36 / 65
本編
住民との誤解
しおりを挟む
それで、気合いを入れてから街に繰り出した訳なんだが…
かなり居心地が悪い。それも、思っても見なかった方向に、だ。
率直に言うと、自分はそこらじゅうから罵詈雑言が飛んできて、睨みに睨まれまくるかと思っていた。
しかし現状は…街の人が自分を見る度に、その人は申し訳なさそうな顔になる。もちろん普通にしている人もいるが、見かけるのは6人に1人くらいだと思う。
申し訳なさそうにしている人の中には会釈してくる人もいるし、中にはきちんとした礼をする人も居た。どうなっているんだ?これ。
ちょっとだけ怖くなったが、特に気にしていない振りをして道を進む。
そのいたたまれない空気の中を歩き続けた自分は、十分くらいたった所で噴水を見つけた。そこにはグレンさんが言っていたように掲示板があり、そこには人探しとか、店の宣伝とか、様々な内容の張り紙が貼ってある。
クエストとかはないから、多分そういうギルドみたいな建物が有るのかな?…ちょっと行ってみたくなったけど、面倒くさそうだから我慢しよう。
そしてその掲示板に、鉄で出来た針みたいなので紙を貼る。よし、それじゃあ屋敷に戻ろうかな。
「待って下さい、トキさん。」
ビクッ!誰だ!?…ん?なんかこの女の人、見た事がある様な無いような…
「ん?誰ですか?」
「はい、私はあなたと領主様のご子息様を引き剥がそうとしたものです。」
ああ!思い出した!確かにその時に居たなって…え!?この他人の後ろにいっぱい人居るんですけど…あ、この人達、全員あの時に居た人だ。
…いきなり襲い掛かって来ないだろうな。
「え、ど、どうしたんですか?」
「その事なのですが…」
ん?なんだろry
「「「「「この前は本当にごめんなさい!」」」」」
…は?……え?……ん?
…あれ、状況が全く分からない。この人達は自分を嫌ってたんじゃないのか?
…取り敢えず話を聞こう。
「えっと、あなた達は自分を嫌ってたんじゃないんですか?」
「いえ、最初はそうでしたが…今は違います。」
え?どういう事なんだろう。
「本当に恥ずかしい事に…私達はあなたがご子息様の誘拐犯だと…」
…は?
「いや、そんな馬鹿を見るような顔でこちらを見ないで下さい。
実は私達、ご子息様の事が大好きでして…しかし、近付こうとしても避けられ、話し掛けようとしたら逃げられて…本当に散々なんですよ…」
「ああ…それは…」
「いや、同情はいいです。慣れているんで。」
この人も苦労しているんだな…
「そして、いつも通りの朝に、いつも通りに朝ご飯を食べていると、ご子息様が行方不明になったという発表がありまして…」
ああ、それであんなに焦ってたんだな。
「そうして、街の中を探し続けたんですが、ご子息様がいらっしゃらなくて…そして街の外を探しに行こうとしていた時にあなたが街の外から来たのです。」
うわぁ、タイミング悪すぎだろ。
「その時、焦りまくっていた私達は、ご子息様がお戻りになった事による喜びで気持ちが昂ってしまって…その後に来た衛兵の方に、あなたがご子息様を守っていた事を聞いた時の心情といえば…」
あぁ、それであんな事になったのか。まぁ、分かる気がする?
「だから一度だけでもトキさんに謝りたかったんです。本当にごめんなさい。」
そうして後ろの人達も頭を下げる。正直やめて欲しい。いや、街のど真ん中にある噴水の近くで、大勢の人が同時に頭下げてるんだよ?目立つに決まってるだろ。
「いや、もう頭を上げてください!自分は全く怒ってませんから!」
そうして、皆は頭を上げてくれた。もう目立ちたくないからな…
「それにしても、トキさんは何を貼りに来たんですか?」
「ああ、子供たちの性格を治す為に、ある娯楽に付き合ってもらおうと…」
「手伝います!何をすればいいんですか!?」
おぅ…すごい食いつきだな。まぁ、手伝ってくれる人は一人でも多いほうがいい。
自分は目を輝かせている人達に、チェスの情報と子供達がチェスの事が大好きだという事を伝えると、ものすごいスピードでどっかに走っていった。多分、あっちの方向にグレンさんの店があるんだろうな…
そう思いながら自分は屋敷へと歩き出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
何故かこの話を書くのにめちゃくちゃ時間が掛かりました。こんなに短いのにね!ちくしょー!
