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本編
実食
しおりを挟む自分達はステーキを配膳しながら部屋へと続く道を話しながら歩く。ちなみに、ミルさんは話すことにも文句を言っていたけど、何だかんだで話しているからミルさんも話し相手が欲しかったんだろうな。
話の内容も他愛ないもので、例えば
「ミルさんって彼氏いるの?」
って深い意味の無い質問をしたら首筋にナイフを添えられたりとか、その後に
「じゃ、じゃあ夫?」
という、 焦っていたから言える空気の読めない質問をしたらナイフがすぐに隣を通った事とか、そんな至って普通なやり取りを繰り広げていた。
…あ、一応言っておくと、毎回そんな命のやり取りをしていた訳じゃないからな?
そんなこんなで部屋に辿り着いた自分達はステーキを置いて座った。まぁ、ミルさんはグレンさんの後ろに待機しているんだけどね。
自分が座り終わると同時に、グレンさんが話しかけてきた。
「トキ君、随分と遅かったけど、何かあったのかい?」
「いや、特には無かったけど…強いて言うなら命を失いそうになった位かな。」
「?……ああ、ミルにあの質問をしたのか。それなら仕方がない。その状態のミルは下手したら自分よりも強いからな。」
「…ミルさんは彼氏がいるか聞かれるだけで人間をやめるのか…」
その時にちらっとミルさんの方を見てみたんだけど、いつものように可愛く微笑んでいた。
…何故だろう、いつもは可愛い笑顔が今は怖く見える…これ以上この話をしたら絶対に危ないな。
「それじゃあ、ステーキが冷める前に食べようか。」
グレンさんもそれを察知したのか、上手く話を変える。やっぱりグレンさんは流石だな、眉一つ動かしてない。よし、自分もそれに乗っかるか。
おっと、ステーキを食べる前にワインを…あ、もう注がれてた。
…あれ?さっき見た時は注いで無かったと思うんだけど?まぁ、どうせ執事の人か誰かだろう。いつもの事だし、気にしないでいいや。
「それじゃあ、頂きます。」
もう既にグレンさんはステーキを食べて恍惚とした表情をしているけど、それを無視してナイフとフォークに似た食器を動かす。似た、って言っているけど、そんなに違いはない。強いて言うなら、持ち手の部分が持ちやすいように変化する位だ。もっと別の所に付与使えよって思ったけど、地味に使いやすいから文句が言えない。
よし、それじゃあ頂きます。パクッ。
……………………………………………………
「美味い…」
…もう、なんて言えばいいかわからない。一言で表したなら、繊細、だと思う。ステーキを口に入れると軽くハーブの香りが広がり、微かに香る肉の香りを引き立たせる。一度噛むと歯が肉に沈み込み、肉汁が溢れてくるが胡椒のスパイシーさで味を引き締める。噛んだ肉は簡単に崩れ落ち、それを香り高いワインで流し込む。
…本当に美味い。この前に食べたステーキとはまた違う味が新鮮だ。しかもワインとも本当によく合う。美味しいワインと美味しい料理が合わさったら最高なんだな。異世界に来てよかった。
その後は二人共無心で食べた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
遅くなりました!申し訳ありません!
今回は特に進展がない回でしたが、ステーキの描写頑張ったんで許して下さい!高いステーキなんて食った事ねぇよ…
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