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浪人

なんだかんだ楽しい浪人生活

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もう音大は目指す意欲はなくなっていた。

楽器は好きだ。これは確実にそうだ。

けれど好きのなかには
・練習して上手くなることが嬉しい
・どんどん色んな曲が吹けて面白い

の他に
・勉強では駄目だけど楽器は上手いことで自尊心満たせる
・クラスでは目立たないけど、吹奏楽部では中心的存在

という「不純」な好きもある。

音大に不合格になり、「じゃあもっと練習するぞー!」にならなかったのは、不純な好きの部分がほんの少しでは無かったということだろう。

(とはいえ、もちろん楽器吹くの楽しいです。もしこれを読んで、「クラリネットはそんなに楽しくないのか」と思ってしまったら誤解です。とても面白い楽器なのでそこは誤解しないで!)

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音大は目指さないので、一般大学に勉強で入るために予備校に通った。けれどやる気も出ずに数ヶ月に辞めた。なにやってんだか。

家で勉強をしたりしなかったり。

けれどこのとき、とにかく本を読むことにハマった。
1日に一冊は読み切っていて、読む本が無くなるとブックオフに行って安い文庫本を買っては読み。図書館に行って借りて。
教科書以外の本をこれまでろくに読んでこなかったので、新鮮だった。

小説は苦手で読むのはもっぱら実用書や新書。

楽器の本も読んだが、これまで疑問に思っていたことが解説されていて良かった。習っていたクラリネットの先生に説明を求めても、感覚的な話で理解できなかったところが本では分かりやすく解説されていた。

本はこんなにも役に立つものなんだ!

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受験勉強に身が入らなかったから本にハマったが、次は勉強法の書かれた本を読むことで、受験勉強も少し身が入るようになって。
勉強法を学ぶことが楽しいという本末転倒も起こしていたが、それでも少しずつ勉強が楽しくなってきた。

比較的得意だった英語と現代国語に比重を置き、それを生かせる入試をしている大学を受験した。

なんとか一浪で合格した。



つづく~
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