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下半身に引っ掛かった未来
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「この間の襲撃が? イリスウーフさんのせい?」
私は思わずアルグスさんの言葉をオウム返しにしてしまう。いったいなぜそんなことに。私達が必死に戦って、イリスウーフさんもビルギッタを撃退して、市民に多くの被害を出しながらもなんとか町を守ることができたっていうのに。
「僕も驚いたよ。町をブラブラしてたら今どうやらその噂でもちきりみたいだ。まあ、襲撃から1週間くらいしか経っていないしホットな話題ではあるけど」
「酷いです。私達も、イリスウーフさんも、町を守るために一生懸命戦ったっていうのに。そもそも、ギルドと魔族が結託していなければこんな事には……魔族がイリスウーフさんを奪うために町を襲うなんてことには……ん?」
あれ? そう言えば……魔族が町を襲ったのは、結局イリスウーフさんを取り返すためなんだったっけ?
……っていうことは、その噂、あながち間違っていないっていう事に……?
「そうなんだよね」
苦笑しながらアルグスさんが私の言葉に反応する。
「僕もその噂を聞いた時、怒って反論しようかと思ったんだけど、よくよく考えたら言ってること自体は間違ってないな……って、頬被りして逃げ帰ってきたんだ」
なんてこと。私達は街を救ったヒーローになってると思ってたのに……それどころか町が襲われた原因が私達にあるとすればヒーローどころかただのマッチポンプになってしまう。
「な、なんで町の人達はイリスウーフの事を知ってるんだろ?」
テーブルの上で空のティーカップの縁に腰かけたクラリスさんがそう言った。
「言われてみればそうですね。七聖鍵相手にですら公式にはあの人は『伝説のドラゴニュートの姫イリスウーフではない』っていう事になってるのに……というかそもそも『イリスウーフ』っていう名前自体伝説やお話には出てこない名前なので一般人が知ってるはずない……あ」
あ……思い出した。
魔物の襲撃で、天文館で待機してた時にドラーガさんが思いっきりイリスウーフさんの事を「伝説のドラゴニュートの姫」って市民達に紹介してたわ。あんのクソ野郎。
「でもおかしくない? 仮にイリスウーフの事が知られてたとしても、今回の襲撃とそこを結びつける情報なんてなかったと思うんだけど?」
確かにアンセさんの言うとおりだ。ということは、誰かが意図的に情報を流したという事だろうか。それともあのクソアホ賢者がうっかり口を滑らしたかのどちらか。私は後者だと思う。
……とにかく
「とにかく、二人を尾行けましょう……」
声が聞こえたのは床から。私の足元で横になっていたクオスさんからだ。
「二人の仲をジャマするだとか、そういうアレじゃなく、二人きりにしていたら危険だから、つけましょう」
なんか目が血走っている。
「別に本音で話していいわよ。ジャマしたいんでしょう?」
ぶっちゃけた話を求めるアンセさんに、クオスさんは口元の唾液をふき取りながら立ち上がって、答えた。
「じゃ、ジャマまでする気はないんです。ただ、見守りたいというか、二人がナニしてるか気になって……」
「いいのよ、クオス。私はあなたの恋を応援してるわ!」
アンセさんがそう言うとクオスさんは目から大粒の涙をポロポロとこぼし、再びその場に崩れ落ちて泣き出した。恋愛関係になると本当にクオスさん情緒不安定だな。
「本当に……私、本当に、メッツァトルに入って良かった……私の、こんな私の恋を応援してくれる人がいるなんて……」
えぐえぐと嗚咽を漏らしながらクオスさんは大泣きしている。カルゴシアでも同性愛者に対する風当たりは強い。そんな中で自分の恋愛を応援してくれる人がいたのはクオスさんにとっては泣くほど嬉しい事なんだろう。
「アンセさん……なぜ、私の恋を、そんなに応援してくれるんですか……?」
「え? いやあ、まあ……それは、ねえ?」
途端に視線が泳ぎ出すアンセさん。さすがにこの空気で「腐女子だから」とは言いづらいわな。
「な、仲間の恋を応援するのは当然じゃない? ……その、イリスウーフよりも、クオスの方が付き合い長いし……さ?」
目を逸らし、だらだらと脂汗を流しながらのアンセさんの回答。尋常であればこれが真実の答えではないことは誰の目にも明らかであるが、心からの感嘆に支配されている今のクオスさんにそれは分からない。
「本当に……メッツァトルでよかった。ドラーガさんも『私の性別なんて気にしない』って言ってくれてたし……」
え? そんなこと言ったっけ? 私はアンセさんの方に振り返って、視線で尋ねるが、しかしアンセさんも首を傾げる。そんなことを言った事あったっけ? 時期的にはクオスさんが男であることをカミングアウトしてからの事だと思うんだけど……私は記憶の糸を手繰り寄せる。
『今クオスの性別なんざどうでもいいだろうが!』 ※46話 MONSTER参照
ああああ……言った……言ったか? え? あの言葉をそういう風に受け取ったの? あれはどっちかというと「クオスさんの性別に興味がない」というか……あれ? 性別に興味がないって、どっちでも受け入れるって、そういう? 「どうでもいい」ってそういう意味? なんか変なところポジティブだなこの人。
「と、とにかくだ。僕もドラーガを監視するのに賛成だ。危険があるかもしれないし、相変わらず魔剣野風の行方は分からないまま。ドラーガの態度如何によってはイリスウーフは魔剣を彼に託すかもしれないし、逆に処分しようと考えるかもしれない」
つまり?
「つまり、人類の未来はドラーガの下半身にかかっていると言っても過言ではない」
嫌なところに引っかかっちゃったなあ。
「というわけでアンセ、悪いが今日の予定はキャンセルしてドラーガの尾行を……」
「ダメよ!!」
今日の予定? なんか予定なんてありましたっけ? アンセさんは必死でそれを止めてるけど。
「いい? アルグス! イリスウーフの事はイリスウーフの事で大事なことだけどね? 私達メッツァトル内の親睦を深めることもまた大事な事なのよ! それを疎かにした状態で……」
親睦? ? 一体何の話? 「メッツァトル内」とか言ってる割には私その話全く知らないんですけど。
「あの……今日なんか予定なんてありましたっけ?」
「ああ、僕とアンセでちょっと買い出しに行く予定で……」
私の問いかけにアルグスさんが答えると、唐突にアンセさんが距離を詰めて私の両肩をガシッと掴んでそのまま部屋の壁まで押していった。
「デートなのよ」
なにい? アンセさんさっきドラーガさん達に「この非常時にデートとか」って言ってたくせに! というか何なのこのパーティー、あっちでカップルこっちでカップル作りやがって恋愛脳かコラア!
私は思わずアルグスさんの言葉をオウム返しにしてしまう。いったいなぜそんなことに。私達が必死に戦って、イリスウーフさんもビルギッタを撃退して、市民に多くの被害を出しながらもなんとか町を守ることができたっていうのに。
「僕も驚いたよ。町をブラブラしてたら今どうやらその噂でもちきりみたいだ。まあ、襲撃から1週間くらいしか経っていないしホットな話題ではあるけど」
「酷いです。私達も、イリスウーフさんも、町を守るために一生懸命戦ったっていうのに。そもそも、ギルドと魔族が結託していなければこんな事には……魔族がイリスウーフさんを奪うために町を襲うなんてことには……ん?」
あれ? そう言えば……魔族が町を襲ったのは、結局イリスウーフさんを取り返すためなんだったっけ?
……っていうことは、その噂、あながち間違っていないっていう事に……?
「そうなんだよね」
苦笑しながらアルグスさんが私の言葉に反応する。
「僕もその噂を聞いた時、怒って反論しようかと思ったんだけど、よくよく考えたら言ってること自体は間違ってないな……って、頬被りして逃げ帰ってきたんだ」
なんてこと。私達は街を救ったヒーローになってると思ってたのに……それどころか町が襲われた原因が私達にあるとすればヒーローどころかただのマッチポンプになってしまう。
「な、なんで町の人達はイリスウーフの事を知ってるんだろ?」
テーブルの上で空のティーカップの縁に腰かけたクラリスさんがそう言った。
「言われてみればそうですね。七聖鍵相手にですら公式にはあの人は『伝説のドラゴニュートの姫イリスウーフではない』っていう事になってるのに……というかそもそも『イリスウーフ』っていう名前自体伝説やお話には出てこない名前なので一般人が知ってるはずない……あ」
あ……思い出した。
魔物の襲撃で、天文館で待機してた時にドラーガさんが思いっきりイリスウーフさんの事を「伝説のドラゴニュートの姫」って市民達に紹介してたわ。あんのクソ野郎。
「でもおかしくない? 仮にイリスウーフの事が知られてたとしても、今回の襲撃とそこを結びつける情報なんてなかったと思うんだけど?」
確かにアンセさんの言うとおりだ。ということは、誰かが意図的に情報を流したという事だろうか。それともあのクソアホ賢者がうっかり口を滑らしたかのどちらか。私は後者だと思う。
……とにかく
「とにかく、二人を尾行けましょう……」
声が聞こえたのは床から。私の足元で横になっていたクオスさんからだ。
「二人の仲をジャマするだとか、そういうアレじゃなく、二人きりにしていたら危険だから、つけましょう」
なんか目が血走っている。
「別に本音で話していいわよ。ジャマしたいんでしょう?」
ぶっちゃけた話を求めるアンセさんに、クオスさんは口元の唾液をふき取りながら立ち上がって、答えた。
「じゃ、ジャマまでする気はないんです。ただ、見守りたいというか、二人がナニしてるか気になって……」
「いいのよ、クオス。私はあなたの恋を応援してるわ!」
アンセさんがそう言うとクオスさんは目から大粒の涙をポロポロとこぼし、再びその場に崩れ落ちて泣き出した。恋愛関係になると本当にクオスさん情緒不安定だな。
「本当に……私、本当に、メッツァトルに入って良かった……私の、こんな私の恋を応援してくれる人がいるなんて……」
えぐえぐと嗚咽を漏らしながらクオスさんは大泣きしている。カルゴシアでも同性愛者に対する風当たりは強い。そんな中で自分の恋愛を応援してくれる人がいたのはクオスさんにとっては泣くほど嬉しい事なんだろう。
「アンセさん……なぜ、私の恋を、そんなに応援してくれるんですか……?」
「え? いやあ、まあ……それは、ねえ?」
途端に視線が泳ぎ出すアンセさん。さすがにこの空気で「腐女子だから」とは言いづらいわな。
「な、仲間の恋を応援するのは当然じゃない? ……その、イリスウーフよりも、クオスの方が付き合い長いし……さ?」
目を逸らし、だらだらと脂汗を流しながらのアンセさんの回答。尋常であればこれが真実の答えではないことは誰の目にも明らかであるが、心からの感嘆に支配されている今のクオスさんにそれは分からない。
「本当に……メッツァトルでよかった。ドラーガさんも『私の性別なんて気にしない』って言ってくれてたし……」
え? そんなこと言ったっけ? 私はアンセさんの方に振り返って、視線で尋ねるが、しかしアンセさんも首を傾げる。そんなことを言った事あったっけ? 時期的にはクオスさんが男であることをカミングアウトしてからの事だと思うんだけど……私は記憶の糸を手繰り寄せる。
『今クオスの性別なんざどうでもいいだろうが!』 ※46話 MONSTER参照
ああああ……言った……言ったか? え? あの言葉をそういう風に受け取ったの? あれはどっちかというと「クオスさんの性別に興味がない」というか……あれ? 性別に興味がないって、どっちでも受け入れるって、そういう? 「どうでもいい」ってそういう意味? なんか変なところポジティブだなこの人。
「と、とにかくだ。僕もドラーガを監視するのに賛成だ。危険があるかもしれないし、相変わらず魔剣野風の行方は分からないまま。ドラーガの態度如何によってはイリスウーフは魔剣を彼に託すかもしれないし、逆に処分しようと考えるかもしれない」
つまり?
「つまり、人類の未来はドラーガの下半身にかかっていると言っても過言ではない」
嫌なところに引っかかっちゃったなあ。
「というわけでアンセ、悪いが今日の予定はキャンセルしてドラーガの尾行を……」
「ダメよ!!」
今日の予定? なんか予定なんてありましたっけ? アンセさんは必死でそれを止めてるけど。
「いい? アルグス! イリスウーフの事はイリスウーフの事で大事なことだけどね? 私達メッツァトル内の親睦を深めることもまた大事な事なのよ! それを疎かにした状態で……」
親睦? ? 一体何の話? 「メッツァトル内」とか言ってる割には私その話全く知らないんですけど。
「あの……今日なんか予定なんてありましたっけ?」
「ああ、僕とアンセでちょっと買い出しに行く予定で……」
私の問いかけにアルグスさんが答えると、唐突にアンセさんが距離を詰めて私の両肩をガシッと掴んでそのまま部屋の壁まで押していった。
「デートなのよ」
なにい? アンセさんさっきドラーガさん達に「この非常時にデートとか」って言ってたくせに! というか何なのこのパーティー、あっちでカップルこっちでカップル作りやがって恋愛脳かコラア!
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