器用な少年、異世界へ行く

沢煮椀

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本編

ハクのわがまま

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その質問を聞いたグレンさんは驚いた顔をしたけど、すぐに顔を戻して話しかけてきた。

「驚いた、冒険者の事も知らないのかい?本当に何も知らないんだね…まぁ、人には人の事情があるだろうから詮索はしないんだけど…ちょっと怪しいよね。」

いや、男の人にジト目で見られても嬉しくないから。

「まぁ、自分の過去なんてどうでもいいでしょ?早く冒険者について教えてよ。」

「…もうちょっと反応してくれてもいいんじゃないかな…まぁ、良いけどさ。
冒険者は冒険者ギルドに入るとなる事が出来て、ほとんどの仕事はギルドに依頼された物を受注して、それを解決する事なんだ。だけど初めの頃は難易度の低い物しか受けられないんだ。弱い者がいきなり難易度が高い物を受けてもすぐに死んでしまうからね。
だからギルドにはランクって物があるんだ。ランクにはE、D、C、B、A、S、SSの順番であるんだけど、まぁ、君なら最低でもC位には行けるんじゃないかな。これはクエストを解決すれば上がるから、コツコツと頑張るしかないんだよね。」

へぇ、大体は予想通りだな…ちょっと面白そうだな。だけど、その仕事で食べて行かないといけないからなぁ。面白そうなだけでなる訳にはいかない。

「なるほど…それじゃあ、ランクはどのくらい高ければ食って行けるんだ?」

「うーん…それは頑張り次第で変わるんだけど、B位になれば結構楽になるんじゃないかな。一つのクエストで最低でも金貨1枚は貰えるからね。」

「へぇ、結構稼げるんだな。」

「まぁ、それ相応の難易度になるから、君の強さ次第では楽に稼げるって事にはならないかもしれないから気をつけておいた方がいいよ。…そうだ、君の強さを知りたいから、一戦交えないかい?」

…え、自分に死ねと?

「はぁ!?無理に決まってるだろ!自分はまだ死にたくないんだよ!」

「…いや、手加減はするよ?」

「それでも無理だよ!」

「…どうしても?」

「無理ったら無理!」

大体、グレンさんが手加減しても自分には、文字通り手も足も出ないだろう。まず自分には受けるメリットがな…

「私に勝ったら、できるだけの事は一つ叶えてあげるんだけどなぁー。」

…いや、やっぱりメリットがあってもしないか(ry

〈マスター、是非お受けください!〉

おぅ!?ハクさん?いきなりどうしたんだ?

〈私に一つ考えがございます。これは必ずマスターに益をもたらすと思われます。〉

いや、まず勝てないと思うんだけど…

〈終わりに近づいても勝利の兆しが見えないのならば私が私が手助け致します。ですので早く!〉

ああもう、分かったよ!…はぁ、ハクさんが言うんならしょうがないかな。まぁ、ハクさんの事は信用しているから、自分に悪い事は無いっていうのは分かるからね。

〈感謝します、マスター。〉

はいはい、それじゃあ受けますかね。

「…分かった。受けるよ。」

「おっ、本当に受けるのかい!?冗談のつもりで言ったんだけど…君も結構欲深いんだね?」

?……あっ、自分が物に釣られて勝負を受けた事になってるじゃん!?自分は全く悪くないのに!

「ち、違うからな!?これには他の理由が…」

「あはは、冗談だよ。」

…イラッ

「…ちっ、それで、勝負の内容は?」

「ちょっ、そんなに拗ねないでいいじゃないか!軽いジョークなんだから…って、聞いてないね…もう、本題に入るからね?
試合の内容は…そうだね、制限時間内に、逃げる私に君の獲物を当てられたら勝ちっていうのはどうだい?」

「えっ、それじゃあグレンさんが危ないじゃん!」

「大丈夫大丈夫、ちゃんと防具を着るからさ。まぁ、重くなっちゃうけど、それもハンデになるからいいよね?」

「それなら良いけどさ…って、そう言えば、グレンさんのメリットがないよね。どうするんだ?」

「ん?いや、私は君の強さを知りたいだけだから、戦うだけでメリットがあるんだよ。」

本当にそれでいいのかな…まぁ、本人がそう言ってるのならいいかな。

「分かった。グレンさんが良いならそれでいいよ。」

「よし、それじゃあ修練場へ行こうか。」


グレンさんはそう言って立ち上がり、ドアに向かって歩き出す。自分も立ってその後を付いていく…んだけど、ミルさんが居なくなってる…本当にいつ居なくなったんだろ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねぇハク、本当にそんな事にアレを使うのかい?」

〈そんな事ではありません。これはマスターの旅を快適にするためには必要不可欠な事です。それに、あの子も退屈しているでしょう。〉

「それはそうだけどさ…しかも、ずっと仕事しっぱなしじゃないか。いくらでもいる生命の中からたった一つの個体を探すなんて作業をし終わったんだから、やっぱり止めといた方が(ry」

〈元はと言えば我が神が悪いのです。しっかりとギフトの説明をしておけば面倒な事には…クドクド…〉

「あっはい。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

久しぶりに二千文字以上書きました。沢煮椀です。

なんやかんやで戦うことになりました。できるだけ詳しく書きま…書きたいと思います。
最後にフラグ的なものを立てていますが、空回りに終わるかも知れません。

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