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本編
餌で釣る
しおりを挟む思わず口が滑ったみたいな顔をしているグレンさんに、更に自分は追撃…しようとしたが、早くワインが飲みたいってうるさいから、先にワインを飲むことにした。
グレンさんと自分のワイングラスに、執事の人がワインを注ぐ。するとワインの豊かな香りが周りに広がり、注がれたワインは美しくグラスの中で赤色に煌めく。
「うおっ、なんて言うか、綺麗だな。」
「ふふふ、そうだろう?このワインは本当に美味しいんだ。君も気に入る事間違いなしだよ。」
え、ワインってそんなに美味しいの?小さい頃にちょっとだけ飲んでみた時は酸っぱいイメージしか無かったけどな。
「んー、まあグレンさんがそういうんなら美味しいんだろうけどさ…よし、一口飲んでみるか!」
そう言ってグラスを持ち、一口。
瞬間、ワインの芳醇な香りとまろやかなコクが口の中に広がり、渋みが控えめに主張する。
!?うっま、何これ!前飲んだのと全然違うじゃん!全然酸っぱくないし、逆に渋い感じがする。でもその渋みすら美味しく感じるんだから不思議だ。美味しすぎて思わず一気飲みしちゃったよ。
…何だろう、無性にステーキを食べたくなってきた。後で作ろう。自分の分だけ。
そんな事を考えていると、グレンさんがワインを呷りながら話しかけてきた。
「ほら、美味しいだろう?こうやって、そのまま飲むのが美味しいんだよ。」
「あれ?何か食べながら飲んだりしないのか?」
「する人はいるんだけど、僕はあんまりしない方なんだよね。するとしても少量だけで。」
それならステーキは自分のだけでいいか。
…あ、いい事考え付いた。
「ふーん、そうなんだ。それじゃ、ステーキ作ってく…」
「待ってくれ!私の分も作ってくれないか!」
…やっぱり引っ掛かったな…どんだけ食いたいんだよステーキ。まぁ、自分としては好都合だけどな。
「分かった、作ってやるよ。その代わり…何を任せようとしたか言え。」
するとグレンさんは頭を抱え込んで数分間悩み、いきなり頭を上げたかと思えば、いい笑顔で
「決めた!言うからステーキ作ってくれ!」
と言った。よし、完全に予定通りだな。
「んで、何を企んでたんだ?」
「…先に言わないとダメ?」
「ダメに決まってんだろ。ほら、グレンさんが言うって言ったんだからキリキリ吐け。」
「いや、君酔っ払って性格変わってない!?いつもの君がそんな事言うとは思えないけど…うーん、まぁステーキの為だ、しょうがない。」
「お、やっという気になったか。早く言え。」
「…まぁ、君の酔い方がこんな感じならしょうがないかな。
それで、君に頼もうとした事はね…私の子供達を君の旅に連れて行って貰おうとしてたんだよ。」
へぇー…って、ええ!?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワインを飲んだ事がないのにワインの描写をしようとしたら、間違ってないか不安になってきました。
沢煮椀です。
今回も早いのか遅いのかよく分からない時間に上げます。前回の言葉が守れているかは分かりませんが…まぁ、良いんじゃないかな(投げやり)。
次回は普通に更新すると思います。…恐らく!
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