遅くなって本当にすみません!
かなり居心地が悪い。それも、思っても見なかった方向に、だ。
率直に言うと、自分はそこらじゅうから罵詈雑言が飛んできて、睨みに睨まれまくるかと思っていた。
しかし現状は…街の人が自分を見る度に、その人は申し訳なさそうな顔になる。もちろん普通にしている人もいるが、見かけるのは6人に1人くらいだと思う。
申し訳なさそうにしている人の中には会釈してくる人もいるし、中にはきちんとした礼をする人も居た。どうなっているんだ?これ。
ちょっとだけ怖くなったが、特に気にしていない振りをして道を進む。
そのいたたまれない空気の中を歩き続けた自分は、十分くらいたった所で噴水を見つけた。そこにはグレンさんが言っていたように掲示板があり、そこには人探しとか、店の宣伝とか、様々な内容の張り紙が貼ってある。
クエストとかはないから、多分そういうギルドみたいな建物が有るのかな?…ちょっと行ってみたくなったけど、面倒くさそうだから我慢しよう。
そしてその掲示板に、鉄で出来た針みたいなので紙を貼る。よし、それじゃあ屋敷に戻ろうかな。
「待って下さい、トキさん。」
ビクッ!誰だ!?…ん?なんかこの女の人、見た事がある様な無いような…
「ん?誰ですか?」
「はい、私はあなたと領主様のご子息様を引き剥がそうとしたものです。」
ああ!思い出した!確かにその時に居たなって…え!?この他人の後ろにいっぱい人居るんですけど…あ、この人達、全員あの時に居た人だ。
…いきなり襲い掛かって来ないだろうな。
「え、ど、どうしたんですか?」
「その事なのですが…」
ん?なんだろry
「「「「「この前は本当にごめんなさい!」」」」」
…は?……え?……ん?
…あれ、状況が全く分からない。この人達は自分を嫌ってたんじゃないのか?
…取り敢えず話を聞こう。
「えっと、あなた達は自分を嫌ってたんじゃないんですか?」
「いえ、最初はそうでしたが…今は違います。」
え?どういう事なんだろう。
「本当に恥ずかしい事に…私達はあなたがご子息様の誘拐犯だと…」
…は?
「いや、そんな馬鹿を見るような顔でこちらを見ないで下さい。
実は私達、ご子息様の事が大好きでして…しかし、近付こうとしても避けられ、話し掛けようとしたら逃げられて…本当に散々なんですよ…」
「ああ…それは…」
「いや、同情はいいです。慣れているんで。」
この人も苦労しているんだな…
「そして、いつも通りの朝に、いつも通りに朝ご飯を食べていると、ご子息様が行方不明になったという発表がありまして…」
ああ、それであんなに焦ってたんだな。
「そうして、街の中を探し続けたんですが、ご子息様がいらっしゃらなくて…そして街の外を探しに行こうとしていた時にあなたが街の外から来たのです。」
うわぁ、タイミング悪すぎだろ。
「その時、焦りまくっていた私達は、ご子息様がお戻りになった事による喜びで気持ちが昂ってしまって…その後に来た衛兵の方に、あなたがご子息様を守っていた事を聞いた時の心情といえば…」
あぁ、それであんな事になったのか。まぁ、分かる気がする?
「だから一度だけでもトキさんに謝りたかったんです。本当にごめんなさい。」
そうして後ろの人達も頭を下げる。正直やめて欲しい。いや、街のど真ん中にある噴水の近くで、大勢の人が同時に頭下げてるんだよ?目立つに決まってるだろ。
「いや、もう頭を上げてください!自分は全く怒ってませんから!」
そうして、皆は頭を上げてくれた。もう目立ちたくないからな…
「それにしても、トキさんは何を貼りに来たんですか?」
「ああ、子供たちの性格を治す為に、ある娯楽に付き合ってもらおうと…」
「手伝います!何をすればいいんですか!?」
おぅ…すごい食いつきだな。まぁ、手伝ってくれる人は一人でも多いほうがいい。
自分は目を輝かせている人達に、チェスの情報と子供達がチェスの事が大好きだという事を伝えると、ものすごいスピードでどっかに走っていった。多分、あっちの方向にグレンさんの店があるんだろうな…
そう思いながら自分は屋敷へと歩き出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
何故かこの話を書くのにめちゃくちゃ時間が掛かりました。こんなに短いのにね!ちくしょー!
遅くなって本当にすみません!
0
お気に入りに追加
2,287
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる