」
朔はくすくすと笑って、ソファーに座った。
自分との思い出を、こんな形で保管してもらえていたなんて、飛び上りそうになるほど嬉しかった。
これからも、こうやって思い出を増やせていけたらいいのに、と願わずにはいられない。
「さあ、髪乾かすのでソファーの下に座ってください。俺がドライヤー係りやります!」
朔は両足を開いて、その間に座るよう促す。
「やった~。でも大人になってから美容室以外で人に乾かされたことないかも。どうしたらいい?」
「難しいことはないですよ。とりあえず動かなければいいと思います。頭や首を人に触らせるのが苦手とかであれば、遠慮なくおっしゃってください」
有平はアルファだが、オメガはパートナーや家族以外にうなじを触られることを苦手とする。本能的にうなじを守らなければと体がこわばるのだ。逆に言えば、好きな相手はフェロモンを大量に放出して誘惑してしまうので、ある意味、朔も有平にうなじを晒すことはできない。
第二性関係なく苦手な人も多い部位のため、無理強いはしたくない。これはあくまで朔が有平の世話を焼きたいという希望による提案である。
「ううん、平気だよ。では、お言葉に甘えてお願いしようかなぁ」
嬉しそうに頷いた有平は、長い脚を折り畳んで朔の足の間にちょこんと座った。
朔は、濃いミルクティー色の髪に指を通して温風を当てて乾かしていく。
先ほど使ったはずのシャンプーの香りは、自身からも同じ匂いがするはずなのに、有平の匂いが混ざっているせいか、よりいい香りがした。
二人でキッチンに立ち、細長く切った食パンに野菜スティック、味変用にオーロラソースと味噌を用意する。有平も大学の頃から一人暮らしをしていたため、ある程度の料理スキルは身についていた。
横を見上げると、にこっと有平が微笑んだので、朔も釣られてふにゃんと笑う。
「おお~朔も野菜切るの上手! 二人で用意するのってなんか楽しいね。ほい、あーん」
オーロラソースがついた食パンの端切れで口元をちょんと突かれる。
「えっ?」
「ん? 味見、どうぞ?」
監視の目はないし、いちゃつく必要はないのだが、それが当たり前になってしまって、今さら断るのも恥ずかしい。それに有平は特に気にしていない様子なので、恐らく雛鳥に餌をやるくらいの感覚なのだろう。
気を遣われ過ぎるのも嫌だが、意識されないのも悔しい。なんとも難儀な恋心である。
朔は頬に流れる髪を耳にかけながら、有平の手からパンを食べた。
「少しソースの味が濃いけど、チーズと合わせるならバッチリだと思います」
「オッケー! じゃあ食べよう!」
用意した食材をローテーブルに運び、ソファーを背もたれにして並んで座る。
アルコールランプの実験をするような器具を卓上に設置して、固形燃料に着火する。その上に置いた小鍋へチーズを投下するも、チーズはサイコロ状のままで、時折、ボコッとポップコーンのように塊が弾ける。
「あれ? 早く溶けるように小さく切ったのに、全然溶けませんね」
「やらかしたかも……。溶けないタイプのチーズ買ってたみたい……」
朔は、うな垂れた有平の顔を覗き込む。
「そんな捨て猫みたいな顔しないでくださいよ。前に来た時も有平さんの家すごく綺麗で、家具とか観葉植物とかもオシャレだし、知らない人のお部屋みたいだなぁって実は少しだけ緊張してたんです。だけど今のでやっといつもの有平さんだって、ちょっと安心しました」
「そんなこと考えてたの? だからクリスマスの夜もすごい掃除して帰ってくれたんだ」
「ま、まあ、そんなところですかね……」
それは、多少なりとも発情したであろう自分の痕跡を消したかっただけなのだが、いいように解釈してもらえて結果オーライだ。
「ごめん、朔の前では格好悪いところばかり見せて。こういうところなのかなぁ。パートナー役である僕がアルファらしくないから、犯人も諦めてくれないのかもしれない……」
「それは違います! 本当の恋人と偽物の恋人では、醸し出す雰囲気がやっぱりどこか違うんだと思います。俺がこういうことに慣れていないせいです……。犯人が俺達の交際を疑っているのは、有平さんのせいじゃありません。協力してもらっている俺が謝るならまだしも、有平さんが自分を責める必要は、これっぽちもないんですよ!」
「そうかな……。僕がドジしたりミスしたりしても、朔はいつも優しいね」
「それは有平さんが優しいからそう感じるんじゃないですか? 誰だって優しさには優しさで返したいですよ」
「うわぁ~嬉しいこと言ってくれるなぁ」
「仕事はできるし気遣いもできる素敵な人なんだから、俺が尊敬している先輩のこと、これ以上責めないでください。そうだ! いつも褒めてもらっているので、今日は俺が有平さんを労わるデーにします!」
朔はそう宣言すると、熱されてプヨプヨになったチーズをフォンデュフォークで刺して有平の口元に運ぶ。
有平は視線をオロオロと彷徨わせて、叱られる前の子どもみたいな顔でこちらを見るので、先ほどのお返しに「あーんしてください」と、優しく囁く。
栗色の長いまつ毛が伏せられて、有平は朔の手からチーズを食べた。
それはなんだか神聖な儀式みたいで、犯人からの電話で荒んだ心が浄化されていくような気がした。
「溶けてなくても美味しいでしょう?」
「うん、美味しい」
「チーズだから溶けてなきゃ意味ないなんてことはないし、アルファに生まれたからアルファらしくなきゃ意味ないなんてこと、絶対にありません。有平さんが好きな自分を目指すために反省しているなら一緒に対策を考えたり応援したりしますけど、ただ責めるだけなら止めてください」
「朔はアルファらしくない抜けてる僕でもいいの……?」
「もちろんです。前に言いましたよね、俺が有平榛夏さんを肯定しますって。俺が尊敬して憧れているのは完璧なアルファじゃなくて、誰よりも優しくて、のんびり屋で、笑うと目尻に幸せなしわができるような人間らしいそのままの有平さんなんですよ。ねえ、ほら、元気が出るまでとことん褒め殺しますけど、続きも聞きたいですか?」
朔の問いかけに、有平は弱々しく首を振る。背もたれにしていたソファーに両腕を置いて顔を埋めているが、うなじや耳まで真っ赤だ。
朔は、有平が今どんな顔をしているのか知りたくてそっと覗き込む。
「朔を労わるはずが、慰められてしまった……」
目尻まで赤く染めた有平は、恥ずかしそうに弱々しく笑っていた。
「いいじゃないですか。昔から姉二人のお世話係りだったので、結構性に合っているんですよ。有平さんもしんどい時は、無理にお兄さんぶらないで甘えておけばいいんです。末っ子でもやる時はやります! はい、もっと食べてください。あーんっ」
気を良くした朔は、好きな食材をフォークに刺しては有平の口元に運ぶ。
世話焼きなのはお互い様のようだから、支え合っていけばいいのだ。
風呂も借りて、あとは寝るばかり。
外は暗くなったが、街は時が止まったかのように静かで、窓に近づいてみるとタンポポの綿毛くらいの大きな雪の塊が地上に向かってこんこんと降っていた。
朔はカーテンを閉めて、有平の戻りを待つ。
家主が風呂に入っている間も部屋のものは好きにしていいと言われているため、布で覆い隠されていた棚から何冊か本を選んでみた。
ハードSFからハリウッド映画にもなった王道ファンタジー。時代小説に伝統工芸職人のエッセイ、ひと昔前に大流行していた少年漫画。そこはまるで街の小さな本屋。幅広いジャンルの本がズラリと並んでいる。
華やかな容姿の有平からはアクティブで社交的な印象を受けるが、彼の内面を知れば知るほど、休日はひたすら自宅で穏やかに過ごしていそうだなと思うのだ。それを裏付けるような本棚に、朔の心が躍る。
その中でも一番目を引くのは、仕事に関する書籍の多さだ。建築や不動産系の参考書に防犯対策や法律、人付き合いの極意まで。表紙にはしわが寄っていて、付箋が飛び出ているものまである。
こんなに努力している人が、顔だけなわけがない。
朔は、見覚えのある二級建築士試験学科の問題集を手に取る。表紙のデザインは同じだが、朔が購入したものより四年早い西暦が記載されていた。
一歩も二歩も先を行く憧れの先輩の努力が詰まっている。
表紙を慈しむようにそっと撫でると廊下から物音が聞こえた。
「やばっ! うわぁ、仕事関係の本もそこに置いてたんだった……」
タオルで頭を拭きながらリビングへ戻って来た有平は、朔の手元を見て苦笑いを浮かべた。
「恥ずかしがることないのに」
「そうなんだけどさ。欲しいものがあったら古い年度版でよければあげるよって言えるほど、状態がどれも良くはなくて……」
「使用感がある方がいいです。ここのページ、有平さんも苦戦して悩んだところなのかなぁって、一緒に勉強している気分になれて、俺も負けてられないって思えます」
「おお~っと? まだ褒め殺しタイム続いてるの?」
「ふっふっふ、お楽しみはまだまだこれからですよ?」
問題集を本棚に戻すと、去年の初夏に有平と見た映画の原作本が目に止まった。それを本棚から抜き取ると、ページの間からひらりと何かが落ちた。
朔はしゃがんで小さな紙を拾い上げる。
「映画の半券?」
「ああ、朔と初めて一緒に見た映画だったから記念に半券も取っておいたんだ。栞代わりに使ってるよ。読み返すたびに、映像の面白さとか遊んだ時の記憶も蘇るから」
「有平さんがホラー映画の予告に怯えていたこととか?」
「あっは、あれぇ? 褒め殺しタイムじゃなかったの?」
朔はくすくすと笑って、ソファーに座った。
自分との思い出を、こんな形で保管してもらえていたなんて、飛び上りそうになるほど嬉しかった。
これからも、こうやって思い出を増やせていけたらいいのに、と願わずにはいられない。
「さあ、髪乾かすのでソファーの下に座ってください。俺がドライヤー係りやります!」
朔は両足を開いて、その間に座るよう促す。
「やった~。でも大人になってから美容室以外で人に乾かされたことないかも。どうしたらいい?」
「難しいことはないですよ。とりあえず動かなければいいと思います。頭や首を人に触らせるのが苦手とかであれば、遠慮なくおっしゃってください」
有平はアルファだが、オメガはパートナーや家族以外にうなじを触られることを苦手とする。本能的にうなじを守らなければと体がこわばるのだ。逆に言えば、好きな相手はフェロモンを大量に放出して誘惑してしまうので、ある意味、朔も有平にうなじを晒すことはできない。
第二性関係なく苦手な人も多い部位のため、無理強いはしたくない。これはあくまで朔が有平の世話を焼きたいという希望による提案である。
「ううん、平気だよ。では、お言葉に甘えてお願いしようかなぁ」
嬉しそうに頷いた有平は、長い脚を折り畳んで朔の足の間にちょこんと座った。
朔は、濃いミルクティー色の髪に指を通して温風を当てて乾かしていく。
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